皆さんは路面電車について、どのようなイメージを持っていますか。「レトロな下町をのんびり走る」といった内容が多いのではないでしょうか。しかし、実際はそうでもありません。乗ってみると車内はそれなりに混んでいて、道では車に囲まれています。今回は、普通の鉄道撮影の応用編ともなる路面電車がある街での注意事項について解説します(記事中に登場する鉄道名や駅名などの設定は架空です)。
夏の疲れが出て来たテツヤくん。いつものように車で出かけたものの、あまりお立ち台に行く気がしません。ふと、「そういえば、マイコミ鉄道には路面電車もあったのに、撮ってなかったなあ」とひらめきました。「路面電車なら待たなくてもすぐ来るし、のんびり簡単に撮れるかな」と、軽い気持ちでマイコミライトレールに向かいました。
マイコミライトレールがある街に着くと、早速路面電車が走っていました。でも車をとめるところがありません。早く街中を抜けたくても、路面電車のために軌道の部分を開けておかなかればなりませんから道は渋滞気味です。「路面電車がなければ渋滞も少しは解消されるのかなー」なんて思ってからハッとしたテツヤくん。路面電車を撮りに来たのに何ということでしょう。
一時期、車優先で廃止が進んでしまった路面電車ですが、これからの時代は改めて車との共存を考えていかないといけないですよね。魅力的な風景を守るためにも、路面電車のある街では鉄ちゃんが率先して公共の交通機関を利用したいものです。
やっと駐車場に車を置いて、撮影機材一式を持って電車に乗ったテツヤくん。座ってのんびりと車窓を楽しもうと思っていたのに、座席はいっぱいで、つり革につかまるのがやっと。三脚とカメラバックが邪魔になってきました。
電車から降りても、電停は狭く、歩道は人でいっぱい。三脚を立てるスペースもなく、「いつもと同じ要領ではだめなんだなぁ。これならお立ち台に行った方が楽だったかも……」と路面電車の意外な素顔に驚くばかりでした。
現在活躍中の路面電車は、廃止をまぬがれて生き残ってきただけのことはあって利用者が多いです。特に、通勤通学の時間帯には混雑します。観光用にレトロ感を打ち出してPRしている路線でも、実際には乗り馴れた地元の乗客が多く、人の流れが決まっています。そんな中、電停や歩道で撮影しようとウロウロするのは大変危険です。車体はレトロでも、かなり都会的な路面電車。鉄道撮影というよりは、"街歩き"といったスタンスで気持ちと機材を準備した方がゆったり楽しめますよ。
ミニ情報
もうすぐ見納め? 長崎電軌の"両替袋"
一乗車100円の料金を守り続ける長崎市の路面電車は、最近まで両替機がありませんでした。運転士さんに1,000円札を渡すと、100円玉が5枚入った紙の袋(粉薬が入っているような袋)2つと交換、といった手作業の両替をしていました。このような工夫でできるだけ設備投資を押さえて、運賃を据え置いてきたのです。しかし、今年に入ってICカードが導入され、新しい料金箱の設置が始まりました。今のうちに是非、この両替体験を!