「鉄道写真は撮ってみたい。でも子供連れでは鉄ちゃんたちがいる場所に行けないよね……」と思っている方はいませんか。大丈夫です、多くの鉄ちゃんはそんなに排他的ではありません。子供やペット連れであっても、列車の撮影は可能です。しかし、一瞬のチャンスをものにしようとしている鉄ちゃんたちは、撮影現場では少々神経質になっているのも事実です。今回は、この連載の常連になっているテツヤくんのケースを例に挙げながら、子供やペット連れでの撮影時に注意すべき点を解説していきます。
週末のローカル私鉄マイコミ鉄道のSLマイコミ号(架空です)撮影がすっかり楽しくなってきたテツヤくん。ある週末もテツヤくんがSL撮影に向かおうとすると、どこから聞きつけたのか、妹のみずほさんとその子供のさくらちゃんが飼い犬を連れてやってきて、「一緒に行く!!」とついてきました。まだまだ自分のことで精一杯のテツヤくんは、撮影現場の空気が読めない妹や姪を見ていてハラハラドキドキです。
私の経験では、線路端にいる鉄ちゃんたちが普通の旅行客や子供、ペットをあからさまに嫌がることはありません。鉄ちゃん自身も子供だった時代があるのです。「わぁ~、すごい!!」と無邪気に列車を見ていた思い出だってあることでしょうから、子供たちをほほえましいくらいの気持ちで受け入れる度量があるのだと思います。
しかし、子供やペットを連れて行く側としては、列車が来る一瞬のために休日を使っている彼らの気持ちも理解しておきたいところ。真剣に待っている鉄ちゃんたちの集中力を妨げないよう、必要以上に騒ぐような行動は慎みましょう。また、線路際にはスチール写真以外に、動画を録ったり、走行音を録音する鉄ちゃんもいます。携帯電話はマナーモードに設定し、話し声のボリュームにも注意してくださいね。
テツヤくんは姪やペットのお守りに追われ、今回は全く撮影に集中できませんでした。でも途中で「もう今日は姪っ子サービスデーだ!!」と考えを切り替え、通り過ぎる列車を眺めたり、気楽な気持ちでシャッターを切るなど、これまでとは違った楽しみ方ができました。帰ってから写真を見ると、肩の力が抜けたのか、今までとは違うほのぼのとした雰囲気の写真が撮れました。
家族と一緒でないとおでかけが不可能な方の場合、テツヤくんのような楽しみ方をするのもよいでしょう。しかし列車が来る瞬間のために、全感覚をその一瞬に集中させることも、鉄道撮影の醍醐味です。「今日はじっくりと撮影に取り組みたい」という日は、家族には列車に乗ってもらうなどして自分一人になる時間を作るように工夫しましょう。
ミニ情報
10月1日、JR北海道にL特急「スーパーカムイ」がデビュー!
10月1日のダイヤ改正で、札幌-旭川間を走る特急が変わります。「スーパーホワイトアロー」と「ライラック」といったように2種類あった愛称が一本化され、新愛称「スーパーカムイ」に。そして、新しい特急型車両の789系投入によって、同区間の特急での所要時間がすべて1時間20分になります(早朝は除く)。これに伴い、781系車両が引退。同車両は国鉄末期のいわゆるL特急型です。新旧の列車を狙って、北の線路端がにぎやかになりそうですね。