iTunesと強力に連携する、お手軽価格の本格DJソフト
【2008年10月号掲載】



スペック

[発売元] ベスタクス [価格] 6,930円 [OS] Mac OS X 10.4以上 [メモリ] 512MB以上 [HD] 70MB以上 [備考] 1.0GHz以上のPowerPC G4/G5、またはインテルMacに対応 [掲載号] 「Mac Fan」2008年10月号

OVERVIEW

DJソフトは、単に音楽を再生するだけでなく、フィーリングのままに楽曲をつなぎ合わせ、スピードやピッチ(音程)をコントロールしながらリミックスして音楽を能動的に楽しむことができる。そんなDJプレイの楽しみを手頃な価格で味わえるのが、この「djay」という製品だ。

基本操作はいったってシンプル。2台のターンテープルとミキサーが配置され、画面右側にiTunes のライブラリが表示される。そのライブラリから楽曲をターンテーブル上へドラッグ&ドロップすれば演奏が開始されるという仕組みだ。

(1) iTunesのライブラリと連動
楽曲はiTunesのライブラリをそのまま利用する。スポットライト検索も可能だ。プレイリストの編集はdjay上ではできないため、あらかじめiTunes上で仕込んでおくといい

(2) ターンテーブル操作が可能
レコードはマウスで操作可能。アーム部を動かし再生場所の変更もできるが、さすがにスクラッチ操作はマウスでは限界がある。本気になったらコントローラの導入を検討しよう

実際のターンテーブルと同様にスピードコントローラで楽曲の再生速度を変更でき、さらにピッチコントーラで音程の調整も可能だ。なお、左右のターンテーブルの曲をクロスフェードさせるクロスフェーダーは、MacBookなどマルチタッチに対応したトラックパッドなら2本指で動かすことができる。

他にも、2つの曲のテンポを同期させるビートシンク機能、指定した箇所を繰り返し再生するループ機能、エコーやリバーブなどのエフェクトなど、DJプレイを楽しむための機能を充分に備えている。

(3) 2曲のテンポをビートシンクさせることも可能
曲のテンポに合わせながら[TAP]をクリックしていくと楽曲のBPMを算出できる。保存も可能だ。[SYNC]ボタンを押すと2つの曲のBPMが同期する

FOCUS ON

本ソフトのターンテーブルに曲をドラッグ&ドロップすると、楽曲にアートワークが設定されていれば、そのまま画面上のレコードに再現される。レコード好きにはうれしい演出だ。このソフトには、このようなMac上でアナログ的な感覚の再現に心くばりされている箇所がいくつもあり、好感が持てる。

(4) アートワークをラベルに表示
再生する楽曲にアートワークが設定されていれば、レコード面にレーベルのように表示される。アートワークによってはキューポイントが見にくくなるため、非表示に設定することも可能だ

本製品はDJソフトとしてはむしろ後発であり、高価なソフトと比べて機能はそれほど多くない。例えば、BPM(テンポ)を自動で算出する機能がないため、曲ごとに手動で設定する必要があるし、音声波形の編集もできない。しかし、これだけあればミックスは十分は楽しめるはずといった潔さすら感じさせる。

また、iTunesで曲間を切れ目なく再生したい場合にはクロスフェード再生しか手段がないが、本製品を使えば、エコーをかけたり逆再生をしながら次の曲につなぐなど、いかにも DJ的なつなぎを簡単に楽しむことができる。さらに「オートミックス」機能を利用すれば、自動で曲間をつないでくれる。ジュークボックス的に気楽に利用するという使い方もできるのだ。

(5) すべての操作にショートカットがある
低音を抜きながら次の楽曲をつなげるなどDJの常套手段はマウスよりもキー操作が便利だ。例えばターンテーブル1の低音域を下げたい時は[コントロール]キー+[S]キー。すべての操作にショートカットがある

AFTER REVIEW

この価格で十分に遊べる仕上がり。わいわいとノリで楽曲をつなげてゆくのも楽しいし、キューポイントを駆使しながらリミックスの構成を練るのも楽しい。録音機能を使えば、自分のプレイをオーディオファイルとして書き出すこともできるので、リミックスCDを作ったり、iPodでも楽しめる。贅沢をいえば自動でBMP算出をしてくれたり、テンポの近い楽曲を抽出してくれるような機能が欲しかった。