仕事仲間のつながりから副業や転職、キャリアアップなどのチャンスを広げることが出来るキャリアSNS「YOUTRUST」。転職市場に新風を巻き起こしているYOUTRUSTは、自社でどのような働き方をしているのだろうか。人事グループの門野妹氏にお聞きした。

  • YOUTRUST コーポレート部 人事グループ 門野 妹 氏

転職のあり方を変えるキャリアSNS「YOUTRUST」

2018年4月にサービスを開始した「YOUTRUST」は、仕事仲間とのつながりで副業や転職のオファーを受けたり、仕事の情報を収集したりできるという、"信頼"を軸においたキャリアSNSだ。タイムラインからつながりのある友人・知人の異動や転職、最新の仕事内容を知ることで、それをキャリアの参考にすることができる。

人と人とのつながりが見えるため、経歴書では伝わらない人柄や普段の仕事ぶり、周囲のその人への信頼もプロフィールとなる。信頼できる友人や知り合いと「YOUTRUST」で繋がり、長期的な信頼関係を築いておけば、さまざまな出会いが期待できる。

現在は約10万ユーザーが登録しており、Web版のみならず、iOS版・Android版アプリもリリースされているため、学生や若手ビジネスパーソンも気軽にスタートできるだろう。

一方で、人材を探す法人向けのサービスも展開している。スカウトできる範囲は「友達の友達」までであり、関係性の近い相手に対しオファーできるので、その返信率、採用率は非常に高いという。キャリアアップを目指している方、転職、副業を探している方、自社にあった人材を探している企業、それぞれに利点があるのが魅力だ。

では、そんなキャリア向けSNSを展開している同社の社員はどのように働いているのだろうか。人事グループの門野 妹 氏にお聞きしてみたい。

副業メンバー率約70%、その多くがオンライン

現在、正社員30名に対して、副業メンバーが70名以上在籍しているというYOUTRUST。副業メンバーの多くはオンラインで働いており、コミュニケーションを円滑にするために「Slack」や「Notion」を活用し、業務を可能な限りドキュメント化することを徹底しているという。

そんな環境において、YOUTRUSTは正社員と副業メンバーとのコミュニケーションをどのように実現しているのだろうか。

「当社には、正社員と副業メンバーで線引きをしたりすることなく、"ワンチームでやっていこう"という社風があります。日々のミーティングはチームごとにやっておりますが、その他に事業に関する重要な意思決定や、共有するべき重要な議題を取り扱う『全社会』を月一回は必ず実施しております」

全社会は主にZoomを利用して開催しており、正社員や副業メンバーだけでなくインターン生も参加しているそうだ。また、時間的に参加が難しい方には録画を残しておき、いつでも情報を確認できるよう工夫しているという。

このような多様な働き方に対応するべく、就業規定も柔軟性が高い。制度としてはコアタイムフレックス制を導入(正社員は一部職種に限定)。育児・介護をしている社員のために、例えば平日のお迎えや休日の運動会といったプライベートを邪魔しないよう、労働時間に配慮する体制を整えているそうだ。

「とくに副業メンバーは他に本業を持たれているので、業務委託契約で、あまり時間を問わず働いていただいています。朝や夜の時間帯、もしくは土日に副業という方が多いですね。現在はオフィスを構えていますが、出社も必須ではありません。週一で出社推奨日はありますが、来る方もいれば、遠方なので来られない方もいます。ハイブリッドに働けるよう、個々の事情に応じて分けています」

副業メンバーの中には、地方からリモートワークをしている人も少なくないという。もともとインターネット企業で働いていた人も多く、コロナ禍の影響でオンライン化も進んでおり、戸惑いの声はほとんどないそうだ。そのエリアは、北は北海道から、南は鹿児島県まで広がっている。

都内のマンションの一室にあるオフィス

YOUTRUSTの現在のオフィスは、都内にあるマンションの一室だ。とはいってもその面積は非常に広く、メインオフィスのほか、複数の会議室・個室を備えている。同社はどのような基準でオフィスを選んでいるのだろうか。

