表計算ソフトとの互換性を向上し、入力操作もより快適に
【2009年1月号掲載】
2008年の3月に登場したパーソナル・データベースソフト「Bento」が、ユーザからのさまざまな声に応えて早くもバージョンアップを果たした。「Bento 2」のもっとも大きな特徴は、「Microsoft Excel」や「Numbers」のデータを直接読み込んで変換することができるようになったことだろう。表計算ソフトでお馴染みの入力操作も取り入れ、より多くのユーザにとって使いやすいソフトへと進化した。
スペック
[発売元] ファイルメーカー [価格] 1ライセンス:5,040円、ファミリーパック(5ライセンス):1万290円 [OS] Mac OS X 10.5.4以上 [メモリ] 512MB以上(1GB以上を推奨) [備考] 867MHz以上のPowerPC G4/G5、またはインテルCPUを搭載したMac [掲載号] 「Mac Fan」2009年1月号
OVERVIEW
Bentoは、住所録や顧客リスト、本やDVDなどのコレクション管理、その他個人が持つさまざまな情報を整理できるデータベース作成ソフトだ。一からデータベースを作成する以外にも、Mac OS X付属の住所録「アドレスブック」やカレンダーソフト「iCal」のデータを自動的に読み込ませ、項目を独自に追加して活用することもできる。
初のメジャーバージョンアップとなる本製品では、ユーザからのリクエストに応え、多くの改良が施されている。中でも注目は、「Microsoft Excel(以下、エクセル)」や、アップル製の表計算ソフト「Numbers(ナンバーズ)」形式のファイルを読み込んで活用できるようになったことだ。
さらに、タブ区切りのテキストデータも読み込めるようになった。かつてアップルが販売していたビジネスソフト「AppleWorks(アップルワークス)」のデータも、利用することができるわけだ。また、これらの表計算ソフトから、コピー&ペーストでデータを持ってくることもできる。
(1) 表計算ソフトからコピー&ペーストできる |
インターフェイスにも改良が施された。Bentoは、1つのレコードをカードのように表示する「フォーム形式」と表計算ソフトのような「表形式」、この2種類の表示形式がある。Macユーザに馴染みの深いカード型データベースのインターフェイスと、表計算ソフトを使っているユーザにとって見慣れたインターフェイスの両方を備えているのが前バージョンの特徴だが、本バージョンでは、さらに一歩進んでウインドウを分割して両方を表示させることができるようになった。
さらに、テンプレートの書き出し/読み込みが可能になったことや、データベースの中に「メールメッセージ」フィールドを追加してメールを関連付けられるようになった点も見逃せない注目ポイント。メッセージの登録操作も、ドラッグ&ドロップだけと簡単だ。
(3) メールメッセージを登録できる |
FOCUS ON
Bentoでは、情報を「レコード」や「フィールド」といった言葉で分類する。住所録で例えると、一人一人の情報が1レコードにあたり、その中の「電話番号」や「アドレス」などの項目がフィールドにあたる。
エクセルのデータを読み込ませると、「行」をレコードとして、「列」をフィールドとして処理する。読み込み時には、フィールドのタイプ(テキストなのか、数値なのか)をフィールドごとに選択できたりと、かなり細かな設定ができ、元のデータをしっかりと活かして取り込めるのがうれしい。
また、データの入力操作もこれまで以上に快適になった。例えば、表示方法を表形式にすると、「フィルダウン」という操作でデータを追加できるようになっている。さらに、表形式での編集中、エクセルでいう「セル」単位で項目をコピー&ペーストできるようにもなった。
こういった表計算ソフト特有の操作にも対応したことで、データベース作成ソフトをまったく触ったことがない人でも、戸惑わずにデータを入力できるはずだ。もちろん、大量のデータを迅速に修正・追加するうえでも、非常に有効な機能アップといえる。
(6) 住所からGoogleマップを表示可能 |
AFTER REVIEW
前バージョンでは対応形式が限られていたが、本バージョンでエクセルやナンバーズのファイルを読み込めるようになり活躍の場はさらに広がった。表計算ソフトでもさまざまな情報をリスト管理できるが、管理したい情報にアドレスブックやメールメッセージを関連付けられるのは、表計算ソフトにはない魅力だ。Mac内の情報を有効活用することで、より情報密度の高いベータベースが作成できるだろう。