アートからビジネスまで、スライドショーならお任せ
【2009年1月号掲載】



スペック

[発売元] アクト・ツー [価格] ダウンロード版:1万3,800円、パッケージ版:1万5,800円、アップグレード版:9,800円 [OS] Mac OS X 10.4.11以上 [メモリ] 512MB以上 [備考] 1GHz以上のPowerPC G4/G5、もしくはインテルCPU搭載のMac。インターネット接続環境(ライセンスキー認証時) [掲載号] 「Mac Fan」2009年1月号

OVERVIEW

誰でも気軽に、豪華なスライドショームービーを作成できる「パルプモーション」の上位バージョンが、この「パルプモーション・アドバンス」だ。 基本的な機能はパルプモーションと同じで、スライドショーにしたい写真や動画ファイルを好きな順番で並べて、あらかじめ用意されている演出パターンから好きなものを選ぶだけ。好みで音楽をBGMとして指定することもできる。

(1) わかりやすい3画面構成
左上が写真などのメディアの表示画面。右上が各種設定や読み込むメディアファイルの表示などの、いわゆるコントロール画面。そして下がタイムラインと、動画編集ソフトでお馴染みのインターフェイスだ

加えて、パルプモーション・アドバンスは、それぞれの作業に対して、より細かなカスタマイズができるようになっている。例えば、最初に写真の一部をアップで表示して、それから写真全体を表示するといった演出を選んだとき、アップで見せたい箇所を複数指定することができる。ほかにも、音楽のタイミングを正確に指定したり、音声のトリミングを行って好きな部分だけを割り当てることができるなど、それこそ思いどおりのスライドショームービーが作れるようになっている。

(2) 部分クローズアップを細かく設定
写真の好きな部分をいくつでも四角で囲んで、それぞれに名前や解説テキストを登録できる。こうすると、まず各部分が解説付きでクローズアップ表示され、最後に全体が表示される

(3) 音声の編集モードも搭載
波形表示機能付きの音声エディタも搭載しており、音声ファイルから好きな位置を切り出せる。機能は多くないが、本ソフトだけでひととおりの編集を行えるのがうれしい

FOCUS ON

素材として使うそれぞれの写真に対して、トリミングや回転といった基本的な編集ができるのはもちろん、スライドショーの中にナレーションを入れたり、テキストだけの画面を挿入することもできるので、高度なプレゼンテーションムービーがこれだけで作成できる。

例えば筆者は、最近トークショーを行っているが、そこで流すスライドショーの作成には、演出パターンが豊富な分、「Keynote(キーノート)」より向いているように思った。特に、写真の好きな部分を解説のテキスト付きで、好きな順序でアップにして見せていけるのは、プレゼンの際、とても有効だ。しかも本バージョンでは、写真単位で音声を録音することができるため、写真+文字+音声による解説ムービーを簡単に作れてしまう。

(4) 演出パターンをさらに調節
同じ演出パターンでも、色やテクスチャなどを細かくカスタマイズできる。そのため、出来上がるムービーのバリエーションは豊富だ

便利だと感じたのは、各写真に対して施した設定(トリミングや部分クローズアップなど)が、別の演出に切り替えても引き継がれることだ。そのため、写真に対して凝った設定を済ませたあとで演出を選ぶことができる。その演出パターンも、背景の色を変えたり、好きなテクスチャを貼り付けたりと、自由度が高い。

なお、現在は英語版のみの発売だが、購入者は日本語版が出た際に無料アップデートが可能だ。ただ、そもそも操作性がよく直感的に使えるため、英語版でもそれほど問題はないはずだ。

(5) 出来上がりは高品質
出来上がったムービー。レンダリングを丁寧に行うせいか書き出しに時間はかかるが、仕上がりは良好。美術館を歩くようなムービーから、本をめくるようなものなど面白いものが揃っている

AFTER REVIEW

パルプモーションが6,200円と手頃なのに対して、本バージョンは1万3,800円(ともにダウンロード価格)。スライドショー作成ソフトにこの価格は高いと思ったが、使ってみるとそれだけの価値があった。デザインされたテーマを選ぶという気軽さと、細かなカスタマイズ機能が、使いやすいインターフェイスのおかげで両立しているという印象だ。解説入りのプレゼン用ムービーを作りたい人には特におすすめできる。
(本製品は販売終了となっています)