溢れる情報を地図化して俯瞰
考えをまとめたい時に効果的【2007年11月号掲載】



スペック

[発売元] マインドジェット [価格] 1ユーザライセンス:2万790円、アップグレード版:1万290円 [OS] Mac OS X 10.4以上 [メモリ] 256MB以上(512MB以上を推奨) [HD] 80MB以上 [備考] PowerPC G4/G5、またはIntel CoreDuo(1.25GHz以上のPowerPC G4/G5、または1.67GHz以上のIntel CoreDuoを推奨)。1024x768以上のディスプレイ [掲載号] 「Mac Fan」2007年11月号

OVERVIEW

企画やアイデアを生み出したり、物事の計画を立てるための技法に「マインドマップ」というものがある。

基本となる考え方は単純。まず中心となるトピックを決め、そこから枝を伸ばすように関連した項目を思いつくままに放射状に広げてゆく。この技法のメリットは、項目と項目とを枝のように伸ばしていくことで発想や連想がしやすく、関係をヒモ付けしていくことで複雑な情報でも把握しやすくなることにある。

本製品は、このマインドマップをMac上で作成するツールで、その特長は、思考を妨げないシンプルな操作性にある。そのままパッと画用紙を机上に広げたようなウインドウとシンプルな操作性は、起動すればすぐに思考に集中できる環境を提供してくれる。

(1) 基本は[リターン]キーを押してゆくだけ
操作の基本は、起点となるトピックを選択した状態で[リターン]キーを押すだけ。自動的にサブトピックが放射状に配置されていく。各トピックの内容は任意に書きかえることが可能

また、本製品で作成したマップは、画像やPDF、HTML形式などで書き出すことができる。企画をまとめた後にうまくレイアウトを調達してから別の形式に書き出せば、企画書やプレゼン資料の作成にも一役買いそうだ。

(2) さまざまなフォーマットへ書き出しが可能
作成したマップは標準テキストからJPEG、PNGといった画像フォーマットへも書き出しが可能だ。もちろんPDFもOK。プレゼンや資料の配布には便利だろう

FOCUS ON

(3) トピックや枝の形状も変更可
マップでもっとも目を引く特徴は放射状の枝は、インスペクタで簡単に変更可能だ。また、トピックの形状や色もこのウインドウから設定することができる

本来、マインドマップは、紙にカラーペンで手書きするものだが、本製品を利用することにより、手描きよりも楽に作成していくことができる。

基本的な入力は、マウスを使わずにキーボードだけで可能だ。また、項目の追加や削除、訂正、移動も柔軟に行えるため、手描きよりも素早く、効率的に作成していける。限られた時間の中でアイデアを出さなければならないビジネスマンには、重要なポイントとなるだろう。

また、「ハイパーリンク」という機能を使えば、各項目へURLを追加したり、ファイルを添付することもできる。アイデアや計画をまとめていく際、資料となるWEBページや必要なファイルなどを付け加えておけば、後でその計画を実行する時にすぐに呼び出すことができ便利だ。

(4) スポットライトにも対応
本製品はスポットライトに対応している。作成したマップ中に含まれるトピック一つ一つが検索対象となる

(5) 印象的なトピックにする
ライブラリには豊富なアイコンが用意されている。目立たせたいトピックに挿入すると効果的だ

このように、手書きでは到底不可能な快適さを備えたツールであることは間違いないが、本製品がユーザの思考の肩代わりをしてくれるわけではない。使いこなすためにはソフトの使い方よりもマインドマップという発想技法を身につける必要があり、慣れない間は、最終的なマップも貧弱なものになるだろう。

そういう意味で、本製品は実際の使用には慣れが必要といえる。ある意味、試される覚悟が必要だ。

AFTER REVIEW

とりあえずスラスラとマップらしきものが出来上がってしまう。しかし、これが罠だ。自分だけのアイデア発想に使うならそれでもいいが、他人が見てわかるマップを作成するには相当な訓練が要求されるだろう。ユニークなソフトではあるが、すぐに何らかの利益となるものではないため、購入をためらう人もいるだろう。体験版が公開されているので、試してみて投資に見合うか検討してみよう。