2006年に創立した香港航空は、香港を拠点とするフルサービスキャリア。まだ若い航空会社ながら、2011年から7年連続でスカイトラックス社により4ツ星に格付けされ、サービスにも定評がある。とりわけ"世界に誇る食の都・香港生まれのエアライン"として機内食には力を入れていて、メニューから香港らしさが感じられて楽しい。
短距離路線でも種類豊富に
香港航空は、成田・関空・札幌・沖縄・岡山・米子・宮崎・鹿児島の日本8都市と香港、さらにその先のアジアやオセアニア、北米の主要約40都市を結び目覚ましい成長を遂げている。今回搭乗したのは、成田=香港線のビジネスクラス。香港航空は朝・昼・夕と1日3便を成田に飛ばしていて、往路は朝イチのHX611便、復路は最終のHX610便を利用した。
行きにサービスされたのは朝食。キャビンに入ってシートに落ち着くと、ウェルカムドリンク(水またはオレンジジュース)に続いてメニューが配られる。短距離路線の朝食ながらメインは3種類そろっている。
筆者が選んだ「スクランブルエッグとチキンのソーセージ ロスティポテト(スイス風ハッシュドポテト)とローストした季節野菜」のほか、和食の「ひらめの蒸し焼き 銀あん仕立てと厚焼きたまご」と「ココナッツパンケーキ フルーツのコンポートとカスタードクリーム添え」というラインナップ。
香港では今、空前の日本料理ブーム。それゆえに香港人には圧倒的に和食の人気が高く、日本人女性はパンケーキ、男性はスクランブルエッグを選ぶことが多いとか。
選べる"香港のスペシャルドリンク"
注目したいのはドリンクだ。香港では東洋医学に基づき、お酒や冷たい飲みものを避ける人も多いため、食事とともにアルコールもコールドドリンクもホットドリンクも同時に提供されるが、そのホットドリンクがすごい。福建省の希少価値の高いウーロン茶や湖北省の緑茶、最高級プーアル茶といった中国茶のほか、"香港のスペシャルドリンク"として、「香港式ミルクティー」「香港式鴛鴦茶」「レモンティー」まで用意されている。
これらは香港の大衆食堂「茶餐廳」の定番で、香港式ミルクティーはエバミルクを入れた濃厚で甘いミルクティー、鴛鴦茶はコーヒーと紅茶を混ぜた街場でよく見る不思議な飲みもの、レモンティーはありえないくらい大量のレモンが投入(機内では控えめ)されているもの。機内からどっぷり香港の味を味わえる。
スターシェフの味をデザートまで堪能
帰路のHX610便(15:30香港発/20:55成田着)ではディナーが用意された。航空業界のトレンドを踏まえ、香港航空もスターシェフとコラボレートした機内食を提供していて、香港発便の日本線にはその料理が搭載されている。
プロデュースしているのは、世界的に超有名なロンドンの三ッ星店「ザ ファット ダック」などで研鑽を積み、現在は香港で活躍する香港人シェフのガブリエル・チョイ氏。メイン料理はガブリエル氏が監修したインターナショナルメニューのほか、和食と中華の3種類から選択する。
食前酒からデザートまでゆっくり味わっていると、あっという間に飛行機は着陸準備に入った。最後に香港のあの味をもう一度。未練がましく「香港式鴛鴦茶」をおかわりした。
※記事中の機内食は、2018年3月の成田=香港線で提供されたもの