白色LED採用で、ウォームアップいらずのCCDスキャナ
【2007年10月号掲載】
スペック
[発売元] キヤノンMJ [価格] オープンプライス [実売価格] 2万6,000円前後
[OS] Mac OS X 10.2.8以降 [解像度] 4,800×9,600dpi [インターフェイス] USB2.0 [サイズ/重量] 約W272×H100×D479mm/約4.2kg [掲載号] 「Mac Fan」2007年10月号
OVERVIEW
デジカメの普及でフィルムや印画紙からの入力が減り、またフィルムにも対応した複合機が低価格で購入できるようになった今、スキャナを単体で、しかもCCDモデルを購入しようとするユーザが求めるのは、単体スキャナならではの徹底した画質とスキャン速度の追求だろう。
「CanoScan 8800F」は同8600Fの後継となる、キヤノンのCCDスキャナのフラグシップ機だ。本製品の一番の特徴は、光源に白色LEDを採用した点だ。LEDは消費電力が少なく長寿命、そしてウォームアップが必要ないなど、さまざまな機器で注目されている光源である。
また、本製品では解像度300/600dpiでのスキャン速度を高速化し、同社のインクジェット複合機にも使われる色変換技術を採用することで画質の向上も実現している。
|
(2) 新設計キャリッジで小型化 |
FOCUS ON
使用してみて驚くのは、やはり白色LED採用によるウォームアップレスのメリットだ。光源に冷陰極蛍光ランプを採用する8600Fで約30秒かかっていたウォームアップ時間がゼロになり、待つことなくスキャンが始められる。
また、反射原稿やフィルムのスキャン速度は基本的に前機種と同等だが、300/600dpiでの反射原稿の読み取り速度は確実にアップ。L判1枚を650dpiで読み込むと38秒だが、600dpiでは13秒。ウォームアップレスである点を考えると、反射原稿のスキャン速度は大幅に向上している。
また、インクジェット複合機や下位機種と比べて、フィルムへの対応が充実しているのも本製品の魅力だ。35ミリフィルムにしか対応していない下位機種と比べ、本製品はブローニーサイズの読み取りも可能。35ミリのポジフィルムを4800dpiでスキャンしてみると、「LiDE 600F」が約6分30秒、「CanoScan 4400F」が約3分20秒かかるのに対し、本製品は約2分20秒と高速だ。複数のフィルムを扱う場合は、特に重視したい点だ。
画質は、やや派手な印象はあるもののダイナミックレンジが向上し、中間調からシャドーにかけて階調性がアップしている。4×5サイズのフィルムに未対応で、搭載するフィルム補正機能も8600F同様ではあるが、スキャン速度と画質面で、着実に進化を遂げたフラグシップ機といえよう。
(4) ドライバで色調整が可能 |
(5) ダイナミックレンジが向上 |
AFTER REVIEW
本体のフタを開けてすぐにスキャンできることで、使用頻度が増えそうだ。また、スキャン後も光源ランプは即座に消えるため、電力の消費も少ない。CISモデルと違って縦置きなどはできないが、小型化したことで設置もしやすくなった。さらに、付属ソフトも新しくなっている。画像の管理、編集、簡単なレタッチが行えるようになった「MP Navigator EX」は、最初はややインターフェイスに戸惑いを覚えるが、利便性は増している。