人工知能やロボット技術の発展により、人々の働き方は大きく変わりつつある。特に労働生産人口が減少する国内においては、働きがいをもって付加価値の高い仕事に取り組む人々を増やすことが重要となる。こうしたなか、"シゴトでココロオドルひとをふやす"をミッションに掲げ、「共感」を軸に求職者と企業(採用担当)をつなぐビジネスSNSを展開するのがWantedlyだ。
同社では、ポジティブな姿勢で仕事に臨むための工夫が自社社員に対しても行われている。今回は、ビジネスチームに所属し採用などを担当するWantedly 五十嵐萌子氏に、社員の働き方やインターンシップの考え方について聞いた。
社員が働く環境にも多くのこだわり
同社の主軸事業となるビジネスSNS「Wantedly」は、給与や待遇などの条件面だけではなく、企業理念やパーパス、仕事内容などやりがいの部分にフォーカスして求職者と企業(採用担当)をマッチングすることが特徴だ。2012年に正式リリースされ、現在登録ユーザー数は350万人を突破。約4万3000社の企業情報が掲載されている。最近では転職者だけでなく、フリーランスや副業を希望する人からのニーズも増えているという。新卒採用やインターン・アルバイト採用にも活用されており、月間利用者の1~2割を学生が占めているそうだ。
"シゴトでココロオドル"人を増やすためのサービスを提供する側の人々ももちろん、日々やりがいをもって仕事に取り組んでいる。
同社では、コロナ禍を受けて一度はフルリモート体制に移行したものの、現在は月曜と火曜の週2日を原則出社日として設定。従業員は、リモートワークと対面のハイブリッド形式で働いている。特にカスタマーサクセスやマーケティングなどを担うビジネスチームは、対面のコミュニケーションを重視しており、オフィスで業務を行う従業員が多いという。
オフィスには、社長自らが選んだという海外製のアンティーク家具が並ぶ。都心にありながらも、窓からは緑が見え、落ち着いた雰囲気がつくり出されている。固定席はあるが、基本的にはフリーアドレス制で、ソファーやスタンディングデスクなど、どこでも自分のスタイルで仕事をすることができる。
イベントスペースやセミナースペースも充実している。現在は感染症対策のためリモートでの開催だというが、毎週金曜夕方になると全社員が集合し、アプリの新機能やイベント告知など、登壇したい人が自ら手を上げて発表するミーティング「Demo Day」が行われる。五十嵐氏は「目線を統一させたり、会社のカルチャーをどうアウトプットに反映させたか共有したりすることを大事にしている」と話す。
リモートワークの場合でも働く環境にこだわることが推奨されており、一時フルリモートになった際には、在宅ワークの設備を整えられるよう「コロナ手当」として従業員に一律3万円が支給された。手当で購入したものを社内報やSlackを通して報告し合うなど、社内のコミュニケーションも活発だ。
「共感」「自律」「挑戦」を生み出すためのさまざまな工夫
同社の働き方に関する取り組みは、モチベーションを生み出すために「共感」「自律」「挑戦」の3つがキーワードとなる。これらをサポートするという方針で、福利厚生の整備やカルチャーの浸透が進められている。上記にあげたような取り組みも、その一環だ。
内定直後に手渡される「カルチャーブック」には、会社のミッションや行動指針、歴史、社長の思いなどが掲載されている。2016年から毎年発行されており、社内イベントのレクチャーなどでゲームとして楽しみながら読む機会も設けられているという。
カルチャーブックでも解説されている会社の行動指針は6つ。「Focus on Users」「Code Wins Arguments」「Do More with Less」「Get Things Done」「Team First」「Move Fast」。これらの項目は、Slackでのコミュニケーションや月末の業務評価などでも重視されており、会議室や執務室には、デザイナーによって制作されたポスターが飾られている。バリューに込められた思いがスタイリッシュなデザインで表現されている。
インターン生もあくまで一社員 ― チーム一丸となってミッション達成を目指す
同社には、優秀なインターン生たちも集う。少数精鋭体制のサマーインターンでは、iOS、Android、フロントエンド、バックエンド、Webデザイナー、インフラ、データサイエンスといった各領域のエンジニア志望者を毎年受け入れている。参加報酬および宿泊費・交通費が支給されるため、地方から参加する学生も多い。参加者の口コミでは非常に好評で、後輩に勧めるケースもあるという。
ビジネスサイドでもインターン生が活躍している。こちらは、1~2年程、長期間のインターンとして活躍する学生も多いという。いずれにしても「インターン生」としてではなく「一社員」として扱われるのが特徴だ。
「エンジニアもビジネスも、将来どうなっていたいか、どのような仕事をしていきたいかすり合わせて、一人ひとりがミッションを持って業務に向き合ってくれています。インターンでありがちな『雑用』だけ渡すということはありません。もちろん何かあったときには社員がフォローしますが、たとえばセールスを担うインターン生が1人で商談に臨むこともあります。お客さまからは『インターン生だとは思わなかった』と言われるほど、皆一社員として会社を背負う覚悟をもって仕事をしています」(五十嵐氏)
どのような学生に来てほしいか五十嵐氏に聞いたところ「成長したい、ガクチカをつくりたいという気持ちがあるのもよいですが、何よりもWantedlyのミッションや世界観に共感していただいていることが重要」と力を込める。同社が抱く課題意識を自分ごと化して、同じ目線で解決に向かっていける"仲間"を求めているという。なお、新卒入社を希望する場合、必ずどこかのタイミングでインターンに参加する必要がある。
ウォンテッドリーには、インターン生に限らず、全社的にフラットな風土がある。上下関係なく全員が1つのチームメンバーのようだ。
「インターン生や社員という垣根を超えて、"シゴトでココロオドル"人を増やすためにやるべきこと、社会のために必要なことが何かを自分の力で考え、行動できるメンバーが集まっています。ちょっと背伸びしなければできないような挑戦的なことにも積極的に手をあげられる人、自分自身の仕事にも"ココロオドル"ことができ、没頭して成果を出してもらえるような人に来ていただけると嬉しいです」(五十嵐氏)