列車が時刻通りにやってくるのは、当たり前のことではありません。中でも、長距離を走る列車は、それだけアクシデントに見舞われる可能性を持っています。休日を無駄にせず、被災地に迷惑をかけないためにも、アクシデントの有無は撮影前に確認したいもの。今回は、アクシデントと鉄道、道路について解説します(記事中に登場する鉄道名や駅名などの設定は架空です)。
ある日テツヤくんはテレビで、ある寝台特急がもうすぐ廃止になるというニュースを見ました。「そういえば、長い距離を走る列車は撮影したことがなかったなぁ」と、撮影を思い立ちました。
撮影日に選んだ週末は、見事な天気で撮影日和。ところが、通過予定時刻になっても寝台特急が来ません。「ちょっと遅れているのかな」と近距離列車の撮影でお茶を濁しつつ待ちましたが、数時間経っても来ません。他の鉄ちゃんを見つけて尋ねてみると、「運転が打ち切りになったんです。○○鉄橋の風速が、基準値を超えたんですよ」とのこと。そういえば○○鉄橋では過去に突風による事故があり、列車の徐行運転が多いことで知られていました。「こっちは天気がいいから、天気予報すら見てこなかった……」と自らの行いを悔いるテツヤくんでした。
規模の大きな鉄道路線や、長距離列車を撮影のターゲットにする場合、広い範囲の気象や、列車運行情報に気を留めておくとスムースです。しかし、他の情報収集と同様、いきなり鉄道会社や駅に電話したりしないでください。運行情報は鉄道会社のWebサイト、気象情報は専門サイトで簡単・確実に入手できるので、是非利用してくださいね。
情報によると、強風の影響により○○鉄橋の近くで架線が破損し、寝台特急は鉄橋の手前で立ち往生、復旧には時間がかかるようです。テツヤくんは、「廃止になる前にどうしても撮影したいなあ。列車が来ないなら、ボクが行けばいいや」と、その地点まで車で行くことにしました。並行する国道に被害はないようです。ところが、その国道はなぜか大渋滞。途中であきらめるしかありませんでした。
アクシデントが鉄道に限ったものである場合も、その付近の別の交通手段にも何らかの影響が出ている可能性を第一に考えるべきです。復旧作業や生活のため、普段より道が混雑することも考えられます。アクシデントの直後は現地での撮影は控え、完全に復旧したときに改めて訪れる機会をつくりたいものです。
寝台特急の姿すら見る事ができず、休日を丸一日棒に振ってしまったテツヤくん。「ローカル私鉄の撮影では、遠く離れた場所の気象なんて考えなくてもよかったのに。まだまだ知らない世界があるんだな」と感じました。しかし、「敷居が高い! 」と思うことはありませんよ。鉄道に興味を持ち、撮影を続けていれば、自然と気象や地理のセンスが身についてきます。それだけ、鉄道は国土や生活に密着した存在なのです。鉄道とともに日本の四季や、急峻な地形に理解が深まれば、撮影がもっと楽しくなりますよ。
ミニ情報
鉄道撮影にも役立つ、各地のライブカメラ
全国の主な道路や観光地に設置され、Web上で閲覧できるライブカメラは、その場所の気象や新緑、紅葉の具合などがわかるスグレモノです。ターゲットとしている撮影ポイントの近くにライブカメラがあるか、国土交通省道路局や、各地の観光協会のサイトなどで、調べてみましょう。