ダイビングは年配の方も楽しめるスポーツ

ダイビング(スキューバダイビング)の器材が揃ったら、いよいよ海に潜って水中撮影…と行きたいところだが、一つ忘れてはいけないことがある。ダイビングのライセンスの取得だ。しかし、初めてダイビングに挑戦する人は、「ライセンスってなに? 」「泳ぎが苦手でも大丈夫なの? 」「年配の人でも取得できるの? 」という疑問をお持ちなのではないだろうか。そこで今回は、ライセンスの取得について解説したい。憧れの水中撮影までもうすぐだ!

さあ、ダイビングでの水中撮影まであと少し

前回でも解説したが、ダイビングは泳ぎが苦手な人や年配の方でも楽しめるスポーツである。水泳のように顔を水面に出して息継ぎをしなくてもよいし、カナヅチの人でもBCジャケットが浮き輪代わりになってくれる。プールでは泳ぎが遅い人にも、足に履かせるフィンが凄まじい推進力を提供してくれる。筆者自身も泳ぎはすごく苦手で、息を吐いた瞬間に沈んでしまうため、クロールで25mも泳ぐとヘトヘトになってしまう。そんな状態なので、初めてダイビングを経験した時は、「こんなに簡単に水中を移動できるんだ」と感動したものである。また、ダイビングは日常生活を送るにあたって体力的に支障がなければ、年齢に関係なくチャレンジできるスポーツである。定年後に夫婦で楽しむ人も結構多い。ただし、いくつかの疾患(耳鼻、神経、心臓、呼吸器系など)や糖尿病をお持ちの方は、お医者さんに相談してから始める必要があるのでご注意を。

ライセンスを取得しよう

ダイビングを行う場合、前回紹介した器材も必要だが、なんといってもCertification(技能認定)カードが必須となる。このカードは、通称「Cカード」と呼ばれており、技能講習を終了するとダイビングの指導団体が発行してくれるものだ。つまり、Cカードは運転免許やパスポートのような公的な免許ではなく、技能認定のカードである。極端に言えば、Cカードを持っていない人がダイビングをしても罰せられるわけではない。「それなら、Cカードがなくてもダイビングができるんじゃないの? 」と思われるかもしれないが、Cカードがないと現地のダイビングショップで機材を借りることができず、ダイビングをするにあたって必要なガイドやボートといった手配も引き受けてもらえない。現実的には、これがなければダイビングはできないと考えたほうがよい。つまり、Cカードとは、「ダイビングに関する知識と経験があり、一人で器材をセットして安全に潜ることができます」という証明であり、ダイビングショップはそれを信じて手配をしてくれるのである。

これがダイビングライセンス、通称「Cカード」の一例。筆者は、近所にあるセントラルスポーツで取得した。DACSとは、セントラルダイビング協会(DACS:Diving Association of Central Sports)の略である

では、どうすればCカードが取得できるのか? 前述のように、Cカードを発行してくれるのは、民間の指導団体であり、公的な機関ではない。したがって、日本でもかなりの数の団体があり、指導内容もさまざまである。有名なところでは、PADINAUINDASSINASDSなど。Cカード発行までの流れは、だいたいどこの団体も似ていて、「学科講習」→「プール講習」→「海洋実習」→「Cカード発行」となる。学科講習では、ダイビングに必要な基礎知識を習得し、実際に器材を装着してプールで訓練。その後、海に出て実習を行う。団体によって取得までの時間は異なるが、DACSの「オープンウォーター(もっとも基本的なコース)」の場合は、学科講習=60分×6回、プール講習=90分×6回、海洋実習=1泊2日だ。カード発行までの費用は、教材費1万2,640円、学科プール講習費2万7,300円、海洋実習費3万9,900円、ライセンス発行料5,250円で約9万円弱になるが、時期によっては特別割り引きもある。

ダイビングショップによっては、取得までの料金が5万円程度の場合もある。また、沖縄やグアムで集中的に講習を行い、そのまま海で実習というパターンもある。通勤の途中に通う場合は、1日に割く時間が短い方が受けやすいし、平日はなかなか時間が取れない人は、休暇を取って集中講習を受けた方が取りやすい。団体やショップによっては、休日や夜間でも講習を設定しているので、自分のライフスタイルに合った方法で取得することをオススメしたい。

