新液晶と大容量化で性能アップ
RAW現像可能な写真ストレージ【2008年10月号掲載】



スペック

[発売元] エプソン販売 [価格] オープンプライス [実勢価格] P-7000:8万円前後、P-6000:6万円台半ば [OS] Mac OS X 10.3以降 [インターフェイス] USB2.0、SDメモリー/CFカードスロット(TYPEII)、ビデオ出力、ヘッドフォン出力 [サイズ/重量] W150×H88.7×D33.1mm(突起部含まず)/P-7000:約433g、P-6000:約428g(メモリカード含まず) [備考] 容量:160GB(P-7000)、80GB(P-6000) 対応ファイル:静止画JPEG、RAW 動画:MPEG-4、Motion JPEG、H.264 音楽:MP3、AAC [掲載号] 「Mac Fan」2008年10月号

OVERVIEW

デジタルカメラのメモリカードが高価で容量が小さかった時代には、撮影したデータを外出先で手軽に保存・確認できるフォトビューワはかなり期待されていた。しかし、最近はメモリの大容量化と価格低下化によって、市場はやや沈静化している。

このような状況の中で登場した本製品では、ハードディスクの大容量化、160度の高視野角ディスプレイの搭載、Adobe RGB比94%を実現、ホイールキーの装備、USBディスプレイ機能(パソコンデータの表示)、印刷ナビゲーション、RAW現像機能のアップを実現している。

(1) ホイールキーを新たに搭載
本体前面にホイールキーが追加され、画像の切り換えやメニュー操作が素早く行える。メモリカードは上部スロットから挿入する

FOCUS ON

その中でも、大きなポイントといえるのが、新液晶ディスプレイの採用とUSBディスプレイ機能だ。新しい液晶ディスプレイはAdobe RGB比94%の広色域表示に対応し、視野角が160度にアップされている。スペック的には中途半端なプロ用パソコンモニタをはるかに凌ぐ性能を備えており、視野角に関しては従来モデル「P-5000」と比べて違いが歴然である。

(2) 新液晶「フォトファインプレミア」でより美しく表示
P-5000の液晶(左)はもともと他社製品と比べて圧倒的に品質が高かっただけに、色域に関しては大きな差は感じられない。しかし、視野角の違いは歴然だ

また、P-5000では明るさ以外の変更ができなかったので色の確認は限定された環境のみだったが、新モデルでは液晶ディスプレイの色温度やガンマ値、グレー(色調)、グレー(強さ)が変更できるようになった。色温度が5000~6500Kの範囲で4段階、ガンマ値が1.8または2.2に変更でき、自分のパソコンのモニタの代わりとして外出先で使用することが可能だ。仕事先で色の確認が必須のプロカメラマンにとってはほぼ正確な色の確認を行うことができるメリットは大きい。

(3) 高精細液晶でPC画面を表示
MacではPhotoshop CS3/CS2、Photoshop Elements 4.0で表示した画像を本体で確認できる。Adobe RGBに対応していないモニタを使っているときは特に便利

さらに、USBディスプレイ機能では、USB接続したパソコン側のAdobe PhotoshopやElementsの画像を表示できる。静止画の切り替えとなるため、パソコンの外部モニタのような使いやすさはないが、決めうちで色の確認をするのであれば十分使用できる。

その他の新機能として、ホイールキーが追加されたが、軽快に画像を切り替えることができるものの、処理速度が早くなるわけではない。印刷ナビゲーションは、色の補正やトリミング、印刷レイアウトの設定などが可能で、パソコンを使用しないで印刷したい人にとっては便利だ。また、RAW現像機能も詳細な設定ができるようになったことは評価していいだろう。

(4) 自動でRAW画像を現像
撮影したRAW画像を自動で適切なパラメータに設定して現像してくれる。明るさや露出などを個別に調整できるマニュアル現像も可能だ

(5) プリントまでの手間を削減
レタッチ(RAW現像)からトリミング、レイアウトの指定、サインの挿入、そして背景色やフレームの指定をウィザード形式でナビゲートしてくれる「印刷ナビゲーション」機能も新たに搭載する

AFTER REVIEW

高速タイプの8GBのCFメモリが1枚2万円前後で購入できる状況で、最大160GBハードディスクの搭載は必須といえよう。単純計算で容量は8GB×20枚分に相当するが、20枚ものメモリを持ち歩くユーザはそういない。せいぜい数枚のメモリの代わりというのが現実的だろう。そうなると、ボディサイズも重量も少々大きく、携帯という面では不利。写真ストレージとしてだけでなく、ビューワとしての機能や、RAW現像機能などをどれだけ活用するかが重要だろう。