インターフェイスと操作性を一新し、より使いやすい3Dソフトへ
【2008年4月号掲載】
Shade(シェード)の今回のバージョンアップは、Shadeがこれまで持っていた独特さを改めて見直し、全面的に改良した意欲的なバージョンアップといえる。文字情報だった部分をアイコンに変更したことや新たな操作ツールであるマニピュレータの搭載は、直感的な操作を実現するだけでなく、作業効率のアップにも貢献する。一方で、ユーザーレベルに合わせて選べる3種のラインアップ体系は継承し、価格面での3Dソフトの敷居を低くしている。国産3DCGソフトの雄「Shade」は、誰にでも薦められるツールとして生まれ変わった。
スペック
[発売元] イーフロンティア [価格] Professional:10万5,000円、Standard:4万5,000円、Basic:1万2,800円 [OS] Mac OS X 10.4.11以上 [メモリ] 1GB以上(2GB以上を推奨) [HD] 2GB以上 [掲載号] 「Mac Fan」2008年4月号
OVERVIEW
Shadeは、モデリングからレンダリング、アニメーションまでができる国産統合型3DCGソフトだ。記念すべき「10」の数字を冠した本バージョンは、インターフェイスを刷新し、使いやすさに重点を置いた進化を遂げた。
例えば編集画面では、これまで4分割ウィンドウの表示方向が固定となっていたが、本バージョンでは各ビューごとに表示の切り替えメニューが配置され、見やすい角度に随時切り替えながら作業を進められるようになった。
(1) 改良されたユーザインターフェイス |
操作面では、オブジェクトを移動する際に便利な「マニピュレータ」を搭載した。これは選択したオブジェクトを移動や回転、拡大/縮小する際に矢印やボックスのハンドルをドラッグして直感的にコントロールできるというものだ。
(2) マニピュレータと数値変形を搭載 |
もちろん、髪や毛皮を生成できるヘアーサロンの機能強化やレンダリング手法の充実など、表現力の面でもさまざまな機能アップが図られている。
FOCUS ON
新搭載のマニピュレータは、多くのソフトでは標準だっただけにやっと来たというのが正直な感想だ。従来の方法は1つ1つツールボックスから選んで使うスタイルだったためShadeは操作系が特殊という印象が強かったが、マニピュレータを搭載したことで他の3Dソフトの経験者も馴染みやすいものとなった。また、バウンディングボックスも表示され、スナップ機能や数値入力による変形にも対応した。正確な寸法のモデリングに必要な待望の機能であり、既存のユーザにとってはこれだけでもアップグレードの価値があるといえるほどだ。
(4) 表現力の向上した「トゥーンレンダリング」 |
セルアニメーションのような画像を作り出すトゥーンレンダリングも大幅に強化されている。新しくセルアニメ/テクニカルイラスト/マンガ原稿/鉛筆画の4つのモードが用意され、それぞれ非常に細かな設定が可能だ。前バージョンでは細かなコントロールもできず思いどおりの画が作れなかったが、本バージョンでは輪郭線の描画品質もアップして高品質な結果が得られる。さらに、このレンダリング結果はベクターデータとしてAdobe Illustrator形式やFlash(SWF)形式で書き出すこともでき、3DのデータをWEBやグラフィックデザインに活用していける。
目新しい機能を追うだけでなく、実用的な機能の充実や作業効率のアップに重点が置かれた今回のバージョンアップは、多くのユーザに歓迎されるだろう。
AFTER REVIEW
4分割ウインドウの表示を自由に変えられるのは、なぜ今まで採用しなかったのか不思議なくらい、とても便利なインターフェイスだ。また、マニピュレータは、他の3DCGに馴れた人の作業速度を改善するが、以前の操作に慣れたユーザもいるだろう。そうした既存のユーザのために非表示にすることもできるのは親切だ。一とおりの機能は成熟した感があるので、今後はアニメーション機能の充実を期待したい。
(本製品は販売終了となっていますが後継製品が発売されています)