読者の健康や美容にまつわる悩みを、さまざまな分野の専門医の力を借りて解消していく連載「教えて! ドクター!!」。今回のテーマは「一重と二重の違い」についてです。
「目は口ほどに物を言う」という言葉もあるように、目が他人に与える印象は大きいです。そんな「目」を語る際、しばしば話題になるのが「一重まぶたか二重まぶたか」です。一重と二重の好みは分かれますが、「目を大きくしたい」と願うあまり、二重になるための美容整形を検討した経験を持つ人もいることでしょう。
ところで、そもそもなぜ一重と二重の人がいるのでしょうか。また、一重の人が突然二重になることはあるのでしょうか。今回はこの疑問に関する回答を得るべく、美容皮膚科医のやながわ厚子医師に話をうかがいました。
――Q. 一重と二重の違いはなぜ生まれるのでしょうか?
まずはまぶたに関する基本的なところからご紹介します。一重まぶたと二重まぶたの違いは、「皮膚が折り返されているか否か」に由来します。皮膚の折り返しがないと一重、折り返しがあると二重のまぶたになります。さらに、まぶたの上にかかる皮膚が長いと、いわゆる「奥二重」となります。
まぶたを開ける上眼瞼挙筋(じょうがんけんきょきん)と呼ばれる筋肉は、瞼板(けんばん)という硬い組織とつながっており、この瞼板によってまぶたが引き上げられます。その際、皮膚とのつながりがしっかりしていると、その部分だけ皮膚が引き上げられて皮膚の折り返しができ、二重まぶたになります。皮膚とのつながりがゆるい、もしくはあまりない場合はきちんとした皮膚の折り返しができず、一重まぶたになります。
ただ、瞼板や上眼瞼挙筋との皮膚のつながり具合や、皮膚の厚み、皮下脂肪、眼窩(がんか)脂肪の量によって、できる皮膚の折り返しやまぶたの見た目は異なってきます。脂肪が少ないとぱっちり二重になりやすく、皮下脂肪や眼窩脂肪が多いとまぶたのボリュームがある二重になります。また、折り返しの上の皮膚が折り返しより長く、まつげの生え際までかかると奥二重になります。
日本人は一重まぶたや奥二重まぶたが多く、目頭に蒙古ひだというヒダがあることも少なくありません。
熱が出ると一重が二重に見える理由
一重まぶたの人が、パッチリとした二重に憧れを抱くこともあるでしょう。特に何かをすることなく、ある日突然、一重が二重になるケースはほとんどないと思われますが、一定の条件下で二重に見えることはあります。
例えば、体重の増減によってかぶる皮膚の具合が変わったり、加齢に伴い皮膚のたるみが徐々に進行し、だんだんとまぶたの上の皮膚がかぶってきたりして、奥二重になるといった事例がそうです。上眼瞼挙筋の緩みによる眼瞼下垂では、まぶたをしっかり開けなくなります。二重まぶたや奥二重まぶただった方は、逆に二重の幅が広がり、眠たそうに見える二重まぶたになることがあります。
そのほか、麦粒腫(ものもらい・めばちこ)やアレルギーなどでまぶたが腫れ、一時的に二重まぶたになることも考えられます。また、発熱などによって全身がむくんだ際はまぶたもむくむため、一重まぶたが二重のように見える可能性があります。