「時々利用していた鉄道の車両が、気が付いたらすっかり新しくなっていた」というような経験はありませんか。新車がデビューする時の事前情報は比較的少なく、知らない間に出発式のテープカットをやっていて、後からニュースで知ったということもしばしば。そこで今回は、新車撮影のための情報収集について解説します(記事中に登場する鉄道名や駅名などの設定は架空です)。

マイコミ150系が激パのうちに引退した頃、Webサイトのすみに小さく「新型車両N450系デビュー! 出発式のお知らせ」が掲載されました。テツヤくんはこれを発見し、「誰よりも早く撮影したいなあ。ヘッドマークも付くだろうな」と思いました。出発式が平日だったのすが思い切って有給休暇をとり、やる気満々です。

ところが、次の週末お立ち台に行くと、若い鉄ちゃんたちが何やら盛り上がっています。彼らは、もう既に新型車両の写真を見せ合っているではありませんか。「出発式までまだ1カ月もあるのに何故!? 」と大ショック。しかも、新車とはいっても親会社から譲渡された中古車で、機関車に引かれています。これは「甲種回送」といって、列車が"貨物"として搬入されるところなのです。

一般の鉄ちゃんという立場で誰よりも早く新車の写真を撮るとなると、この甲種回送を狙うことになりますが、時期やルート、時刻などは、鉄道会社には教えてもらえません。くれぐれも、電話やメールで問い合わせることは避けて下さい。情報は、鉄道雑誌や鉄ちゃんによるWebサイト、Web上の掲示板などで探すしかありません。こういった情報収集は初心者の域を越えたもので、表記もわかりにくいですが、ネット上であってもわからないことをいきなり質問するのは避けたほうがよいでしょう。

「誰よりも早く! 」は叶わなかったものの、それでもできる限り早く新車を撮影したいテツヤくん。思い切って、若い鉄ちゃんたちにそのチャンスがあるか尋ねてみると、「もう試運転をしてますよ」とのこと。これも、日にちや時刻を鉄道会社に教えてもらえないのは、甲種回送と同様です。

では、営業運転開始前に教えてもらえるものといったら、何があるでしょうか。それは「試乗会」や「展示会」などのイベントです。これは必ず行われるわけではありませんが、駅やオフィシャルのWebサイトで告知されます。イベント参加は、事前申し込み、抽選などの制限がつくこともあるので注意しましょう。

このように、新車は出発式の日に走り始めるわけはないのです。その上、新しい車両を入れるということは、鉄道会社、車両を制作、改造する会社、地元にとって経済的、技術的に非常に大きなことなので、事前の情報は絞られてきます。ですから、「新車をいち早く撮影したい! 」というのは、初心者鉄ちゃんにとっては一番難しいテーマかもしれません。ただ、言えることは、営業運転開始が近づくにつれ、試運転の頻度も増え、出会えるチャンスが増えるということ。普段利用する機会の多い鉄道で新車デビューの日が近づいたら、常にカメラを持ち歩いてスタンバイしているのが最も現実的な方法といえるでしょう。

ミニ情報
11月開始! 山陽-九州相直新幹線の走行試験
2011年春に開始予定の山陽 - 九州新幹線の直通運転。その量産先行車が先日報道公開されました。まもなく本線上で走行試験が始まります。お客を乗せるのはまだまだ先ですが、もう新しい新幹線が走り始めるのです。試験の節目などにはテレビや新聞での報道もありますから、2011年の春まで、新型車両が営業運転を始める経過を注目してみるのはどうでしょうか。