Flashアニメ初心者向けの
手軽で安価な入門ツール【2009年5月号掲載】



スペック

[発売元] サイバーフロント [価格] 8,190円 [OS] Mac OS X 10.3.9以上 [メモリ] 512MB以上 [HD] 100MB以上 [備考] 要Adobe Flash Player 9 [掲載号] 「Mac Fan」2009年5月号

OVERVIEW

Flashアニメの制作に興味があっても、本家の「Adobe FLASH Professional」はどんどん高機能化し、手が出しにくくなっている。そんな中、Flashの高度な表現や機能を最低限に抑え、その分、アニメーションに特化して簡単シンプルにしたのが本製品だ。

(1) シンプルな操作環境
外部ファイルを読み込んだり左のエリアから素材を選んで、上のタイムラインでタイミングを、右のパネルでアニメ効果を与えていく。前バージョンからほとんど変化がないが素材は120点ほど増えている

本バージョンでは、前バージョンの基本性能はそのままに、ビデオファイルや携帯電話用Flashへの出力に対応したほか、Flash作品を共有する投稿サイト「Kanfoo(カンフー)」にアクセスする機能を搭載。より幅の広い利用を提案してくれる。

FOCUS ON

まず注目したいのは携帯向けFlashへの対応だろう。本製品では、代表的な携帯の画面サイズと、Flashのバージョン(携帯によって搭載しているFlashのバージョンが異なる)を任意で選ぶことができる。また、従来からあったフォトアルバム作成機能も、携帯に対応した。

(2) 携帯用にも書き出せる
携帯に転送して待ち受けアニメにしてみた。今後、時計など携帯ならではのパーツと組み合わせられるようになると携帯Flash作成ツールとしてかなり魅力的になると思う

(3) 写真をFlashアルバムに変換
複数の写真からアルバムを作る機能も携帯に対応した。ただし、携帯Flashでは容量の制限があるので、あまり多数の写真を取り込むと携帯で再生できない

日常的なコミュニケーションを携帯で行っている人が多いことを考えると、この意味は非常に大きい。自作グリーティングカードで友人を喜ばせたり、待ち受け画面にして日常的に持ち歩くなど、一気にアニメ作りの楽しみ方が増える。

また、Flash投稿サイトとの連携も注目だ。カンフーは、同社が運営しているFlash投稿サイトで、自分でWEBサイトを持っていなくても多くの人に作品を公開できるほか、知り合いにだけ見せるといった用途にも対応する。カンフーに投稿したムービーは、YouTubeのように自分のブログに貼り付けるタグを生成してくれるので、Flashを直接アップロードできないブログサービスでも手軽に利用できるのがうれしい。しかし、ソフト内にあるカンフーとの連携ボタンはWEBサイトにログインするだけのもので、ファイルアップロードや登録作品管理はWEBブラウザで行う必要がある。ソフト内でこれらの機能を持てば、より扱いやすかった。

(4) 投稿サイト「カンフー」と連動
作成したアニメーションをカンフー内で公開したり、自分のブログ、携帯電話で見てもらうためのQRコード生成ができるなど充実した内容。前バージョンユーザも利用できる

一方、制作機能そのものは基本的に前バージョンと変化がないのは残念だ。実際、前バージョンでも自分で各種設定を行えば携帯向けムービーの制作は不可能ではないだけに、すでに持っている人には買い換えるだけのメリットが少ない。前バージョンユーザ向けに、もう少しインパクトのある新機能が欲しかったところだ。

(5) 描画ツールを新搭載
本バージョンでは、新たに直線ツールと自由描画ツールが追加された。自由描画は本格的に絵を描く用途には向かないが、「自分で描いたものが即座に動くうれしさ」は体験できる。塗りつぶしができないのが残念だ

AFTER REVIEW

アマチュア向きと思いきや、テキストのモーションなどは本家Flashよりも作りやすく、効果の微調整もしっかりできる。プロのクリエイターが補助的に利用するのもアリだ。携帯用Flashは、機種による違いや容量制限などさまざまな注意事項があり、トラブルが発生しやすい。将来、そのあたりをサポートしてくれる機能が付けば、携帯コンテンツ作成ツールとしての魅力もより高くなるだろう。