「実はコロナ禍で一時的にオフィスを解約し、シェアオフィスを間借りしていたことがありました。ですが自宅では集中して働けない人もいますし、やはり全員で集まる場所が欲しいということで、2021年4月に現在のオフィスに入りました。基本的に華美ではなく、いつでも移動しやすい住宅形式で、メインルームと個別の会議室を作れることを条件に選んでいます。1on1で話す文化を非常に大事にしているので、なるべく個室が取れるようにしています」

  • 個室の中には、床に座って話ができる部屋も

社員が集まるメインルームにも、社員でマインドの共有を促す工夫が行われている。

「メインルームには、だれでも自由に読める本棚を用意してあります。当社には書籍の購入制度があり、紙の本であれば会社が補助を出しています。スタートアップ企業では考え方を同期することが重要ですが、そんなときに本はすごく良いツールになるんです」

  • 社員図書館と呼ばれることもあるという、リビングの本棚

YOUTRUSTが実施している「お試し副業」とは?

YOUTRUSTの採用にはひとつ面白い仕組みがある。入社前に副業メンバーとして働いてみることができる「お試し副業」だ。大きく2つのパターンがあり、働き方にあわせた「お試し副業」が行えるという。

「ひとつは、社員選考を受けてもらう前にいったん副業として働いていただき、雰囲気や相性を知ってもらう長期お試し副業のパターンです。1ヶ月以上の比較的長期にわたるケースが多いですね。もうひとつはすでに選考を受けられた方向けのパターンで、お互いが最低限見極めたいものを確認するパターンです。どちらかというと短期で、一番短いと1Dayです。副業メンバーは別にお仕事をされている方が多いので、お休みの日を使ってオンラインで試していただいたりしています」

YOUTRUSTで働きたい人にとっては非常に魅力的にうつる「お試し副業」。実際、会社・社員それぞれの立場から好意的な声が上がっているそうだ。

「実際に一緒に仕事をしてみることで互いに気づくことはやはりありますし、ご本人の納得感や安心感はものすごく増えているのではないかなと思います。実際、入社1ヶ月後のヒアリングで『お試し副業のおかげで入社後もギャップがなかった』といった話は聞いています」

長期のお試し副業を経由した場合、すでにお互いのことをよく知っている状態になるため、研修期間は短めに設定されている。オンボーディングとYOUTRUSTのカルチャーに馴染むプログラムを一週間程度受けるだけだという。なお、今後は1Dayお試し副業の人、お試し副業が出来ない人に向けて、1ヶ月程度のプログラムも検討しているという。

そんなYOUTRUSTが求める社員、インターンシップに来て欲しい学生は、どのような人物像だろうか。

「学生さんであっても、自分のキャリアに向き合っている方にぜひご参加いただきたいですし、自分の人生をどうするかを考え、成長していこうという方にご入社いただきたいと思っています。今いるメンバーもそういう方向からYOUTRUSTを見つけてきて、ミッションに共感してくれて入社いただいた方が多いので、この文化は守っていきたいと思いますね」

人生を全部取りしよう

運営しているキャリアSNSで得られる体験をそのまま形にしたような働き方を実践している、YOUTRUST。同社は、どのような価値の創出を目指して働いているのだろうか。門野氏は、YOUTRUSTが掲げる4つのバリューの中で、創業当時から変わらず、社風が色濃く出ている2つについて紹介してくれた。

「『GIVE FIRST』は、大切な人に自ら与える、ギブ&テイクではなく、進んでギブしていこうという意味があります。『KEEP THINKING』は、一人ひとりが深く考え続け、それを会社の集合知としてアウトプットしようという思いがあるものです」

  • 創業4年目に改定した4つのバリュー

門野氏は最後に、YOUTRUSTの働き方を表すひとつの言葉を紹介してくれた。

「これは当社代表取締役の岩崎がよく言う言葉のひとつですが、『人生を全部取りしよう』というワードがあります。岩崎は女性起業家ということで色眼鏡をつけて見られることが多かったこともあり、『働くロールモデルをいろいろな形で増やしていくことが次世代に繋がる』『企業目線ではそれが採用力になる』という未来の実現に向けて取り組みを進めています。『ワーク・ライフどちらかだけを選ばなければいけない働き方にはしない』という点は、カルチャーとして根付いていると思います」