大量の名刺をまとめて整理
手軽に使える名刺用スキャナ【2011年1月号掲載】



スペック

[発売元] フォーカルポイントコンピュータ [価格] オープンプライス [実勢価格] 2万6,800円前後 [インターフェイス] USB [サイズ/重量] 約W107×H28×H100mm/約168g [解像度] カラー600dpi [掲載号] 「Mac Fan」2011年1月号

OVERVIEW

ビジネスマンにとって、名刺を如何に管理するのかは非常に大きな命題だ。検索性やiPhoneなどのモバイル機器との連携を重視するならファイリングではなくデジタル化を考えたいところだが、数が増えてくるとどうしても億劫になってきて、そのうちスキャンをしなくなってしまう。

そんな人におすすめしたいのが、名刺専用スキャナと名刺管理ソフトがセットになった「WorldCard Mac de 名刺 Plus」だ。手のひらサイズの小型化を実現しているので、常時Macに接続しておいても邪魔にならない。また、USBバスパワー対応なのでケーブルの取り回しも簡単だ。スキャナ上部を開けると、即スキャンの待機状態になるのもうれしいところ。

FOCUS ON

読み取り操作は簡単で、名刺をスキャナのスロットに差し込むだけ。あとは自動的にスキャンが実行され、会社名や役職、住所などの文字を解析して、データを付属の名刺管理ソフトに蓄積してくれる。

(1) スキャン時は本体の上ブタを開く
名刺を挿入するスロットは普段は隠しておける。常時MacとUSBで接続しておいて、必要なときだけ上蓋を開ければスキャンの準備は完了する

名刺管理ソフトの「WorldCard Mac」では、蓄積された名刺データの検索や表示だけではなく、メールアドレスのクリックでメールを起動したり、住所からGoogleマップを表示したり、会社のWEBサイトを表示したりできる。メールアドレスや住所を一度コピーしてからメーラなどに貼り付ける手間がなくなるのがうれしい。

(2) 専用ソフトで名刺を管理
名刺管理ソフトのワールドカードの名刺データのブラウズ画面。カバーフローのように実際の名刺のイメージが下部に表示されるので視覚的にも探しやすい

(3) 住所からGoogleマップを起動
名刺データから右クリックでGoogleマップを呼び出せる。会社住所の周辺の地図表示のほか、経路なども表示可能なので、客先への訪問準備の際に非常に役に立つ

(4) フォルダ分けで細かく整理
読み込んだ名刺はフォルダ管理ができる。保存したいフォルダを表示して読み込みを行えば、自動的にそのフォルダにデータが格納される。イベントごとの名刺管理や、会社ごとの分類など効率的な名刺管理が可能だ

(5) データのエクスポート/インポート
Mac 標準のアドレスブックに読み込んだデータを出力できる。iPhoneと連携したいときなどに利用しよう。また、マイクロソフトのアントラージュへも出力可能だ

文字認識の精度は、そこそこよく、ロゴ的なデザイン処理がされた会社名や、日本人でも悩んでしまうような複雑な役職名はともかく、住所や氏名、メールアドレスといった基本項目はほぼ問題なく認識してくれる。

最近は背面に英語表記を入れている会社も多い。本製品は片面のスキャナなので両面名刺の場合は裏表を1回ずつ読み込ませる必要があるが、実際問題として日本人同士の名刺交換では裏面の英語部分は読み込ませる必要はほとんどないので、片面だけのスキャンでも実用上問題ないだろう。

(6) スキャンウィザードで両面読み取りも可能
両面名刺の読み込みなど、高度なデータ読み込みにはスキャンウィザードを利用する。両面名刺の場合は、ここで表面を上にして挿入、出てきたものを裏返して再度挿入し、文字認識させれば両面のデータから漢字名、英語の名前などを読み込める。

名刺は1枚ずつ手差しで挿入することになるが、面倒なところはなく10枚の名刺を読み込ませ文字認識をさせても56秒ほどで完了した。その日にもらった名刺を帰社後に読み込ませても誤認識のチェックを含めて数分で完了してしまうだろう。

現状、Macでもっとも手軽に名刺を管理できる機器の1つとしておすすめしたい製品だ。

AFTER REVIEW

「ScanSnap」などのドキュメントスキャナでも名刺のデジタル化は可能だが、名刺の読み取り用途のみに使うには少々大きい。本製品は机の上に常に置いておいても邪魔にならず、給紙は手差しとはいえ名刺程度ならそれほど苦にもならない。2万円強という価格を名刺整理のために出せるかどうかがポイントだが、展示会やセミナーなどで大量に集まった名刺の入力作業に使えば元はすぐに取れそうだ