アイデアをビジュアル化する、ビジネスドローイングソフト
【2008年6月号掲載】



スペック

[発売元] アクト・ツー [価格] 2万1,800円(スタンダード版:9,800円)ほか、各種アップグレード価格を用意 [OS] Mac OS X 10.5以上 [掲載号] 「Mac Fan」2008年6月号

OVERVIEW

本製品の最大の特徴は、直感的な操作で、誰にでも簡単に美しい組織図や概念図、フローチャート図などが作成できることだ。本製品を使えば図形の配置や移動、拡大/縮小する際に中心線や等間隔配置のための矢印が表示され、きれいに位置を揃えることができる。

本バージョンではインターフェイスが改良され、ウインドウ上部にミニインスペクタが表示できるようになった。そこから図形の色や位置、線の種類などの基本的な属性の変更が手早く行える。また、描画機能では、従来図形だけでしかできなかったベジエ曲線による描画が、線を描く時にも使えるようになった。

(1) テンプレートを選ぶだけで簡単にデザイン
「テンプレートセレクタ」で基本デザインを選択すれば、箇条書きテキストを元に、選んだデザインでチャートや組織図、メモなどが作成できる。文字からすぐに図を作成できる便利な機能だ

(2) 線の描画機能が向上
前バージョンでは図形描画のベジエ曲線には対応していたが、本バージョンでは線の描画にもベジエ曲線を使って、思いどおりの曲線が描けるようになった

ステンシル(図形素材)の内容も大幅に変更されたほか、ステンシルウインドウに検索機能が追加され、米オムニグループ社のWEBサイトで公開されているステンシルも検索して、好みのステンシルを自由に追加できる。

(3) オンラインでステンシルを入手
[ヘルプ]メニューからオムニグループが提供するステンシルアーカイブ「Graffletopia」にアクセスして、好みのステンシルを自由に追加できる

FOCUS ON

本バージョンの新機能で注目したいのは、図の新規作成時に現れる「テンプレートセレクタ」だ。セレクタから好みのデザインを選んでおけば、サイドパネルに表示される[アウトラインエディタ]で箇条書きテキストを入力していくだけで、選んだテンプレートのデザインで図が作成される。装飾方法に頭を悩ませることなく即座に目を引く図が作れるため、図の作成時間を大幅に減らすことができるというわけだ。

あとから位置関係を編集したい時も操作は簡単だ。このソフトでは、図形と線が「磁石」という概念でつながれており、図形を動かすと線も追従して動くため、わざわざ線を引き直す必要がない。

(4) 図形の設定が簡単に
塗りつぶしや線の太さや色の変更、吸着の有無など、主要な属性の変更・設定は、ツールバー下のミニインスペクタで行えるので、インスペクタウインドウまで手を伸ばす必要がない

(5) 図形の位置合わせが簡単
アイテム配置やサイズ変更の際は、自動的に水色のガイドが表示され、グリッドを使わなくてもアイテムの間隔や側面などをきれいに揃えられる

また、本製品には配置した図形ごとの位置を自動で調整する自動レイアウト機能も備えている。本バージョンでは、新しいレイアウトエンジンが搭載され、この自動レイアウトの方法も複数のバリエーションが選べるようになった。図の編集時ににいくつか試してみることで、新しい見せ方に気づくこともあるだろう。

数々の新機能の搭載により、本製品はより簡単に、見栄えのよい図が作成できるツールとなった。ドローイングソフトに少々慣れているなら、マニュアルなしで使いこなせるだろう。あらゆる場面で便利に使えるツールであり、1つ備えておいて決して損のない製品だ。

AFTER REVIEW

本ソフトの使いやすさ、仕上がりの美しさは、アップルのiLifeアプリケーションに通じるものがある。なお、今回は盛り込めなかったが、プロ版はセルによる表作成や図形の合成、ColorSyncによるカラーマッチングの対応など、実に機能満載だ。ただし、そこまでの機能が必要ないユーザは、スタンダード版でも十分だろう。ダウンロード版の価格は9,800円と、極めてコストパフォーマンスに優れている。