2016年12月に世界同時にお目見えとなった、ユナイテッド航空の新キャビン「ユナイテッド・ポラリス」。それに伴い、サービスもよりラグジュアリーに一新され、ビジネス、ファーストクラスの機内食メニューもさらに豪華にグレードアップしている。
そんなUAの機内食を楽しむため、「ユナイテッド・ポラリス・ビジネスクラス」でアルゼンチンまで行ってみた。利用したのは、成田=ニューアーク線、乗り継いでニューアーク=ブエノスアイレス線である。帰国便はブエノスアイレス=ヒューストン線、乗り継いでヒューストン=成田線の行程だ。
赤・白それぞれ3銘柄を飲み比べ
その驚きはウェルカムシャンパンをいただき、おつまみのナッツに手を伸ばした時点から始まる。ナッツがローストしたてのように温かいのだ。ぬぬっ。なかなか細かいな……とポリポリ一気に食べてしまう。
さらに、ワインテイスティングができるサービスが登場し、赤・白それぞれ3つの銘柄のワインを一度に少しずつ飲み比べ。そこで気に入ったワインを食事に合わせてオーダーできる。レストランさながら、いや、レストランでもテイスティングを先にさせてくれてから注文するワインを選ぶことはめったにできまい。これはお酒好きの筆者にはかなりうれしいサービスだ。
筆者は日本発便では必ず和食をチョイスすることにしているため、ここでももちろん和食だ。本日の主菜は「銀だら西京焼き」。とろりとしたあんがかかっており、しっとりとしている。前菜に「紅茶鶏ロース」があった他は、全てが野菜とシーフードという、ちょっと軽めなのがうれしい。
デザートはカートで運ばれてくる中から自由に選び、和洋の差はない。UAでは以前から人気を博していた、トッピング自由なアイスクリームサンデーも健在だ。
朝食も和食をチョイス。「鮭の西京焼き」で、ディナーと同じように銀あんがかかっていた。それに、クロワッサン、フルーツ、ヨーグルトと、メインとその付け合わせ以外は洋食と同じと思われる。
深夜便でも5つのメニューを用意
乗り継いで、ブエノスアイレス線へ。こちらは2017年10月28日に就航したばかりで、キャビン自体はまだユナイテッド・ポラリスが導入されていないが、サービスはすでに一新している。
夜遅い時間の発便だったため、メインディッシュではなくアントレという形。とはいえ、チョイスは5つから、そして、ショートリブなんていうがっつり系もちゃんとある。
ここでは「ポーチド シュリンプ」をチョイス。ご飯にココナッツレッドカレーがかかっており、アジアンテイストだ。「欧米人向けのメニューだから、きっと甘いんだろうな」とナメてかかっていたら、これが意外と辛い。辛いモノLOVEな筆者としてはおかわりしたいくらいだった。幸せなり。
そして、何げなくうれしかったのが、朝食。フルーツとオムレツのチョイスがあったのだが、筆者には機内食の朝食でオムレツは頼まない、という謎のポリシーがあるため、フルーツを選んだのだ。すると、6種類のフルーツをたっぷり盛り合わせたプレートに、シリアルが運ばれてきた。
さらに、ギリシャヨーグルトもついてくる。山羊乳のヨーグルトで、筆者の家の近所ではちょっと高いお店に行かないと買えないやつ……。さすがだわ、とここでも喜びが湧き上がってくる。足りないのではないかな、と心配していたが、十分満足な朝食であった。
アルゼンチン便ならやっぱり肉!
さんざん南米で牛肉を食べまくって、いよいよ帰国である。ブエノスアイレスからの出発もまた、夜間だったため、軽い食事となる。21時の発便ゆえ、ここは軽く……と思ったものの、いや待てよ。ひょっとして、肉料理はアルゼンチン産のビーフを使っているのではないかな、と思い直し、「ビーフテンダーロイン」をオーダー。
サラダにはパウミート(ヤシの芯の部分で、やわらかく、ぽりっとした独特な食感がある。南米でよく食されている)がたくさん入っていて、南米最後の食事にふさわしい。とご満悦なのであった。
一日をチキンカツカレーから始めるのもいい
いよいよ最後のフライト、ヒューストン=成田線である。メニューを見ると、往路のニューアーク=ブエノスアイレス線で感激した、「ポーチド・シュリンプ」があるではないか。帰国便では和食にこだわらない筆者ゆえ、ここは迷わずこちらをチョイス。
盛り付けはヒューストン線の方が美しいようだが、やはり満足の辛さである。ほんのり甘くコクのあるココナッツレッドカレーといい、野菜たっぷりなところといい、また食べたかったあの味を復路でもいただけるなんて、ラッキー極まれりである。
最後は到着前の軽食である。到着時間に関わらず、朝食メニューっぽいのが多いのが常だが、ここではなんと、「チキンカツ」というチョイスがあった。カレーソースにご飯とあるので、これはつまりチキンカツカレー。朝食にあるまじきメニューだが、間違いない。これしかない。と意気込んでオーダー。人気があるようで、「数が足りないかも…」と悲しいお知らせを一度はされるも、無事に供されて喜びもひとしおだ。
メニューにある通り、カレーソースがかかっているのであり、カレーライスではなかったのだが、日本のカレーはその香りだけでかなり食欲をそそられるもの。カツは薄目なので見た目ほどのボリュームはないが、いかんせんソースが少ないので、ちびちびと肉にソースをつけてはご飯をいただくという、あくまでもカツカレー的な食べ方がおいしい。カレーソースをぜひおかわりしたかった。
実はこれらのフライトでは毎回、何かしら後ろ髪引かれるモノがあったのだ。何しろ、同行したカメラマンがオーダーしたものが魅力的に見えてしょうがない。自分のチョイスも決して間違ってはおらず、どれもおいしくいただいているのだが、「あっちも食べてみたい」と必ずなる。
成田=ニューアーク線の朝食のキッシュは、大きくてこんがりとしたいい香りがしていた。往路のブエノスアイレス線でも、かなり迷ったタイ風スープにうどん入りの「スパイシーチキン」もまた、復路の成田線でもメニューにあって選ぶことができたのに、また同じシュリンプを頼んでしまった、というような。
本当に、チョイスするのに時間がかかるほどのメニューの数々だったが、それもそのはず、ユナイテッド・ポラリスでは世界の名店のシェフたちとの共同開発によってメニューを構成しているそうで、そのメニューのバラエティと魅力は当然といえば当然なのだ。「また乗ってリベンジするしかない!」と思う次第である。
※記事中の機内食は、2017年12月の成田=ニューアーク線、ニューアーク=ブエノスアイレス線、ブエノスアイレス=ヒューストン線、ヒューストン=成田線で提供されたもの