TV番組を高速にエンコード!
Mac miniサイズのTVキャプチャボックス【2007年12月号掲載】


地上デジタル放送やワンセグ放送が普及しつつあるとはいえ、Macで扱うテレビコンテンツはまだまだアナログ放送がメインだ。また、ビデオテープなどのアナログソースをデジタル化するには、外部キャプチャユニットが必要になる。フォーカルポイントコンピュータの「TVMax」は、それら両方の機能を備えたTVチューナ&エンコーダユニットとして人気があったが、そのグレードアップ版として登場したのが「TVMax+」だ。ハードウェアエンコーダを搭載しているため、Mac本体に負担をかけることなく高速にエンコード処理を行い、iPodやApple TV、DVD用の動画を作成できる。


スペック

[発売元] フォーカルポイントコンピュータ  [価格] オープンプライス
[実勢価格] 3万5,000円前後 [OS] Mac OS X 10.4以降 [サイズ/重量] 約W165×H40×D165mm/約550g [備考] 録画形式:MPEG-2、MPEG-4、DivX、システム要件:PowerPC G4 1.25GHz以上 [掲載号] 「Mac Fan」2007年12月号

OVERVIEW

TVキャプチャボックスには、キャプチャボックス自体でエンコードを行う「ハードウェアエンコード」と、Mac側でエンコードを行う「ソフトウェアエンコード」の2種類がある。「TVMax+」はハードウェアエンコードタイプで、しかもTV番組などの入力ソースを取り込みながらリアルタイムでエンコードを行える。また、ハードウェアエンコードなのでMacのCPUに負担がかからず、再生・録画中ほかの作業を快適に行えるというメリットもある。

(1) Mac miniサイズのコンパクトな本体
本体はMac miniと同じサイズ。前面パネルには電源ランプとリモコン受光窓がある。背面にはアンテナ、S端子、ライン(映像と音声)、AC電源、USBポートなどの各種入力端子がある

(2) USBケーブルでMacと接続
Macと付属のUSB2.0ケーブルで接続。その後ソフトをインストールし、アンテナケーブルを接続してから受信可能チャンネルをオートスキャンするという流れだ

TV番組の視聴や録画などは、付属ソフトの「Miglia TV(ミグリアTV)」で行う。録画フォーマットはMPEG-2/4、およびDivX。あらかじめiPod用などの10種類のプリセットがあるほか、カスタム設定で解像度やビットレートなどを自由に変更することも可能だ。マニュアル設定とiEPGによる予約録画、タイムシフト、プリレコーディング(設定時刻より少し前から録画する)といった便利機能もある。

(3) チャンネルを自動的に取得
Miglia TVでチャンネル設定を行う。[Get All Channels]をクリックすれば選局は自動的に行われるが、放送局名は手入力しなければならないのがやや面倒だ

(4) プリセットを選ぶだけでOK
iPodやアップルTVといったデバイスに最適な画質で書き出せる10種類のフォーマットがプリセットされている

「Miglia TV」はグローバル仕様で、メニュー表示やダイアログが英語というのが難点だが、視聴や録画などはまったく問題ない。iEPGを使ったワンタッチ予約録画もSafariから行える。

(5) 見たい番組はiEPGで確認
リアルタイムでの録画のほか、iEPG(電子番組表)に対応しているため、簡単にお目当ての番組を予約録画できる。環境設定で、iEPGとして参照する番組表を選択しておく。iEPGサイトで[録画]ボタンをクリックすれば予約が完了する

(6) フルスクリーンで再生
設定が無事に完了すると、デスクトップにTVウインドウとコントローラが表示される。初期設定では640×480ピクセルの画面だが、フルスクリーンにもできる

FOCUS ON

Core 2 Duoを搭載したMacBookで、TV放送とライン入力でiPod用(MPEG-4/320×240、640×480ピクセル)、DVD用(MPEG-2/640×480ピクセル)、DiVX(704×464ピクセル)の録画形式をチェックしてみた。いずれもノイズが少なく、色出しもなかなかいい。あまり高度な画質調整機能などはないが、一般的なユーザにはかえってインターフェイスがシンプルで使いやすいだろう。

(7) 録画コンテンツを確認
予約やリアルタイムで録画した番組コンテンツは、[Scheduled Recording]ウインドウに一括してリスト表示される。画面上のツールからiTunesに転送可能だ

また、リアルタイムでのエンコードは速い。1時間番組を録画した場合、1時間でエンコードまでが終了する。一般的なハードウェアエンコードタイプのTVキャプチャボックスでは取り込みに1時間、その後のエンコード処理に1時間ほど必要とする。さらに、ソフトウェアエンコードタイプのものでは、取り込み後の処理に2~3倍かかるものもある。リアルタイムでエンコードしているため、録画時の画面表示にタイムラグが生じる場合があるが、録画されたファイルはコマ落ちやブレなどもなくスムーズに再生できた。

TV番組やアナログソースを録画するだけならば、もっと低価格な製品もあるが、本製品は録画だけでなく、iPodなど外部メディアへの転送までを高速に一貫して行いたいユーザに最適な機器といえる。

(8) DVDを焼くことも可能
[Burn]アイコンをクリックすると、DVDを作成するためのオーサリングプラグイン「MovieGate」が起動する。円グラフは、DVD容量4.3GB中の消費量を表している

AFTER REVIEW

前モデルのTVMaxも完成度の高い製品だった。しかし、生まれ変わった本製品では録画フォーマットのプリセットやダイレクトにDVDに焼ける機能などが付いたことで、さらに使いやすくなっている。ハードウェアエンコードなのでCPUパワーの低い、PowerPC G4/1.25GHz以上の機種を使うユーザにおすすめだ。後は、「Miglia TV」が日本語化されれば、ほぼ完璧な製品といっても過言ではない。
(※本製品は販売終了となっています)