専業主夫になりたい男性は約3割
マイナビニュースのアンケートの「専業主夫になりたいですか? - 男性に本音を聞いてみた」について、興味深く拝見しました。「専業主夫になってもいいかなと思っている男性」は3割近くという結果です。
「なりたい人」の主な理由は、「働きたくない」「家事が好き」「楽そう」「自分に向いている」。「人と接することが苦手……」という人もいました。その他の理由としては「今が大変すぎるから」というつらい意見も。いずれにしても主婦を「楽そう」とみている人も多いようです。
そして「なりたくない理由」は、「仕事が好き」「自分でお金を稼ぎたい」「つまらなそう」「大変そう」「家にいたくない」「家事が嫌い」。つまり専業主婦を「仕事が好きじゃない人が、お金を稼げず、つまらない、大変な家事をしている」と見ているのですね。また、「男がすることではない」「周囲の目」という「男のプライド問題」もあります。
女性は専業主夫になりたい男性を受け入れられる?
一方、女性はこの3割の「専業主夫になりたい」男性を受け入れられるのか?
同じくマイナビニュースのアンケート「夫が「専業主夫になりたい」と言ったらどうする?」では、夫が専業主婦になりたいといったらOKな人はわずか13%という低い結果に。まだまだ、男性がなりたいと思ってもなれないのが専業主夫です。
同じアンケートで、男性にも聞いています。「配偶者が専業主婦になりたいといったら」、という設問にOKと言ってくれる男性は55%で、主な理由は「子育てのためなら」でした。やはり男性が「主夫」になるのは難しいようです。
「男女の役割にとらわれるのはちょっと違う」
先日、「主夫志望男子×主夫が欲しい働き女子」のための婚活イベントを試みたのですが(主宰/秘密結社主夫の友、協力/慶應義塾大学SDM研究科ヒューマンラボ ハッピーワークショップ)、参加したのは「柔軟な家族の形を望む」という人たち。
女性は「専業は困るが共働きなら」という人が多く、男性は「専業主婦になりたいという女性じゃない人がいい」「共働きしたい」「相手が望めば専業主夫もあり」という人たちでした。さすがに「主夫にしてください。花婿修行はばっちりです」という人はいなかったですね。
しかし、参加者が「このイベントに来るということで、柔軟な考え方の持ち主だと思う」と言ってくれるなど、お互いに「男女の役割にとらわれるのはちょっと違う」と思っていたようです。意外と好印象だったので、このイベントは来年も企画しています。
主夫に向いている男性の条件
このイベントのレポートも載っている『専業主夫になりたい男たち』(ポプラ新書/1月5日発売)という本を書いたのですが、男性が「専業主夫にしてくれる女性と結婚したい」というのはまだまだ難しく、女性のほうが戦略的に「主夫」を育てていました。
主に「休めない」「おりられない」マッチョな環境の職場にいる「女性経営者」や「女性管理職」などの人たちは、「主夫戦略」で子育てを乗り切っていました。
主夫に向いている男性の条件をちょっとだけ紹介すると、こんな感じです。
・テーブルのものが落ちそうになったら先に手を出す
・無駄なプライドを捨てるのが上手
・家にいるのが好き
・会社での競争より子育てにやりがいを感じる
・女性でもすごい人は素直に尊敬できる
必ずしも「家事力」が最初からなくてもいいのです。主夫になった男性が言っていました。「プライドは一文にもならない」と。
彼は事情があって主夫になったのですが、奥さんが仕事の才能があることに気づき、「これは自分が復職するよりも、彼女をサポートしたほうがいい」と内助の功につとめ、今はとっても幸福度の高いカップルになっています。
小島慶子さんと本で対談もしていますが、小島慶子さんは『大黒柱マザー』という本に書いているように、ある日突然夫がテレビ局を辞めてしまいました。「働かない男と結婚していることでパニックになった」とも本にあります。それほど「男は仕事をするもの」という縛りは深いのです。
一年かけて自分の心と向き合い、今は幸せそうな小島さん。「女だって働いたり働かなかったりすることがあるのだから、男だって同じ」という彼女の言葉に、多くの男性が救われるのではないでしょうか?
本を書きながらふと気がつきました。あなたにも、そしてわたしにも、「ある日突然夫が仕事を辞める日」がくるかもしれない。それは女が「大黒柱になること」を受け入れることでもあるのです。
さて、あなたは「夫が専業主夫になること」を受け入れられますか?
<著者プロフィール>
白河桃子(しらかわとうこ)
少子化ジャーナリスト、作家。相模女子大客員教授。一億総活躍国民会議民間議員。山田昌弘中央大学教授とともに、2008年度流行語大賞にノミネートされた「婚活(結婚活動)」を提唱し、共著『婚活時代』(ディスカバー21)がある。婚活ブームのきっかけを作った。最新刊は、『専業主夫になりたい男たち』(ポプラ新書/1月5日発売)。
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