早いもので、今年もあと1カ月となりました。これからは忘年会、クリスマス、年末年始休暇、新年会……とイベントが目白押しで、持ち合わせが足りなくなることもありがちです。ちょっと資金不足になったりすることもあるかもしれません。そんなとき、あなたはどうしていますか?
その金利どれくらい? その返済いつまで続きますか?
お財布がピンチなとき、クレジットカードを使う人が多いのではないでしょうか。手持ちが少なくても買い物できる、飲食できるなど、クレジットカードは機会損失をしないで済む点では便利なものです。ただし支払いの仕方によっては様々な不利益となることも。
皆さんはまとまった金額を利用する際は、一括払いにしていますか。あるいは分割払いでしょうか。一般的な分割払いは、利用金額を回数で割った金額が1回あたりの支払額となるので、毎月利用していれば、毎月支払額も違いますし、利用すればするほどその分1回あたりの支払額は積み上がり大きくなっていきます。
したがって支払額が大きくなり、引き落とせなかったということがないように注意が必要です。
逆に、支払い回数を多くすれば毎月返済額はそれほど大きくはならないでしょう。しかし分割払いの場合、クレジットカードの手数料は支払い回数によって違います。3回払いですと2~2.5%前後、24回になると16%を超えます。定期預金の金利が0.01%であることを考えると、頑張って貯金をしてもクレジットカードの手数料を支払えば、貯金を目減りさせることになるのです。なお、クレジットカード会社によっても手数料が異なるので注意しましょう。
次に、同じ分割払いでもリボ払いという支払い方法があります。リボ払いは毎月の支払額を一定とする支払い方法です。毎月の支払額が一定だと毎月の家計が大きく変動しにくい、カードポイントが何倍付与されるというメリットがある一方、家計管理はクレジットカード利用の中でも特に注意が必要です。
どれだけ利用しても定額支払いですと、さほど負担感がなく、カード利用の歯止めがなくなりがちです。その結果、支払い総額や支払期間がわからなくなる人も少なくありません。
更にリボ払いの場合は金利が15%程度、かつ日割計算されるため手数料計算が複雑になります。支払総額が大きくなりがちなので、よほど家計管理をきちんとしないとおすすめできません(家計管理をきちんとできている人であれば、リボ払いは使わないのでは……)。
このようにクレジットカード利用の際は、常に手数料を意識しましょう。基本的には一括払い、ボーナス一括払いできる範囲が身の丈と考えた方が良いですね。
多重債務者は別世界の人というわけではない
もうひとつ、最近の社会問題になっていることもお伝えしておきましょう。多重債務者という言葉を聞いたことがありますか? 最近ニュースでもよく耳にしますが、消費者金融やキャッシングによる借り入れ(債務)が複数ある人のことです。多くの場合、借り入れを返済するために借り入れするといった悪循環に陥り、最終的には返済できずに破綻する(いわゆる借金地獄)という末路をたどる人も少なくありません。
自分には関係ない、自分はそうはならないと思うかもしれませんが、多重債務者になるのは決して別世界の人というわけではなく、ごく普通の会社員がなってしまうことも珍しくありません。
実は多重債務の始まりで多いのがキャッシング。消費者金融などは「無担保」「保証人不要」「即日融資」といった手軽さもあり、銀行のATMで引き出すのも消費者金融でキャッシングするのも感覚的に違いはないのでしょう。1週間以内の返済であれば、利息を取らないノーローンキャッシングというサービスもあるので、結婚式に招待されていたけれどご祝儀を引き出し忘れた、ちょっと用立てる必要があったというようなときに、銀行の時間外利用で手数料を取られるくらいなら、キャッシングしてしまおうと考える人もいるくらいです。
また、消費者金融を利用するのは抵抗があっても、クレジットカードのキャッシングサービスであれば抵抗なく利用してしまう人もいます。消費者金融であってもクレジットカードであっても、キャッシングが借金であることに変わりはありません。これもクレジットカードの罠といえるでしょう。
クレジットカードは上手な使い方をすれば、非常に利便性の高いものです。ただし後払いになることで、管理が難しくなります。家計管理では現金だけでなく、クレジットカードの支払い分も、利用月もしくは引き落とし予定月に計上しておくことをお忘れなく!!
鈴木暁子
ファイナンシャル・プランナー(CFP認定者)。キャリアコンサルタント。FPオフィス Next Yourself代表。「多様化するライフスタイルに応じたライフプラン・マネープランづくりが重要」という視点で、企業、自治体、大学オープンカレッジなどで年間約50回のセミナー・講演を行うほか、新聞、雑誌・WEBなどで精力的に情報発信をしている。
「お金はいい使い方をしてこそ活きる」をモットーに、これまでに数百件の家計診断のほか、 個人コンサルティングも行っている。資産運用、ライフプランニングを得意とし、特に共働き夫婦のライフプランニング、リタイアメントプランニング、高齢期のお金と住まい、相続設計に力を入れている。著書に『100歳まで安心して暮らす生活設計』(実業之日本社)。