消費電力やCO2排出量を大幅に削減!
環境に配慮した24インチワイド液晶モニタ【2008年11月号掲載】
液晶モニタは近年大型化、ワイド化が進んでおり、22インチ以上のモデルでも10万以下で購入できるようになってきた。しかし、液晶パネルの大型化に伴い、数年前まで主流だった17インチや19インチモニタと比べると消費電力が増大する傾向にある。消費電力の増大はランニングコストの増大につながり、環境に与える負荷も大きくなっていく。本製品は、そのような背景を踏まえ、消費電力を削減するで「ECOモード」を搭載するなど、環境への配慮を喚起する意欲的な製品だ。
スペック
[発売元] NECディスプレイソリューションズ [価格] オープンプライス [実勢価格] 6万8,000円前後 [解像度] 1920×1200ピクセル [表示色] 約1,677万色 [輝度] 400cd/m2 [インターフェイス] DVI-D(HDCP対応)、アナログRGB(D-SUB15ピン)、USB2.0×5、3.5mmステレオミニジャック×2(音声入力/ヘッドホン出力) [サイズ/重量] W558.6×H473.0~547.0×D272.4mm/約10.5kg [備考] 応答速度:5ms、コントラスト比:1000:1、視野角:上下160°左右170°、スピーカ:1W×2 [掲載号] 「Mac Fan」2008年11月号
OVERVIEW
NECディスプレイソリューションズの液晶モニタには、DTPやグラフィックス用途向けのプロフェッショナルモデル、ビジネスモデル、そして医療用モデルなど幅広い製品がラインアップされている。その中で、本製品はビジネス/一般用途向けの24インチ液晶モニタだ。
DTPやグラフィックス向けの製品などに使われる、色の再現性の高い広色域パネルは、一般オフィス向けの製品にはオーバースペックといえる。テレビのように高い輝度では明るすぎて目に負荷がかかるし、色表示が特別に優れていてもインターネットやビジネスソフトではそれを識別できるような映像ソースも少ない。導入価格とランニングコストが低く、使い勝手のよい製品のほうが一般オフィスの現場向きである。
本製品では液晶パネルにコストパフォーマンスの優れたTN方式を採用しており、最大表示解像度は1920×1200ピクセル、輝度は400カンデラ、コントラスト比は1000対1となっている。本体左右に1Wのステレオスピーカを搭載し、周辺機器の接続に便利な4つのUSB2.0ポートも備える。ディスプレイ部は最大11cm上下でき、ディスプレイを90度回転させるピボット機能もサポートしている。
スペック的に見ると現在発売されている一般的な24インチ液晶モニタと大きな違いはないが、本製品の最大の特徴は「環境への配慮」を喚起するさまざまな機能を搭載している点だ。消費電力を抑える「ECOモード」や、CO2排出量を確認できる「カーボンメーター」など、現在の企業活動において必要不可欠である環境への取り組みをいち早く製品に取り入れている。
(4) ECOモードで環境対策 |
(5) CO2排出削減量を表示 |
FOCUS ON
ECOモードを有効にすると、画面の輝度が約60%に落ちる。画面が暗くなるので当然見にくくはなるのだが、コントラストやフォーカスなどは変わらないので、画質を犠牲にしていない。そのため、慣れてくると使っていてストレスを感じない。最近の液晶パネルは輝度が高く、通常の蛍光灯の環境下では明る過ぎと感じることもあるため、逆にちょうどよいと感じる人もいるだろう。
そして、ECOモードを有効にすると、消費電力の削減を図れる。実際にどれだけ差があるのか測定してみたところ、デフォルト状態で55Wの消費電力が、ECOモードを有効すると35Wまで下がった。約40%消費電力のカットだ。
一日8時間使用したとすると、160Wの節約となり、月に20日使用すると、差は年間3万8400Wになる。この値は東京電力の電気料金で約1,000円となり、経済産業省の二酸化炭素排出量係数(0.555CO2/KWh)から計算すると年間に21.2㎏の二酸化炭素の排出量削減になる。
1台では効果は小さいようにも思えるが、ビジネスの現場で10台、100台と大量に導入する場合はその効果の大きさを実感できるだろう。35Wという消費電力は19インチ液晶の消費電力に相当するため、24インチにしてもランニングコストが上がらないというのがうれしいところだ。
AFTER REVIEW
ビジネス利用のみならず、個人利用にも十分に使える液晶モニタだ。特に、応答速度の速いTNパネルを採用しているため、動きの激しい動画やゲームなどでも残像が少なく快適に見ることができた。輝度が250cd/m2と低くなるものの、ECOモードやカーボンメータを搭載した22インチモデル「LCD-EA221WM」シリーズも発売されている。使用用途に合わせて、最適な画面サイズが選べる。