こだわりを捨ててこだわった、複合機の新スタイル
【2009年1月号掲載】
スペック
[発売元] エプソン販売 [価格] オープンプライス [実勢価格] 3万円前後 [OS] Mac OS X 10.3.9以上(プリンタドライバ) [解像度] プリンタ:5760×1440dpi、スキャナ:2400×4800dpi [インターフェイス] USB2.0、外部記憶装置接続用およびピクトブリッジ、IrDA [サイズ/重量] W446×D385×H150mm/約9.0kg [備考] インク数:6色インク(染料CMYK、LM、LC)、最小インク滴:1.5pl、液晶サイズ:2.5インチ、L判写真プリント:14秒 [掲載号] 「Mac Fan」2009年1月号
OVERVIEW
インクジェットプリンタは、つくづく逆境に強い製品だと思う。2000年代前半、高品質プリンタが一般に普及し、もう販売を伸ばすのは難しいと予測された。するとスキャナと合体した「複合機」が登場し、再び市場は活気づいた。それから約5年、複合機も頭打ちか、誰もがそう思い始めたときに登場したのが、新しいカラリオ「EP」シリーズである。
これまでカラリオといえば、「画質はいいけど、ダサい、でかい、遅い」という印象だった。だが、「EP-801A」はカラリオとは思えない、コンパクトで落ち着いたシックな佇まいだ。
(1) 2.5インチの液晶パネルを見て操作 |
もちろん、見た目だけではない。最小1.5ピコ(1兆分の1)リットルの6色染料インクによる写真プリントは、複合機の最高レベルだ。自動画像補正「オートフォトファイン! EX」の精度もさらに向上。L判1枚約14秒(標準モード)の高速写真プリントを実現している。
また、背面の給紙トレイを排して、すべての用紙を前面カセットから給排紙する新方式の採用や、CD/DVDレーベル印刷用トレイを内蔵するなど、使い勝手は飛躍的にアップ。積年の課題であったノズル詰まりにも、「自動ノズルチェック機能」で対応した。
FOCUS ON
よくぞ、ここまで思い切ったというのが印象だ。よくも悪くも、使用頻度の低い機能をばっさり切り捨て、使い勝手を向上している。
不満もなくはない。2段式の前面給紙カセットは、下段にA4普通紙、上段にL判などの写真用紙をセットするのが一般的なのだが、上段にはL判が「たったの」20枚しかセットできない。これではいかにも少ないので、少し多めに用紙をセットすると、紙を斜めに給紙して、失敗プリントを連発してしまう。
(2) 前面給排紙の新システム |
2008年秋のカラリオの新製品を見ると、「本格的な写真プリントはPX-G5300などのプロセレクションシリーズに、EPシリーズではプリンタをもっと身近に感じてほしい」という同社のメッセージが、ひしひしと伝わってくる。その点では、充分に期待に応えている。
だが一方で、紙送りの弱さなど、これまでの同社らしくない部分も見受けられる。大きな変更を行った初年度だけに、やむを得ない部分もあるのだろうが、同社に対するユーザの期待は大きいだけに、さらなる向上に期待したい。
(3) 新アプリで快適プリント? |
AFTER REVIEW
画質、速度、そしてデザイン、使い勝手など、あらゆる点で、3年以上前のプリンタ/複合機を使っていて、不満があるなら、迷わず801Aに買い替えてOK。ただし、プリンタ1台で本格的に写真プリントをしたいという人は、同社のPX-G5300など、A3モデルも検討したい。A3モデルを持っていて、サブ機として使うなら801Aは優秀だ。ここ2年ぐらいの間に発売されたプリンタを使っていて、もし待てるなら、不満点が改良される(であろう)次世代機を待ってもいいかも。