有線&無線LAN標準搭載で、ビジネスに役立つ複合機
【2008年8月号掲載】



スペック

[発売元] 日本ヒューレット・パッカード [価格] オープンプライス [実勢価格] 1万円台後半 [OS] Mac OS X 10.3.9以降 [解像度] プリント:4800×1200dpi、スキャナ:4800dpi [用紙サイズ] A4~ハガキ [インターフェイス] USB2.0、10/100BASE-TXイーサネット、IEEE 802.11b/g [サイズ/重量] W476×D473×H258mm/8.6kg(本体のみ) [備考] 給紙枚数:最高250枚 [掲載号] 「Mac Fan」2008年8月号

OVERVIEW

ビジネス用途にはレーザプリンタを利用するのが一般的だが、大規模オフィスならまだしも、SOHOや小規模事務所、店舗などでは価格や設置場所の問題でレーザの導入が難しい場合がある。そこで、注目したいのが、ビジネス用途に特化したインクジェットプリンタだ。

(1) 両面印刷対応
自動両面印刷ユニットが搭載されたため、両面印刷の場合でも紙をひっくり返す必要がなく、自動的に印刷を行ってくれる

本製品は、モノクロ印刷最高31枚/分、カラー印刷最高25枚/分というレーザプリンタに匹敵する印刷速度を持ち、コピーやスキャン、ファクスも1台でこなせる複合機だ。写真プリントを主としたインクジェットプリンタと異なり、最大250枚までの給紙枚数や自動原稿送り装置(ADF)、そして自動両面印刷への対応など、ビジネス用途に重宝する機能を備える。

また、有線・無線LANのネットワーク接続にも対応しながら、なんと2万円を切る驚異的な価格を実現している注目の製品だ。

(2) 有線/無線LAN標準装備
有線LANと、IEEE802.11b/gの無線LANが標準で装備されている。もちろん、USB接続のプリンタとしても利用することが可能だ

FOCUS ON

ADFを装備した複合機といえば、機能面からいってもう少し大型のものを予想したのだが、普通のインクジェット複合機を一回り大きくした程度で、これなら卓上に置き場所を悩まず設置できる。

(3) ADF付きなのにコンパクト
筐体はコンシューマー向けインクジェット複合機を一回り大きくしたぐらいのサイズだ。このサイズでADFやファクス、ネットワーク機能が付いているのは驚異的だ

また、プリント速度が速いのはビジネス用途向けの製品ならではで、USB接続の場合、速度優先モードだとA4カラー文書1枚がわずか8秒、高画質設定でも30秒前後で出力された。また、この価格帯で無線LAN機能を搭載しているのは大変便利なうえ、IEEE802.11gの無線LAN経由でカラー印刷した場合でも、高画質設定でA4サイズ1枚がわずか53秒で印刷できた。

(4) 35枚給紙可能なADF
35枚のA4用紙を一度にPDFにスキャンできるため原稿を入れ替える手間がなく、資料のPDF化などが楽に行える

さらに、もっとも便利な点として挙げたいのが、ネットワーク経由によるADFスキャンだ。35枚のA4原稿を一度にPDFやJPEG化することができ、200dpiで57秒でスキャンできた。ビジネスでは資料をPDF化して、メールで関係者に配信するというシーンも多いため、2万円ならばこの機能だけが目的でも「買い」といえそうだ。


残念なのは、Macでのファクスの受信に対応していない点だが、それも本体で行えば苦労は感じないだろう。高価格なミッドレンジ以上のレーザ複合機と比べれば速度、機能面で見劣りするが、画質や色再現性は一般的なレーザプリンタに迫るものがあり、これまでになく高いコストパフォーマンスを実現した1台といえる。

(5) 高速・高画質なスキャン性能
スキャナはプレビューでわずか6秒、600dpiでネットワーク経由のスキャンを行っても、3分02秒でPDFにスキャンが可能だ。画質も色の破綻やボケがなく高い画質だ

(6) 普通紙でも滲みが少ない
カラー原稿を普通紙に印刷しても、滲みが少なく階調性が高い印刷が可能だ

AFTER REVIEW

ビジネス向けのインクジェットプリンタは、各社から発売されている。最大のライバルとなりそうなのが、キヤノンの「PIXUS MX850」だろう。本体はADFを備えながらも小型で、自動両面印刷やファクス機能などを搭載。また、5色インクを搭載し、9600dpiという高いプリント解像度で、写真もきれいにプリントできるのが特徴だ。ただし、実売価格は3万2,000円前後と1万円程度高い。写真印刷を行うか行わないかが、大きな製品選びの鍵となりそうだ。