Macで再生されている音声なら、なんでも録音できる
【2008年1月号掲載】



スペック

[発売元] アイギーク [価格] パッケージ版:1万3,400円、ダウンロード版:8,820円 [OS] Mac OS X 10.4以上 [備考] 1GHz以上のPowerPC G4/G5、もしくはIntel Mac。QuickTime 7.0以上 [掲載号] Mac Fan 2008年1月号

OVERVIEW

「WireTap Studio(ワイヤータップスタジオ)」は、米アンブロージャ社が開発したサウンド取り込み・編集ソフトだ。旧バージョンは「WireTap Pro(ワイヤータッププロ)」というオンラインソフトだったが、今回のアップグレードでは、まるで別のソフトのように進化している。

通常、Macで記録・保存できる音声には、市販のCDやQuickTimeムービー(プロバージョンのみ)があるが、それ以外にも録音したい音はたくさん存在する。ゲームの効果音やセリフ、BGMだったり、ストリーミングの音声であったり、時にはiChatで聞こえる話し声だったりする。「WireTap Studio」はこれらすべてを自由自在に録音して編集できるのだ。原則的にMac上で鳴っている音はすべて取り込めると思っていい。

また、取り込むだけでなく、さまざまな編集作業がオリジナルデータを残しつつできるようになっている。標準設定では、録音の始まりと終わりと、カットしてつないだ箇所がクロスフェードがかかって不自然にならないように処理される。もちろんクロスフェードの時間を変更したりなくしたりすることも可能だし、Macに最初から用意されているエフェクタを付加することもできる。

(1) 扱いやすい編集ウィンドウ
録音が終わると自動的に表示される編集ウインドウ。フェードの長さを変えたり不要な部分をカットするのも直感的にできる

FOCUS ON

「WireTap Studio」の優れているところは2つある。まず起動して行うことは録音ボタンを押すことだけというシンプルでわかりやすいインターフェイスだ。

デフォルトでは、Mac上で鳴っている音をすべて録音する仕様になっている。さらに、ライン入力につないだ音声を記録したり、指定したソフトだけ録音することも可能だ。

(2) シンプルでわかりやすいコントローラ
デフォルトではMac上で鳴るサウンドをソフトの区別なく録音する設定
(3) 録音ソースの指定も簡単
録音する音源は、ソフトウェアを指定したり、ライン入力に切り替えたりと自由自在だ

(4) 録音する前に音質確認ができる
とにかく重宝するのがライブプレビューだ。圧縮レベルを変更すると、実際にサウンドがどのくらい変化していくのかを録音前に確認できる

もう1つは、MP3やAACで録音する際に、事前にライブプレビューでサウンドの劣化具合を確認できることだ。プリセットでは圧縮レベルはいくつもの段階に分かれており、ポップアップメニューで選ぶだけで、どんどん音が変わっていく。音質とファイル容量を天秤にかけて、ベストな圧縮レベルを決めるといいだろう。

録音された素材は、「WireTap Studio」の[ライブラリ]ウインドウに表示されるため、簡単にブラウズできるようになっている。まるでiTunesの親戚のような画面とインターフェイスなので、操作に迷うこともないだろう。Macで音素材を扱いたいというユーザにイチオシで勧めることができる製品だ。

(5) 録音した素材はライブラリで管理
iTunesかと思うようなライブラリウインドウ。メールに添付したり、iTunesライブラリに送ったりすることがワンクリックでできる

AFTER REVIEW

このソフトを使用する前、Macの音声を録音するのに「Audio Hijack Pro」を使っていたが、使い勝手の面では本製品のほうが上だと感じた。もともとアンブロージャ社は画面キャプチャソフトの「Snapz Pro X」などを開発し、ユーザから高い評価を得ているオンラインソフトメーカーだ。日本でパッケージ版が発売されたことで、英語でのシェアウェア登録なしに気軽に購入できるようになった。喜ばしいことだと思う。