多くの人の支持を集めることが人気のバロメーターである一方、常に評価の目にさらされる宿命にあるのが著名人たち。それぞれの職業観の中で、どのような言葉を支えにして苦境を切り抜けているのか。連載「わたしの金言・名言」は、著名人たちが心の拠り所としている言葉を聞く。
第24回の連載に登場するのは、デジタル写真集『アンゴラ村長「151センチ、48キロ」100ページ豪華版 with TALENT デジタル写真集』(講談社 2,200円)が大ヒットを記録している、お笑いコンビ・にゃんこスターのアンゴラ村長。一時期は「自分に自信がなかった」という彼女を支える“金言”とは。
本名の「歩実」に込められた思い
本名は「歩実」というのですが、「歩んだ道が実りますように」という思いを込めて、名付けてくれたそうです。本当にその通りの人生になっているなと思っていて。なので、どこに向かって歩いていくかを自分でちゃんと選んで、死ぬ時に素敵な人生が実ったのを確認したいです。
『キングオブコント』で準優勝して、テレビにバッと出させていただいたあと、露出が減って、仕事も少なくなった時期は、自分に自信がなかったので、他人が言う言葉のほうが真実に思えてきちゃって、相方やディレクターさんにこう言われたから、SNSでこんなふうに言われたから……と、自分がどこを歩いているか分からなくなっていたんです。そのときに、ちゃんと自分で責任を持って歩いていくぞ! と意識して決めました。今回、写真集でやりたい方向性が見えたのも、自分の軸ができていたからなのかなと思います。
そんなふうに考えられるようになったのは、堀未央奈さんの言葉に出会ったことがきっかけでした。堀さんは最初、乃木坂46でセンターを務めたあとに、アンダーメンバーという表題曲を歌わないメンバーになったことがあったのですが、堀さんはそのとき、「悔しい気持ちと戸惑いはあります。でもここが自分の本当のスタートだと思っています。成長させていただける機会をいただきました。ここで諦めたくないです。与えられた試練は自分次第で大きく成長できる機会。成長したねと言ってもらえるように、夏のツアーや舞台や番組、学ぶべき事はたくさん学んで吸収したいです」とおっしゃっていたんです。自分がちょうど露出が減ったときにこの言葉に出会って、私はテレビに出ていても、ずっと自信がなかったなと気づいて。堀さんのこの言葉に出会えたおかげで、変わることができたのかなと思います。
今は、夢だったテレビ埼玉の番組にレギュラー出演させていただいたり、ずっとやってみたかったエッセイの仕事をさせていただいたり、やりたいことができています。でも例えば、エッセイの仕事は不定期だったりするので、ちゃんと根づいて、エッセイの仕事の割合がもっと増えたら、より素敵だなって感じですね。そして、『キングオブコント』の決勝にもう一度進むことが、人生の主軸としてあります。やっぱり、ネタをやってお金を稼げたら、本当にうれしい。ネタを頑張っていたら、他の仕事も声をかけてもらえるようになるので、全力投球していかなきゃなと思っています。
アンゴラ村長
1994年5月17日生まれ。埼玉県出身。早稲田大学文学部を卒業後、ワタナベコメディスクールの20期生として芸人を目指す。2017年、お笑いコンビ・にゃんこスター結成の5カ月後に、縄跳びをとぶネタで『キングオブコント』準優勝。結成間もないコンビの躍進は大きな脚光を浴びた。現在は、芸人としての活動の傍ら、エッセイスト、コメンテーターとしても活躍中。