世界一の人口を誇る大国・中国。その中国には、いまや無数とも思えるほど数多くの航空会社がある。そんな中、中国のフラッグシップとして君臨するのが中国国際航空(エアチャイナ、CA)だ。日本路線は東京や大阪をはじめ地方都市にも就航し、中国各都市を結ぶ多くの路線ネットワークを持つ。一方、中国と言えば中華料理、"食"へのこだわりと長い歴史を持つ国で知られる。今回搭乗するのがビジネスクラスということで、機内食は特に楽しみにしていた。
ゲート前から中国! CAの大阪=北京線は毎日2便
中国国際航空の大阪(関西)=北京線は、毎日1日2往復の運航スケジュール。使用機材は、エアバスA321-200、ボーイング737-800、エアバスA330-300などが投入されている。この日、行きの9時大阪発北京CA162便はA321。フライト時間は約3時間30分だ。
中国国際航空のビジネスクラスを利用する場合、保安検査場の入口でファストレーン(優先レーン)が使えるほか、航空会社ラウンジも利用できる。ただ、同じスターアライアンス系のANAラウンジが北ウイングにあるため、南ウイングから出発する中国国際航空ではJALサクララウンジのインビテーション(招待)となる。
搭乗ゲートは南ウイングの先端部分、同じ中国国際航空の上海便とはいつも隣同士だ。乗客の大半を占める中国人によって、朝まだ早いのにも関わらずとてもにぎやか。まだ日本の空港であるはずなのに、早くも中国にいる気分にさせられる。搭乗が始まると、乗客が我先にと一斉にゲートに集結して"カオス"状態となるため、ビジネスクラスで優先搭乗ができてもほぼ意味をなさない。
ビジネスクラスのシートは旧式だが電源は完備
中国国際航空のA321は、ビジネスクラスがシート配列2-2の16席、エコノミークラスがシート配列3-3の161席の、総座席数177席となっている。
ビジネスクラスのシートはやや古いタイプ。リクライニングはできるもののフルフラットにはならなかった。個人IFE(機内エンターテイメント)はないものの、ユニバーサル電源がビジネスクラスでは座席ごとに装備されていた。
まるで京都? 和惣菜のおばんざいが高レベル
ビジネスクラスでは、出発前にウェルカムドリンクとおしぼりが配られた。ごく普通のグラスだったので、正直なところ、あまりいい噂を耳にしない中国系エアラインの評判通りなのか、この先やや不安になった。
ほぼ同時に、機内食のメニューも配布された。和食がメインの「弁当ボックス」もしくは「洋食」の2択。中国のフラッグシップなので、本格的な中華料理がまず出てくるかと思っていたので、この2択は意外だった。ひとまず「弁当ボックス」を選んでみた。
機内食は、1枚のトレー(お盆)に全て載せた状態でサーブされた。前菜にあたる和惣菜の盛り合わせ。厚焼き玉子とたらこ昆布巻き、汲み上げ湯葉、市松サーモン、サーモン押し寿司、がんもや麩などの炊き合わせなどが、6つに仕切られた和風の容器にまるで"おばんざい"のようにギッシリ入っていた。
見た目の彩りの良さが、まず期待以上。そして味の方はというと、日本発の便ということもあってか、どれも和風の出汁がしっかり利いた、本物の「日本の味」だった。日系航空会社以上のクオリティではないかと思えたほど、レベルは非常に高かった。
メイン料理はチキンかビーフのどちらかで、チキンだと「鶏唐揚げのオイスターソースかけ」。これが唯一、中華料理らしい味だった。とはいえ、鶏肉と野菜の絶妙な柔らかさと味付け、もちろんおいしかったのは言うまでもない。白飯との相性も抜群だった。
"お茶の国"中国のフラッグシップは中国茶も本格的
食後に中国茶をいただいた。中国はご存知、お茶の本場でもあり、ビジネスクラスでは緑茶やプーアル茶、ジャスミン茶など7種類のお茶から選ぶことができた。
ここで選んだのは、緑茶の「龍井茶」。なんと、そのまま茶葉が入った状態で出てきた。実はこれが龍井茶本来の一般的な飲み方。日本人的には慣れないので最初はかなり飲みづらいものの、今まで機内で数多飲んできたお茶の中で一番おいしかったほど。飲み干した後に客室乗務員が「おかわりいかがですか」と来たので、思わずもう1杯飲んでしまったほど、すっかり気に入った。
A330は最新フルフラットシート! 個人IFEも装備
帰りの北京発大阪行きCA927便は8時40分発。使用機材はエアバスA330-300だった。この機材の総座席数は301席で、ビジネスクラスがシート配列2-2-2の30席、プレミアムエコノミークラスが16席、エコノミークラスがシート配列2-4-2の255席。
このビジネスクラスのシートは、フルフラットになる新しいタイプ。個人IFEが各座席にあり、ユニバーサル電源ももちろん装備されている。
中国の朝食、定番の「飲茶」「お粥」を機内で
今回は中国発ということで、機内食は朝食で「中式早餐(CHINESE BREAKFAST)」「西式早餐(WESTERN BREAKFAST)」のどちらか。もちろん中国料理のほうを選んだ。
そして運ばれてきた機内食は、これぞまさに中国の飲茶。行きの便と違ってメニューに日本語がなく、料理名をよく読んでいなかったのもあり、機内食を見た瞬間に思わず喝采の声を上げそうになった。中華圏に行くと必ず飲茶を食べるほど、大の飲茶好きなのだ。
4つの点心はどれも温かい最高の状態でサーブされ、味ももちろん本格的だった。せっかくなので1点ずつじっくり、ゆっくりと味わった。ここは本当に機内だろうかと思えてくるほどの味わいに、さすが中国国際航空だと拍手を送りたくなった。
また、白いお粥もまさに中国の朝食。添付のザーサイはエコノミークラスと同じものだったが、器が違うのもあっておいしさがまた違った。
温かい状態でサーブされる「パン」も美味
しばらくしてパンも回ってきた。客室乗務員が手にするかごの中から好きなだけ取るスタイル。できれば数種類食べ比べたかったが、出発前のラウンジで食べた後にこの機内食だ。さすがに1個が限界だったのが、返す返す残念だった。
ちなみに、パンはちゃんと温められた状態でサーブされてきた。以前乗った中国国際航空のエコノミークラスで配られるパンも温かく、皿まで温められていたこともある。パンが温かいと、その他の料理までおいしく感じられる。日系はじめその他の航空会社も、機内食のパンについてぜひ一考してもらいたい。
国際線の短距離路線は、ビジネスクラスのシートに座って機内食を味わっていると、あっという間のフライトだ。今回の往復では、中国らしい料理とお茶、そして意外にも和食まで味わうことができ、行きも帰りも満腹の旅となった。
※記事中の機内食は、2018年2月の大阪(関西)=北京線で提供されたもの