複数のiTunesを一発同期! iPodからの同期にも対応
【2008年9月号掲載】



スペック

[発売元] フロントライン [価格] パッケージ版:4,410円、ダウンロード版:3,360円 [OS] Mac OS X 10.5、Windows XP、Windows Vista [メモリ] 256MB以上 [HD] 15MB以上 [備考] 個人および家族が、MacまたはウィンドウズPCに5台までインストール可能 [掲載号] 「Mac Fan」2008年9月号

OVERVIEW

iTunesは共有機能を備えているため、簡単に同一ネットワーク内のiTunesライブラリを参照して曲の演奏ができる。

ただしこの機能は、参照したい相手のマシンが動いていなければならず、さらに共有の設定がオンになった状態でiTunesが起動している必要がある。この問題を解消するには、それぞれのマシンのライブラリがすべて同じになっていればいいのだが、そのためにファイルをコピーしてプレイリストを作って……というのは非常に手間がかかる。そんな面倒な作業を自動で行ってくれるのが、この「TuneRanger(チューンレンジャー)」だ。ソフトをインストールしたマシンのiTunesライブラリを調べ、ファイルをコピーしたり統合しながら、複数台のマシンのiTunesを同期することができる。

1本で5台までのマシンにインストールが可能で、またウィンドウズにもインストールできるため、OS環境を越えた使用が可能だ。

(1) わかりやすいインターフェイス
起動すると左右にiTunesアイコンが表示される。左が起動したマシン内のiTunes、右がネットワーク上にあるほかのiTunesだ。リモート側のマシンにもTuneRangerをインストールしておく必要がある

FOCUS ON

複数のiTunesを同期するということは、各マシンに同じファイルが存在することになり、容量の面から見ればあまり効率的とはいえないかもしれない。ただし、細かな同期設定ができて自動で利用できるので、使い方次第では大きなメリットがある。例えば、デスクトップマシンとモバイルマシンの両方を使っているユーザがこのソフトを利用すれば、どちらのマシンで曲を読み込んでも、簡単な手順で両方のライブラリを合体させ、同じ内容にすることができる。

(2) 同期形式が複数選べる
左右のiTunes同士の同期はいろいろな形式が選べる。本体側からリモートへのコピーやその逆、お互いのファイルを見比べて同じ内容にする「マージ」などが選べる。最初の同期はこのマージが自動的に行われる

(3) 同期オプション設定も豊富
同期時のオプションも豊富で、比較条件を設定したり、レートや再生回数、EQ設定などのメタデータも同期することができる。同期時に衝突するファイルは指定フォルダに移動させる設定も可能だ

(4) iPodとの同期も可能
iPodを接続するとリモート側がiPodに変わり、iTunesとの同期を取ることができる。iPodに入っている内容をiTunesに転送することも可能だ

さらに、このソフトのもう1つの魅力は、iPodからiTunesに曲のコピーを行うことができることだ。ハードディスクが壊れてしまってiTunesのライブラリがなくなってしまったとき、iPodから書き戻しを行うのに重宝するはずだ。

また、このソフトはインターネットを越えてライブラリの同期を行うこともできるようになっている。例えば、仕事場にいるときに、自宅のMacの中の音楽を再生したいと考える人はいると思うが、iTunesの共有機能はインターネット越しの再生は不可能だ。このソフトを使用して同期することで、会社でも自宅でも同じ曲を聴けることに魅力を感じる人はいるはずだ。ただし、この機能を使うためにはファイアウォールの設定やルータの設定が必要になるので、ヘルプなどを参考にしてキチンと設定しよう。

(5) 同期時にはダイアログで確認して行う
同期を取るときにはログが表示され、さらにどのファイルの同期を取るかなどの確認ダイアログが出る。間違って消してしまうことがないようにできるだけ内容は確認したいところだ

AFTER REVIEW

iTunesは共有機能を備え他のマシンの曲を簡単に再生できるため、同期に必要性を感じるユーザは限られているかもしれないが、インターネット経由のライブラリの同期は面白い。ただしその場合、ルータでポートフォワーディングなどの設定を行い、外部からMacにアクセスできるようにする必要があり、設定が難しい。本来できないiPod側からの同期が行えるのは、いざというときに役に立つだろう。