最新CCD搭載で高速化&高画質化を実現した
薄型フラットベッドスキャナ【2007年9月号掲載】
インクジェット複合機が普及するにつれて、コンシューマー向けの単体スキャナの市場は年々縮小傾向にある。しかし、ユーザの需要を再び喚起するべく、最近の単体スキャナはインクジェット複合機にはない使い勝手や機能を搭載することで進化している。エプソンから登場した最新のカラリオ・スキャナは、最新CCDや豊富な機能を搭載したコストパフォーマンスに優れた1台だ。
スペック
[発売元] エプソン販売 [価格] オープンプライス [実勢価格] 1万8000円前後
[OS] Mac OS X 10.2.8以降 [HD] 512MB以上 [解像度] 4800dpi [インターフェイス] USB2.0 [サイズ/重量] W280×D430×H57mm/約2.6kg [備考] 読み取り階調:RGB各色16ビット入出力 [掲載号] 「Mac Fan」2007年9月号
OVERVIEW
エプソンのフラットベッドスキャナのラインアップの中で、ミッドレンジに位置する普及価格帯モデルとして登場したのが「カラリオ・スキャナ GT-F670」だ。本製品は「GT-F650」の後継機種にあたり、CCDの光学解像度が3200dpiから4800dpiにアップ。また、新開発のCCDはRGB各色を4ラインのセンサでスキャンすることで、スキャンの高速化や画質の向上を実現している。
一般的にセンサにCCDを搭載したスキャナは、CISを搭載したスキャナに比べて画質面でメリットがあるが、その一方で本体が厚くなるというデメリットがあった。しかし、本製品では厚さが57ミリとCISスキャナに迫る薄さだ。
また、本製品はフィルムスキャンにも対応しており、35ミリストリップを6コマ、マウント4コマを連続してスキャンできる。画像補整機能が充実しているのは前モデル同様で、フィルムや紙焼きの逆光補正やホコリ除去、退色復元、粒状低減機能を搭載し、本体前面に配置されたナビボタンをワンプッシュすることで、PDF作成などの目的に合わせた操作が簡単に行える。
FOCUS ON
スキャン速度は、本誌の表紙を300dpiでスキャンした場合、約48秒という結果が出た。最上位モデルの「X900」では約41秒なので、かなり高速にスキャンできる。また、35ミリのポジフィルムをホコリ除去機能をオンにして4800dpiでスキャンした場合は3分49秒と、これもかなり高速な部類に入る。
さらに、マクベスのカラーチャートを使用してカラーバランスをテストしてみたが、やや暗めにスキャンされるものの、グレーの傾きはほとんどなく、ニュートラルな属性だ。そのため、スキャン時にドライバで微調整すれば、完璧な色見と明るさに近づけることが可能といえる。
画質は反射原稿の場合、民生機としては充分なクオリティを持つ。特色部分の色も原色のイメージに近く再現された。また、フィルムスキャンに関しては、専用フィルムスキャナやX900と比べるとシャープネスが落ちるが、35ミリのフィルムをA3以上に拡大してプリントするといった用途でなければ特に気になるレベルではない。
(5) シャープなスキャンが可能 |
(6) ニュートラルなカラーバランス |
普及価格帯モデルとはいえ、スキャナとしての出来は文句のつけようがなく、素晴らしい仕上がりだ。特に、動作速度や画質、動作音に関しては優秀。ちょっとした商用印刷にも使用できるレベルといえる。
AFTER REVIEW
ドライバやユーティリティなどのインストールは簡単で、ヘルプ機能も充実している。3モードに使い分けられるドライバは、エプソンの伝統ともいえる作りで好印象。ただし、横開きのふたは上面のスペースの確保がしやすいというメリットはあるが、雑誌などを見開きでスキャンしようと思った場合、本をひっくり返す必要がある。さらに、スキャン後、画像を回転させる手間があるため、好みが分かれるところ。
(本製品は市場在庫のみとなります)