無線LANと電話子機、FAXまで搭載する
コンパクトなオールインワン複合機【2008年1月号掲載】
最近のインクジェット複合機は、プリンタやスキャナといった各パーツの低コスト化が進み、リーズナブルな値段で手にいれられるようになった。プリンタメーカー各社が数年前から主力製品を単機能機から複合機へとシフトさせたことで、今では家庭用インクジェットプリンタの出荷の約6割を複合機が占める。ブラザーの複合機は、これまで電話やFAXといった機能に特化した家電製品という印象が強かったが、最近ではインクやプリンタエンジンを新しくするなどして、インクジェット複合機としての性能を高めている。FAXや電話機能といった強みはそのままに、複合機として求められる機能を満載した同社のフラグシップモデルの魅力に迫ってみよう。
スペック
[発売元] ブラザー工業 [価格] オープンプライス [実売価格] MFC-880CDN(子機1台):4万5,000円前後、MFC-880CDNW(子機2台):5万2,000円前後 [OS] Mac OS X 10.2.4以降 [解像度] プリント:6000×1200dpi、スキャン:600×2400dpi
[用紙サイズ] A4~ハガキ [インターフェイス] USB2.0、10/100BASE-TXイーサネット、IEEE802.11b/g [サイズ/重量] W468×H180×D370mm(突起部を除く)/約8.6kg [備考] インク:4色染料インク、ADF:最大10枚 [掲載号] 「Mac Fan」2008年1月号
OVERVIEW
本製品はカラープリンタとスキャナ、コピーという複合機の三大要素に加えて、オートシートフィーダ(ADF)やFAX機能、そして電話子機を備えた複合機だ。現在、Mac用の複合機でファクス機能を備えたものはほとんどなく、さらに電話子機まで付いた製品となると同社製品以外には存在しない。
複合機としての基本性能も高く、プリンタ部分の印刷解像度は最大6,000×1,200dpi、最小インク滴は1.5pl。スキャナ部分は光学解像度600×2,400dpiと他社製品と比べると見劣りするが、一般用途として使うには必要充分な解像度といえる。
さらに、本製品でもっとも特徴的なのが有線/無線LANに標準で対応している点だ。特に無線LAN対応については、同じ2.4GHz帯を使用するデジタル電話子機との間で起きる電波干渉をクリアした国内初の両対応モデルとなっている。
FOCUS ON
複合機でもっとも重要といえるプリンタ部分は、4色機であったとしても最近はヘッド部分の細密化などの技術進歩により、充分な高画質を得られる。実際、コピーモードで普通紙に本誌の表紙をコピーしてみたが画質は充分だ。また、純正光沢紙への写真印刷結果も良好で4色機の限界に近い画質を確保している。
(3) ビジネスユースでも使えるコピー性能 |
(4) 必要充分なプリント品質 |
ただし、印刷速度は他社の複合機がL判1枚18秒前後なのに対して、約50秒ほどかかる。一般的に使われることが多いL判やハガキサイズならば一度に大量の枚数を印刷しない限り実用的だが、A4サイズのプリントとなると思った以上に時間がかかってしまうのが残念だ。
メモリカードからのダイレクトプリント機能が備わるなど、画質やプリント速度は数年前の製品と比べて性能アップしているものの、やはりFAXやコピーの機能が主で写真プリンタとしての機能は最低限のものと感じた。
(5) シンプルなプリンタドライバ |
とはいえ、複合機は写真プリントに利用するだけではない。コピー機能をメインとして使ったり、ファクス機や電話子機も1台にまとめたい場合もある。また、Macからの無線LAN/有線LAN経由でのプリントやスキャンは快適に行えたうえ、4.2インチの大型液晶を使ってのFAX受信、最大4台まで増設できる電話子機も便利だ。
とにかく多彩な機能をコンパクトな筐体に凝縮した本製品。設置スペースを優先したいユーザには最適で、ホームユースはもちろんだが、特に4~5人程度のスモールオフィス向けのビジネス用途として活躍しそうだ。
AFTER REVIEW
Leopard環境ではOS標準のプリンタドライバを利用でき、スキャナドライバなどは同社ホームページからダウンロードできる。Mac用のファクス搭載機としては、HPの「C7180」とキヤノンの「MP830」があるが、両製品とも1世代前のモデルで、電話機能はない。ADF非搭載の「MFC-870CDN」(実売4万円前後)や有線/無線LAN非対応の「MFC-650CD」(実売3万円前後)もあるため、必要用途に合わせて選べる。
(※本製品は市場在庫のみとなります)