講習でひとつ注意してもらいたいのは、当たり前のことのようだが、できるだけきちんと受けてもらいたいということだ。実際のダイビングでは、数十メートルもの深さに潜るため、しっかりと訓練を受けていないと危険である。これは、私が実際に遭遇した話だが、たまたまファンダイビングで一緒になった人が、行程の3分の2ぐらいでタンクの空気が無くなってしまったことがある。すでに20m以上潜っていたため、そのまま浮上すると危険。そこで、ガイドさんが自分のレギュレータを使ってゆっくり海面まで連れて行き、危うく難を逃れた。他の人は問題がなかったのに一人だけ空気が無くなってしまった原因は、呼吸回数が多かったことと、中性浮力(浮いたり沈んだりしない状態)がうまく得られずにBCジャケットに何度もエアーを入れたり出したりした点にある。しかも、ガイドさんが途中でタンクの残圧を確認した際にきちんと数字を伝えておらず、残圧が少なくなっても自己申告していなかったのだ。

後から話を聞いてみると、海外のリゾート地で講習を受けてCカードを取得したそうなのだが、日本語が堪能な講師ではなかったために学科講習がきちんと受けられず、しかも、緊急浮上や水中器材脱着といった危険回避の訓練も受けていなかったようだ。たまたま問題が多かった所にあたってしまったのだと思うが、基本的な技術の数はそう多くないので、安全にダイビングを楽しむためにもしっかりと学んでおくことは重要である。

「PADI」は、世界180カ国以上で展開する世界最大のダイビング指導団体

世界で初のダイビング指導員組織がベースとなった指導団体「NAUI」

日本ダイビング協会「NDA」は、1966年に設立された西日本ダイビングセンターを母体とした日本で生まれた指導団体

米国に本部を置く世界的な指導団体「SSI」

「NASDS」は、1961年に米国で設立され、個人になにかあった際の緊急情報を納めたマイクロフィルムをCカードに内蔵

スポーツクラブで有名な「セントラルスポーツ」が運営する「DACS」

カメラを持って、いざ沖縄に出発!

さあ、Cカードが取得できたら、海へ出発しよう。しかし、「ライセンスを取りに行く時間がない」とか「不安なので、実際に体験してから取得するかどうか決めたい」という人には、Cカードなしでも潜ることができる「体験ダイビング」がオススメだ。PADIでは、「ディスカバー・スクーバ・ダイビング」というものを実施しており、10歳以上なら誰でも参加可能。プールもしくは6mまでの海で潜ることができ、オプションで12mまで可能だ。しかも、実際に取得する際には体験ダイビングの実績を組み入れてくれる場合もあるという。夏休みに海に行く予定を立てている人は、ぜひ挑戦してはいかがだろうか。

ということで、筆者はμ770SWを携えて海に行きます。場所は、ずっと憧れだった石垣島に決定。那覇から430kmもの先に浮かぶ離島の代表格である。八重山諸島の中でもメインの島であり、マンタ(オニイトマキエイ)が間近で見られることでも有名な所だ。石垣島に限らず、沖縄やその周辺の離島は、世界でも有数のダイビングスポットなので楽しみだなあ……。

今注目の離島、石垣島。こんなところらしい

しかし、ここで一つ問題が発生。よく考えてみると前回のファンダイビングから9年間もの月日が流れていることに気がついた。しかも水中撮影は、本当に初めてなのである(9年前のコンパクトデジカメは、ハウジングを使用してもダイビングの水深に耐えられなかったのだ)。まさか、沖縄まで行って一枚も水中写真を撮れずに帰ってきたなんていうことになったら、あまりにも悲惨だ。そこで、慌ててマイコミジャーナルの取材撮影等でお馴染みのカメラマンN氏に声をかけた。確か、趣味で水中撮影をしていると聞いたことがある。N氏は、「大丈夫ですよ。この間も撮影に行ってきました。じゃあ、沖縄に一緒に行きましょうか」ということで、快く同行を引き受けてくれた。筆者が水中撮影に失敗してもきっとN氏がなんとかしてくれるだろう。ということで、沖縄に行ってきま~す。

カメラマンのN氏と石垣島に向かって出発。がんばってきます!

次回はいよいよμ770SWを海に入れてみます

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