ペットボトルやコップの飲み物を、最後までキレイに飲みきらずに少しだけ残す。あなたや周りの人に、そんな人はいませんか? もし「あるかも」と思ったら、チャンスに弱い自分に悩んでいるかもしれません。
「もうちょっとでダイエット目標達成だったのに、つい飲み会を断れなくてリバウンド」 「せっかく目標を決めて貯金をしていたのに、だいたいできたところで衝動買いしちゃった」
こんな風に、どうしても最後の山を乗り越えられないことを繰り返すと、できないことばかりに目が行くようになって、自分へのダメ出しが過剰になります。すると自分に厳しくなり過ぎて、今度は自分を追い込むことになるのです。
あと一歩でうまくいかない人に潜んでいる心のクセは「出ない杭ノイズ」です。
成功しないほうが得だというヘンテコな心理
"出る杭は打たれる"という言葉があるように、目立ったり成功したりすると、かえって叩かれてしまうときがあります。
例えば「テストで100点を取ったら、やっかみを受けた」「真面目にやって先生に褒められたら、仲間外れにされた」「ゲームで勝ったことを喜んだら友達が不機嫌になった」。
昔からそんな経験が刷り込まれていると、なにかを達成すること自体を、心の奥で拒んでしまうようになります。また、少しドジで隙があるほうが、周りから愛されたり、かわいがられたりすることもありますよね。
そんな体験が続くと、「達成しないほうがいいんだ」とか、「成功しないほうが得だ」という、妙な勘違いが生まれてしまいます。
このような、うまくいかないほうがいい、うまくいくと困るという隠れた心理が「出ない杭ノイズ」です。
頭では成功したいのに、実は無意識にそれを拒んでいる。これに気が付かないいとチャンスに弱い自分ばかり見えてしまうので、「なんて自分はダメなんだ」と、どんどん悩みは深くなっていきます。
でも安心してください。ダメなのはあなたの能力や意思ではなく、無意識に発動する心のクセです。
小さなことから「やりきる」習慣をつけよう
「出ない杭ノイズ」を矯正するのは、実は意外と簡単です。心理療法と聞くと身構える人も多いのですが、実際はそんなに難しく考えなくても大丈夫。ちょっと言葉は悪いですが、一見バカみたいな方法が、すごい効果を発揮することも多々あります。
冒頭で紹介した、飲み物を飲みきらずにちょっと残すクセを思い出してください。「出ない杭ノイズ」の悪影響がある人は、かなり高い確率でやっています。
まずはこのクセを矯正して、飲み物を飲み切るようにしてみましょう。そんなことでいいの? と思うかもしれませんが、意識してみると最初は意外と難しいので、ぜひトライしてください。
著者プロフィール:山根洋士(やまね・ひろし)
心理カウンセラー
心理学に、ノンフィクションライターとして活躍したインタビュー経験や脳科学などを取り入れて「メンタルノイズ」メソッドを開発し、8,000人以上の悩みを解決。著書に『「自己肯定感低めの人」のための本』(アスコム) など。