ネットワーク越しの脅威からMacを徹底防御
【2008年5月号掲載】



スペック

[発売元] アクト・ツー [価格] 8,980円 [OS] Mac OS X 10.4以上 [HD] 約40MB以上 [備考] PowerPC G3以上、またはインテルMacで動作。解像度800×600ピクセル以上のディスプレイが必要 [掲載号] 「Mac Fan」2008年5月号

OVERVIEW

ネットワークを通じてコンピュータ同士が相互接続されるようになった現在、無視できないのがセキュリティに関する問題だ。スパイウェアなどを用いた不正な侵入や個人情報の盗難など、ネットワーク越しの脅威はいくらでもある。「ネットバリアX5」はその名のとおり、そういったネットワークを通じた侵入からMacを守るためのソフトだ。

今回のバージョンの最大の特徴はやはり、Leopardへの完全対応だ。競合製品と比較しても、ネットバリアはよりMac OS Xのシステムに密着したMacらしいソフトであり、Leopardへの対応は素直に歓迎できる。

(1) 防御策をわかりやすく整理
ネットバリアの機能は、侵入を阻止するファイアウォール、データを保護するプライバシー、悪質なプログラムの実行を阻止するアンチバンダルに大別される。複数の設定を作成し、切り替えて利用することも可能だ

もう1つの大きな新機能は、「Washing Machine(ウォッシングマシン)」の搭載だ。これはネットバリアからは独立したアプリケーションで、WEBブラウザのクッキーやキャッシュ、履歴などを、指定した時間ごとに削除してくれるというもの。特にキャッシュや履歴の削除機能は、プライバシーを守るためには欠かせないものだ。

(2) WEBの情報を定期的に消去
X5の新機能「ウォッシングマシン」では、WEBブラウザの履歴やキャッシュなどを削除することができる。複数のリストを作成し、それぞれ別の時間帯に削除するといった細かい設定も可能となっている

FOCUS ON

本製品を使用してみてまず感心するのは、ネットワーク使用状況の詳細なモニタリングが可能なことだ。OS標準の「アクティビティモニタ」と違い、ネットバリアではアプリケーションごと、プロトコルごとにデータのやりとりを監視できる。また、iPhoto共有やファイル共有といったサービスが利用しているポートをモニタリングすることも可能だ。実際に1台のMacが標準的に利用するポートの数は驚くほど多いが、そこから「スマートフィルタ」を用いて表示を絞り込むことで監視がしやすくなる。

また、ファイアウォールの機能では、「ルール」と呼ばれる概念を用い、サービスごと、イーサネットやAirMacなどのインターフェイスごとに細かくデータのやりとりを規制することができる。

(3) ソフトごとにやりとりを監視
ネットバリアではプロトコルごと、アプリケーションごとにネットワークの使用帯域を監視できるようになっている。これにより、不正なアクセスをより詳細に把握することができるわけだ

(4) ポートの使用状況をチェック
Mac OS Xで動作している各種サービスが使用しているポートと、その状態を細かく監視することもできる。スマートフィルタを用いて条件に合致するポートのみを抽出することも可能だ

もちろん一般的な利用の範囲では標準設定のままで問題なく、初心者にも使いやすい設計になっているが、わかりやすいインターフェイスときめ細かなカスタマイズ機能のおかげで、上級者にもおすすめできるほどの高機能を誇っている点は、大きなアピールポイントだ。Leopard標準のファイアウォール機能と併用することで、より強固なセキュリティを確保することができるだろう。

(5) 標準設定でOK
もちろん初心者にも扱いやすいデザインになっており、通常利用の範囲であれば、初回起動時にアシスタントが設定してくれる内容そのままで問題はない

AFTER REVIEW

確かに高機能、かつ使いやすいソフトだが、大多数のMacユーザにとってどれほど必要なのかという疑問は存在する。レパード標準のファイアウォールを適切に設定し、ブロードバンドルータを介して間接的な接続が行われていれば、たいていのユーザにはそれで十分という見方もあるだろう。だがサーバ用途の利用など、標準のファイアウォールでは機能が不足している人には、有力な選択肢の1つとなりそうだ。