ビジネスクラスとエコノミークラスの中間にあたる「プレミアムエコノミー」。大手航空会社がビジネス路線の国際線中長距離線を中心に設定し、近年はレジャー路線にも広がりつつある。ANAでは、プレミアムエコノミーを2012年から導入しており、シートや機内食などをエコノミークラスよりワンランク上のサービスとして提供している。
エコノミー+αの機内食メニュー
ANAのプレミアムエコノミーに今回搭乗したのは、羽田=パリ線。使用機材は、最新鋭のボーイング787-9型機だ。ビジネスクラス、プレミアムエコノミー、エコノミークラスの3クラス制で、プレミアムエコノミーは215席中27席あって満席だった。
往路のフライトは約12時間。機内食は、ランチ兼ディナーと到着前の2回ある。メニューはエコノミークラスと同様だが、プレミアムエコノミーだと"+α"がいろいろあると聞いていて、ずっと楽しみにしていた。
ANA機内食総選挙No.1のメニューが復刻
最初の機内食は「ANAオリジナルとんかつ丼」と「ビーフシチュー&とろとろ玉子のオムライス」のどちらかを選ぶ。これらがメイン料理となる。
機内食でとんかつ丼がメイン、というのはなかなか珍しい。機上とは思えないほど豚肉はやわらかく衣もサクサク、ご飯との相性も抜群だった。味付けもさすが日系、日本人の口にピッタリ合う。ちなみに、過去に別路線で食べたANAオリジナルカレーも絶品だった。
一方、「ビーフシチュー&とろとろ玉子のオムライス」は、ANAが実施した機内食総選挙2017の洋食部門で1位に輝いたメニュー。玉子とシチュー両方のトロトロ加減は、さすが人気で復活したメニューなだけあって、こちらも文句なしにおいしかった。
サイドメニューは共通で、生野菜のサラダが多めなのがうれしい。日系らしく、巻き寿司も添えられていた。食後の楽しみ、「ハーゲンダッツバニラ」がいつもながらうれしい。
「ピエール・エルメ・パリ」のデザートを機上で
この後、ビジネスクラスで提供されている「ピエール・エルメ・パリ」とのコラボデザートが、プレミアムエコノミーでも提供された。対象路線は、成田・羽田から欧米・メキシコ・オセアニア・アジアに向かう路線(一部便を除く)となっている。
食後にハーゲンダッツまで食べてすでにおなかいっぱいのところで、とっておきのデザートが登場。これは食べないわけにいかず、「スイーツは別腹」と頑張っていただいた。
メニュー名は「エモーション セレスト」で、内訳はというと、ルバーブのコンフィ、イチゴのピュレ、パッションフルーツ風味のクリーム、ビスキュイ、パッションフルーツ風味のギモーブ。何やらよく分からないフランス菓子の名前が並んでいたが、ルバーブは野菜の一種、コンフィは砂糖やリキュール漬け、ビスキュイは硬い焼き菓子、ギモーブはいわばマシュマロとのこと。
一見すると、ただのケーキとプリンのようにも見えたが、メニュー名とその意味を知った後に食べると、なかなか奥深いものがあった。一口食べただけで、パッションフルーツの風味が口の中でフワッと広がり、その本格的な味わいに、ここが高度3万フィートであることを思わず忘れそうなほど、味のレベルは非常に高かった。盛り付けの美しさも、さすがの一言。結構なボリュームがあったにも関わらず、全て平らげた。
「一風堂」のカップ麺はプレミアムエコノミー限定
エコノミークラスにはないメニューがもうひとつ、一風堂とANAがコラボレーションして開発されたカップ麺「柚子香る鶏豚そばスープ」だ。提供路線は、成田・羽田=ヨーロッパ・バンコク・インド・シンガポール線となっている。
ただのカップ麺ではなく、あの一風堂。鶏のまろやかな味わいに豚の旨みが加わったスープはなかなかおいしく、小腹を満たすのに十分だった。1食目と2食目の間にいつでも食べられるのがまたいい。ひとりが食べ出すと、その匂いに誘われて次々とオーダーされていた。
さらにドリンクメニューも、ビジネスクラスのシャンパンやワイン、日本酒、焼酎などがプレミアムエコノミーでも提供されている。アルコール好きにはうれしいサービスだろう。シートだけではなく機内食やドリンクでも、プレミアムエコノミーは満足度が非常に高いことを実感した。
※記事中の機内食は、2018年4月の羽田=パリ線で提供されたもの