完全定額制の高速モバイルブロードバンドをMacで利用!
【2007年9月号掲載】



スペック

[発売元] イー・モバイル  [価格] 料金プランによって異なる。データプラン(いちねん)の場合:月額使用料5,980円+初期費用(端末価格含む)9,980円 / ライトデータプラン(いちねん)の場合:月額使用料3,480円~6,480円+初期費用9,980円
[OS] Mac OS X 10.3.7以降(PowerPC) / Mac OS X 10.4以降(Intel) [インターフェイス] USB2.0 [サイズ/重量] W89.4×H42.6×D14.5mm/約40g [掲載号] 「Mac Fan」2007年9月号

OVERVIEW

インテルMacを屋外で使っている時にインターネットに接続する手段としては、無線LANスポットかウィルコムのPHSデータ通信を利用するしかなかった。しかし、そんな状況にようやく風穴が開いた。

「D01HW」は、イー・モバイルが2007年3月末に開始した「HSDPA」規格による高速データ通信「EMモバイルブロードバンド」サービスに対応した、Mac用の通信アダプタ。HSDPAは理論値で下り最大3.6Mbps、上り最大384Kbpsという、高速なインターネットアクセスを行える規格だ。

本製品の外観はとてもシンプルで、中央にインジケータランプが1つあるだけだ。設定はドライバをインストールして「システム環境設定」の[ネットワーク]で[PPP]および[モデム]の設定を行うだけ。これは一般的な通信アダプタとまったく同じだ。

(1) 白色のシンプルな外観
本体中央部に電波の状態を示すLEDインジケータ、本体上部にUSB端子、そして側面にUSIMカードスロットがある。USIMカードは、ユーザ情報を記録したICカードで、これを挿さないと使用できない。NTTドコモのFOMAなどの携帯電話でも利用されている

(2) USBケーブルでMacと接続
MacとはUSBケーブルを利用して接続する。特にMacBookのホワイトモデルとデザインがマッチする

FOCUS ON

東京都内や神奈川県下でテストしてみたが、とにもかくにも速い。インターネット速度計測サイトでは平均下り1.6~1.8Mbps、最大2.6Mbpsという速度で、150kbps程度のPHSと比べると明らかに高速だ。WEBブラウジングは快適で、「YouTube」などの動画の再生や、添付ファイル付きのメールの受信も苦にならなかった。

基地局のカバーエリアが半径2キロメートル以上なので、PHSデータ通信では難しかった海岸や山間部での通信も可能だったが、PHSに比べて全般的なカバーエリアはまだ狭いのが難点だ。

(3) 通信速度は非常に高速
平均スループットは下り1.6Mbps以上。平均150KbpsのスループットであるPHSデータ通信とは比べものにならない快適さだ。しかし、基地局から遠かったり、電波状態状況によっては上りのスループットは100Kbps以下になることもあり、この差が大きく感じられる

しかし、この問題さえクリアすれば、本製品は定額制の高速インターネット通信をフルに享受できる唯一の通信アダプタだ。主に、関東圏、名古屋、大阪などの都市部を移動するユーザには、ランニングコストの面を含め、まさにベストチョイスといえるのではないだろうか。

なお、現状で添付するユーティティソフトはアクセス先を設定するだけで、電波強度やデータ使用量などの情報が一切表示されない。利用データが17MBを超えると月額使用料にパケット通信料が従量的に加算されるダブル定額制プラン「ライトデータプラン」の目安となる数字がまったく得られないのは困る。ウィンドウズ版では対応しているだけに、このあたりは、早急に改善を望みたいところだ。

(4) 付属ユーティリティはやや不足
付属ユーティリティでは、アクセス先(APN)とPIN番号(暗証番号)の設定ができるだけで、電波強度も累積データ通信量もわからないのは不便だ

(5) ウィジェットで電波強度を確認
D01HWウィジェット」を使えば電波強度と現在の通信量を確認できる。現在のデータ量とスループットも確認できる

AFTER REVIEW

屋外で使う上で気になったのが、通信アダプタのセッティングだ。19cmと82cmのUSBケーブルが同梱されるが、ノート型Macを膝の上に置いて使おうとすると、19cmのケーブルだとぶら下がった状態になってしまい、長い方のケーブルではちょっと煩わしい。別途、USBアタッチメントやマジックテープでMacに貼りつけるなどの工夫が必要だろう。後は、明るい屋外ではLEDインジケータが見にくいという問題もあった。
(※本製品は製造終了となっており、市場在庫が完売した時点で販売終了となります)