結婚式がその形を変え、ウェディング業界にも変化が訪れている中、顧客に寄り添った式を提供しているCRAZY。ウェディングブランド「CRAZY WEDDING」が高く支持される理由は、その社風にあった。CRAZY 執行役員 CHOの遠藤理恵氏に同社の働き方を聞いてみよう。

  • CRAZY 執行役員 CHOの遠藤理恵氏

    CRAZY 執行役員 CHO 遠藤理恵氏

「愛がみえる世界」を作るCRAZY WEDDING

CRAZYは、「人々が愛し合うための機会と勇気を提供し、パートナーシップの分断を解消する」をパーパスとして掲げ、ウェディングブランド「CRAZY WEDDING」を中心にサービスを展開している会社だ。

同ブランドでは、"ゲスト中心"の設計に重きを置いた「IWAI OMOTESANDO」、二人にしかできない結婚式の形を実現する「order made」、オンライン結婚式サービス「Congrats」など、結婚式の可能性を広げるさまざまな試みが行われており、利用者から高い評価を得ている。

  • ウェディングブランド「CRAZY WEDDING」が高く支持される理由
  •  CRAZY WEDDING
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    CRAZY WEDDINGの中核を担う、「IWAI OMOTESNDO」

今春には、ふうふのパートナーシップをより深めるためのアプリのリリースも予定しているという。

また個人向けのみならず、法人向け事業も提供。企業の新製品・ブランド発表会、記念パーティや忘・新年会などのイベントも手がけている。

結婚に対する価値観が変わり、さらにコロナ禍によって人と人が会う機会まで減少した昨今。それでも同社が高い顧客満足度を実現している背景には、社員の自由な発想とそれを形にできる仕組み、そして仲間の生き方を尊重する社風があるようだ。3人目の子供を妊娠中という遠藤氏に、同社の魅力をお聞きしてみたい。

その人の価値観に寄り添った結婚式を

「結婚に対する価値観は本当に多種多様です。世代ごと、地域ごとにも異なり、コロナ禍においても新しい考え方が生まれました。CRAZYではそんなお客さま一組一組に寄り添い、本音に向き合い、つねにアップデートを繰り返してきました」

遠藤氏はCRAZYの姿勢をこのように話す。いま少人数婚が増え、さらに「結婚式を挙げなくても良い」という価値観の人が増えている。この変化はコロナ禍を経てさらに加速し、リモート婚という新しい形も生まれた。

「とはいえ、リモート婚まで行く方は少ないと思います。コロナ禍で会えないいま、あえてリアルでやることに価値を見いだしているようにも感じます。まさにいまブライダル市場は変化しています」

近年、結婚式に対する価値観が変わりゆく中、CRAZYはまさにその最前線で、結婚する人たちとともにその在り方を考え続けている。

「スキル」とではなく「人」と働く

そんな同社は、オフィスの在り方も独特だ。その特長は「場をみんなで作ること」。両国にあった以前のオフィスは、代表を含めた社員でリノベーションした物件だったそうだ。さらに毎日全社員でオフィスを掃除する時間が設けられていたという。

「両国オフィスでは、会社とオフィス、お客様と社員といった、人と人との境界線を曖昧にしていました。代表含めフリーアドレスで、社員みんなが本当に良いものを作れる空間になるようにしてきました。現在はオフィス機能を縮小し、リモートワークを中心としていますが、この考え方は創業からずっと変わりません」

また、コロナ前から週に一回"パフォーマンスデー"を設けており、この日は出社でも自宅でも、好きな場所で働くことができたという。現在はリモートワークに転換しており、出社もリモートも自由に選択可能となっている。

「制度で縛るのではなく、成果をベースとして、どんな働き方が良いかを考えられる仕組みにしています。例えば、仕事にまだ慣れていない新入社員は出社にしたり、クリエイティブが必要な社員はカフェで働いたり。成果が一番出るスタイルは一人ひとり違うので、社員と対話を重ねながら設計しています。週末だけ山梨から通っている社員もいます。自分のしたい生き方をしながら働けると、人は気持ちよく働けて成果にも繋がると思います」

  • CRAZY 執行役員 CHOの遠藤理恵氏

    「制度は良い点もあるが、それを理由にやめようと考える理由にもなる」と遠藤氏

CRAZYは「仲間とともに生きる"場"」

CRAZYには、全社員の前で自分の人生について10分間プレゼンをする「ライフプレゼンテーション」という時間があるそうだ。現在は入社3カ月後に行われており、先輩社員がバディとなってプレゼンターの人生を深掘りする。資料を使う人、歌のようにまとめる人など、プレゼンの仕方はさまざまだという。

「我々の仕事はいわば人生を扱うものですから、社内でのパートナーシップにもこだわっています。社員の人生をちゃんと扱っていくことは、制度とは関係なく第一優先です。経営の優先事項として、人間関係とビジネスの両立を掲げています。『仲間を愛し、ともに生きる』という点にウェイトを置いているんです」

"どんなときでももう一度、理想から描いて良い"というのもCRAZYの良さだという。そのために福利厚生もその時の理想形にしており、託児所も作った(※コロナ禍の影響を受け、2020年9月から休止中)。また合宿には家族で参加でき、コロナの感染拡大前には沖縄の離島で3泊4日の研修を実施したそうだ。

「当社では、基本的に"従業員"という言葉を使わず、"社員"と呼んでいます。従う人ではありませんから。内部的には会社とも呼ばず、"CRAZY"や"私たち"です。CRAZYとは、『仲間とともに生きるひとつの"場"』と考えています」

  • CRAZY 執行役員 CHOの遠藤理恵氏

    取材時に第三子を妊娠されていた遠藤氏だけに、子どもがいる働き方への理解は深い

いつかの理想ではなく、今、この瞬間を理想で生きる

ライフ・ワーク・バランスを重視した働き方を考える人にとって、CRAZYはとても魅力的な会社だろう。では、逆にCRAZYが望む社員とはどのような方なのだろうか。

「創業時から続く私たちの唯一の約束事が、『変化ができる人』です。人と人との関係に興味のある方、社会をもっと温かくしていきたい方、これは大前提として、自分の人生を生きたい人であってほしいです」

27歳のころにCRAZY WEDDING創業者である山川咲氏に誘われ、CRAZYに参画したという遠藤氏。現在もCRAZYで働いている理由を次のように話す。

「『いつかの理想のために、今を犠牲にする』ではなく、『いつかの理想ではなく、今、この瞬間を理想で生きる』と決めたときにCRAZYの創業に参画しました。今もその軸は変わっていません。私にとっては、CRAZYが一番『自分自身が実現したいことを実現できる会社』だと思っています」