プロからアマチュアまで、
すべての人に究極の音楽ツールを【2007年12月号掲載】
「Logic」は、ドイツが生んだプロ御用達のDTMソフト。2002年に開発元のEmagic社をアップルが買収し、その後はアップル純正のDTMソフトとして親しまれてきた。そして5年の年月を経て登場した本バージョンは、アップルらしいデザイン、インターフェイスを備えたソフトへと変身を遂げた。これまでは、プロ向けゆえにビギナーには少々敷居が高いと思わせるところも垣間見えたが、今回はガレージバンドを卒業するハイ・アマチュアをもターゲットにしたわかりやすいソフトとして生まれ変わった。
スペック
[発売元] アップルジャパン [価格] 通常版:5万9,800円、Logic Express 6~8およびBig Boxユーザ用アップグレード:3万4,800円、Logic Pro 6~7およびLogic Platinum/Gold 5~7ユーザ用アップグレード:2万2,800円 [OS] Mac OS X 10.4.9以上 [メモリ] 1GB以上(2GB以上を推奨) [HD] 7GB以上(オプションのコンテンツをすべてインストールするにはさらに39GB以上が必要) [備考] PowerPC G4/G5 1.25GHz以上、またはIntelプロセッサ搭載のMac。DVDドライブ(インストール時)。QuickTime 7.2以上 [掲載号] 「Mac Fan」2007年12月号
OVERVIEW
「Logic Studio」は、作曲、演奏、録音、映像との音声同期に関するすべてのソフトをまとめた究極のスイートである。特に今回は、ガレージバンドの別売り音源として人気を博しているJam Packシリーズを5つ(最新の「Voices」を除く)同梱するという大盤振る舞いだ。その上に今回のアップグレードでは「MainStage(メインステージ)」と呼ばれるライブ演奏向けのアプリケーションも加わっている。これはLogicからシーケンサの部分を除外し、代わりにさまざまなMIDI対応機器をMacの画面から集中的にコントロールさせることができる、いわばライブの司令塔になるソフトウェアだ。
(1) ライブの要となるメインステージを同梱 |
また、Logicよりも映像との同期の面で優れたマルチトラックレコーダの「Soundtrack Pro 2」や、ユーザが録音した素材を、移調やテンポコントロールに対応するApple Loops(アップル・ループ)というフォーマットに書き換えるためのソフト「アップル・ループユーティリティ」も同梱している。さらに高品位リバーブである「スペースデザイナー」に加えて、まったく新しい山彦効果を生み出す「ディレイデザイナー」も搭載している。
(2) 独創的なディレイ効果を得られるディレイデザイナー |
FOCUS ON
コア・アプリケーションである「Logic Pro 8」の見た目は、アップル独特の目に優しい色づかいに変化している。さらに特徴的なのは、シングルウインドウのインターフェイスを導入したことだ。画面が狭いノートブック型ではかえってこのほうが使いやすい面もある。しかし、今までのインターフェイスに馴れたユーザも心配することはない。これまで同様に複数のパレットを開くことも可能である。
(3) アップル製品らしいルックスへ |
(4) シンプルなシングルウインドウ |
(5) 複数のテイクから簡単にOKテイクを編集 |
そして、今回のアップグレードでは、オーディオ録音と編集に特筆すべき機能が加わった。ボーカルや生楽器は何テイクも収録して良い部分をつなぎ合わせてOKテイクにする方法が一般的だが、「Logic Pro 8」では何も考えずに同じトラックに何度も録音すれば自動的にテイクの数が増えていき、それらを一覧表示にしてOK部分をマウスでドラッグするだけで、簡単につぎはぎのOKテイクを作ることができる。文章ではわかりづらいが操作をすれば納得するはずだ。
また、録音レベルが小さすぎて波形が認識しづらい場合、もしくは非常に小さな音を録音した場合は、ウインドウの波形の振幅描画を拡大することができるなど、全体的に使いやすく直感的なインターフェイスに仕上がっている。
AFTER REVIEW
とにかくこの価格設定は驚きだ。これでさらに「Digital Performer」にあるようなピッチ補正機能も備わってくれたら……そう願っているのは私だけではないだろう。確かにMIDIの細かな編集機能ならDigital Performerが上だし、VST対応のみの音源を使いたいなら「Cubase」しかないといえるが、そこにこだわらなければ、今度のLogicは総合的な魅力がとても多く、導入を検討する価値は大いにある。