TVチューナの老舗から満を持して登場!
地デジチューナでMacでハイビジョンを楽しむ【2008年11月号掲載】


地上デジタルテレビ放送を受信できるパソコン用のTVチューナの発売が解禁されたのは、2008年4月のこと。それから数カ月、ウィンドウズパソコン向けにいち早く製品化されてきたが、ようやくMacでも利用できる製品が登場し始めた。TVチューナの老舗、ピクセラがMacユーザのために作り上げたのが「CaptyTV Hi-Vision」。製品名からわかるとおり、圧倒的な高精細を誇るハイビジョン放送をMacで視聴できるコンパクトなチューナだ。アイ・オー・データ機器の「MacTV」を加え、これで2製品が出揃ったわけだが、はたして何を基準に購入すべきだろうか。


スペック

[発売元] ピクセラ [価格] 2万2,800円 [OS] Mac OS X 10.4.11以降、10.5.4以降 [メモリ] 1GB以上(2GB推奨) [HD] 2GB以上 [インターフェイス] USB2.0 [サイズ/重量] W78×D132×H17.8mm/約110g [備考] デュアルコアCPUとUSB2.0ポート標準搭載のiMac、MacBook、MacBook Pro、MacBook Air(ディスプレイ一体型機種のみ対応) [掲載号] 「Mac Fan」2008年11月号

OVERVIEW

従来のアナログ外付けチューナを利用したことのあるユーザは、本製品を見て驚くに違いない。地上デジタルテレビ放送(以下、地デジ)を受信できるチューナは、アナログからデジタルへと信号を変換する基盤が必要ないため、本体は大変コンパクト。大きさでいえば2回り以上も小型で、重量も軽い。

また、Macに合わせたシルバーカラーのプラスチックボディの本製品は、Mac本体のUSBポートに接続してバスパワーで駆動する。アナログ外付けチューナでは必須だったACアダプタを接続しなくてよいため、Mac周りが大変すっきりとするのだ。


(1) 手軽に使えるバスパワー動作
アナログ対応の製品ではACアダプタが必要だったが、本製品はUSBから給電するため、USBケーブル1本のみで動作する

地デジ放送の受信に必要なB-CASカードを本体に差し込む必要はあるものの、あとは従来どおり、アンテナ線(地デジを受信できる)を接続して、視聴ソフトをインストールするだけ。アナログチューナと比べて、本体の取り回しや使い始めやすさは、地デジチューナのほうが優れている。

(2) B-CASカードは底面に挿入
地デジ放送の視聴に必要なB-CASカードスロットは本体の下に差し込む。もちろん、B-CASカードは本体に添付されている

(3) チャンネルの自動スキャン
視聴ソフトを起動して地域を選択すると、自動的にチャンネルスキャンが始まる。地方のテレビ局やCATVなども自動的に検出する

ただし、地デジ放送を受信できる機器には、アナログチューナでは当たり前のように行えたTV画面のキャプチャや、録画番組のコピーが自由に行えないなど、著作権保護の観点からさまざまな制限がかけられている。本製品では、iMacやMacBookシリーズなどのモニタ一体型のMacのみに対応しており、MacプロやMac miniには非対応。これは、Macではディスプレイ出力の著作権保護機能「HDCP」に未対応であるため、現段階ではディスプレイ出力から複製が作れてしまう危険性があるからだ。

アナログ放送の4.5倍の解像度を誇る地上デジタル放送は画質面で圧倒的に有利だが、購入前にはこのような制限事項があることを確認しておきたい。

FOCUS ON

2008年9月現在、本製品は地デジ放送の視聴のみに対応しており、10月にはソフトウェアアップデートによって録画機能に対応、11月には予約録画機能が追加される予定だ。まだ詳細は未定であるものの、将来的には録画した番組のダビングにも対応する予定だ。

(4) 画面のサイズは自由に調節可能
画面のサイズは50%、75%、実際のサイズ、フルスクリーンから選択が可能。さらにマウスで自由に画面の大きさも変えることができる

現時点では視聴しか行えないため、付属ソフトウェアにはチャンネルや音量の調整、画面サイズの変更といった基本的な部分しか搭載されていない。ただし、インターフェイスは従来のキャプティTVシリーズを踏襲しているため、直感的で使いやすいのが特徴だ。画面サイズは全画面のほかに自由に大きさを調整でき、常に前面に表示を行うこともできるため、WEBブラウジングをしながらのTV視聴も可能だ。

画質は、ピクセラ独自開発のハイビジョン映像デコーダによって、細かい部分もシャープに表現される。暗い部分や白い部分の多い画面も映像が潰れずに表現され、家電のテレビと比較しても遜色ないレベルだ。

(5) 精細でシャープな画質
ピクセラ独自開発のハイビジョン映像のデコーダにより、精細でシャープな画質を実現している

2GHzのCore 2 Duoを搭載したMacBookで視聴してみたところ、「アクティビティモニタ」で計測したCPUへの負荷は常時50%。データ量の多いハイビジョン放送なのでアナログよりも負荷は高い。視聴しながらメールやWEBブラウズなどは同時に行えるが、例えばグラフィックソフトを使って画像を加工するなどの重い処理を行った場合には大画面表示の際にコマ落ちが発生してしまうこともあった。

ウィンドウズの製品と比べると、ブルーレイやDVDへのムーブ対応、ダビング10、多チャンネル録画、データ放送視聴などの機能が搭載されていないため、どうしても見劣りしてしまう。しかし、視聴だけでもいち早く地デジをMacで体験したいユーザには現在唯一の選択肢だ。

AFTER REVIEW

アイ・オー・データ機器から発表されている、もう1つのMac対応地デジチューナ「MacTV」と比べると、性能・機能面で大きな違いはない。MacTVはEPG、予約録画、字幕に対応するが、2008年内の発売予定であるため、その時点ではCaptyTVもソフトウェアアップデートによって同様の機能を搭載しているだろう。MacTVの発売を待ってから、その時点で吟味するのが一番だが、それまで待てないユーザは本製品しかない。