復元前の画像プレビューとシンプルな操作が魅力
【2009年2月号掲載】



スペック

[発売元] ジャングル [価格] 1万5,750円 [OS] Mac OS X 10.4以上 [メモリ] 512MB以上 [HD] 50MB(さらに復元したいファイル分以上の空き容量) [備考] 600MHz以上のPowerPCまたはインテルCPUを搭載したMac [掲載号] 「Mac Fan」2009年2月号

OVERVIEW

本製品は、ウィンドウズで定評のあるデータ復元ソフト「完全復元」シリーズの初のMac対応版で「完全データ復元PRO」と「完全フォト復元」の2種類のソフトが同梱されている。

完全データ復元PROの主な機能には、空き領域をスキャンして消去してしまったファイルを復元する「消去ファイルスキャン」、初期化やディスクトラブルにより消えてしまったファイルを復元する「紛失ファイルスキャン」、ボリューム自体が認識されなくなった状態でボリュームの検出を行う「破損ボリュームスキャン」がある。対象となる記憶装置は、ハードディスクはもちろん、Macで認識可能なあらゆるリムーバブルメディアで、ファイルシステムはHFSとHFS+に対応する。また、消去ファイルスキャンではFAT形式にも対応するため、ブートキャンプ用ボリュームからのファイル復元も可能だ。

(1) インターフェイスは極めてシンプル
完全データ復元PROのメイン画面は極めてシンプル。必要なツールがツールバーにスッキリ収まっている

一方の完全フォト復元は、その名のとおりデジカメで使用されているFAT形式のメモリカードやUSBメモリなどに特化した復元ソフトだ。スキャンを行う前に選択したファイル形式のみを復元する。JPEGやTIFFなどの汎用画像ファイル形式はもちろん、デジカメメーカー固有のRAWデータを指定・復元できることも大きな特徴となっているが、実は音楽や動画、ワードやエクセルのファイルにも対応している。

FOCUS ON

満を持してのMac版登場となったが、すでに「ファイルサルベージ」や「データレスキュー」などのソフトが定番の地位を確立している分野だけに、生半可な復元率ではシェアの確保は難しい。そこで、上記2本のソフトと消去ファイルの復元テストを行って比較してみた。結果、復元率はほぼ同じレベルだった。

(2) 信頼できる復元率
他のファイル復元ソフトとの比較検証。完全に初期化したメディアに、20種類(各5個ずつで計100ファイル)のファイルを書き込んでから消去を行った。iBook G4 1.33GHzにて、USBの1GBフラッシュメモリ(HFS+でフォーマット)をスキャンした

インターフェイスはシンプルで扱いやすいし、復元前にプレビューでファイルの内容を確認できる機能も便利だ。さらに、RAWデータ対応の完全フォト復元も付属しているので、一眼レフのデジカメを扱うユーザにはおすすめだ。

(3) ファイルのプレビューが可能
スキャン後に発見されたファイルのプレビューを表示することができる。ただし、JPEGやPNGなどの画像やPDFファイルは表示できたが、音声ファイルやムービーファイルはプレビューできなかった

(4) デジカメデータに特化
完全フォト復元の画面。プルダウンメニューから、撮影したカメラのメーカーを選んでファイルの種類を絞り込むことができる

(5) RAWファイルもプレビュー可能
完全フォト復元では、各メーカーのRAWデータも復元前にプレビュー表示できる

完全フォト復元では、スキャンと同時にMacの内蔵ハードディスクに復元可能なすべてのデータを保存してくれる。スキャン後に必要なファイルを見つけ出す手間は省けるが、大容量メモリカードをスキャンする際は、ハードディスクの空き容量に気を配る必要があるので注意すること。

(6) ファイル名は維持されない
どちらのソフトも、元のファイル名は維持されない。文書ファイルの内容からファイル名を付ける機能を搭載していないのは少々残念

AFTER REVIEW

HFS+では極めて高い復元率となった。トラブルがあってもすぐに対処すれば、かなりの確率で復元できるはずだ。一方、FATフォーマットでは、正しい拡張子で復元できなかったファイルがあった。検証では、「.ai」(イラストレータファイル)が「.pdf」に、「.psd」ファイルが「.psp」に変わってしまった。手入力で拡張子を戻せばいいが、知らなければ対処できない。実際には復元できているのにもったいないと思う。