気になるけどなかなか聞きづらい『生理(月経)のギモン』。本連載では、そんな生理(月経)にまつわる悩みを産婦人科医であり、宮の沢スマイルレディースクリニック院長の馬場敦志先生に聞いてみました。
「どうして月経が起こるの?」と問われると、悩む人も少なくないはず。今回は、生理の仕組みや生理周期、経血量についてみていきましょう。
■生理(月経)の仕組み
――生理(月経)がなぜ起きるのか教えてください!
はじめに月経は、厚くなった子宮内膜が剝がれ落ちて出血とともに出てくる現象のことです。
月経を定期的(約1か月に1回)に起こしているホルモンには、「エストロゲン」と「プロゲステロン」という2種類があります。月経が終わり子宮内膜が剝がれ落ちると、次の月経に向けて「エストロゲン」というホルモン作用により子宮内膜が厚くなっていきます。
その後、月経の14日後を目安に排卵が起こるのですが、「卵胞」は「黄体」という構造に変わり、その「黄体」から「プロゲステロン」というホルモンが分泌されます。すると、厚くなった子宮内膜が安定化し、フカフカのベッドのようになるのです。
ここで妊娠が成立しない場合、「エストロゲン」と「プロゲステロン」が低下します。そうすると、厚くなった子宮内膜が剝がれ落ち、出血とともに排出され「月経」が起こるのです。
――生理(月経)の周期・量は、どれくらいだと正常なのでしょうか?
そもそも月経周期とは、「月経の始まる日」と「次の月経の始まる日」の間の日数のことを指します。月経周期の正常は「25日から38日」とされており、月経が24日以内の場合は、「頻発月経」、月経が39日以上の場合は「希発月経」と呼ばれ、特に3か月以上月経が来ない場合を「無月経」と言います。
月経量の正常は「20mlから140ml」です。月経量が140ml以上の場合「過多月経」と呼ばれますが、実際に月経量を測定することは困難だと思います。目安として、夜用ナプキンが寝ている間ももたない、昼用ナプキンでも1時間もたない場合は月経の量は多いと言えるでしょう。
ちなみに、生活で困ることはあまりないですが、月経量が20ml以下と少ないと「過少月経」と呼ばれます。
――仕事が忙しくなったあたりから生理(月経)が止まってしまいました。放っておいても大丈夫でしょうか?
ストレスに伴う続発性無月経の状態と考えられますので、婦人科を受診して相談するようにしましょう。
強いストレスがかかると、「エストロゲン」や「プロゲステロン」の分泌が不規則になってしまい、月経不順や無月経となることがあります。特に、職場の変化・引っ越し・身内の不幸など"環境の変化"があった場合にストレスがかかります。また季節の変わり目、気温の急激な変化によって知らず知らずのうちに脳にストレスがかかり月経が乱れることも。
自身でできることとしては、自覚されているストレスの原因に対処することが大切になります。上司に仕事量などを減らせないか相談してみてはいかがでしょうか。
なお、無月経が長期間持続すると、女性ホルモン分泌不足から将来的に骨粗しょう症や脂質異常症など、病気のリスクが上がる可能性があります。月経不順や無月経などの月経異常は放置せず、婦人科を受診して相談するようにしましょう。
いかがでしたでしょうか? 気になることや不安なことがあれば、専門医に相談するようにしてみてください。それでは、また次回!
監修者 : 馬場 敦志 先生
筑波大学医学専門学類卒業。現在は、札幌市にある「宮の沢スマイルレディースクリニック」院長を務める。
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