マイナビでも以前夫婦円満のコツをアンケートにとったのですが、夫は「ありがとう」を言うという人が半数以上。でも、妻からは「心のないありがとうは悲しい」という厳しい意見もありました。夫サイドは「記念日だけは兎に角死守しよう」という意気込みも!

しかしXXだけしていればいい…というのはちょっとイージーすぎるのではないでしょうか?

こんなアンケートが公開されるのも、一年にたった1日の「いい夫婦の日」だからです。普段から、「円満の秘訣」をちゃんと考え、実践している人は少ないでしょう。日本は結婚前の「婚活」は盛んでも結婚後の「婚活」はあまり盛んではないのです。

結婚後の"婚活"とは?

結婚後の婚活とはなんでしょう?

それは「結婚維持活動」です。アメリカ人などを見ていると、結婚後の婚活もちゃんとしている。夫婦がうまくいかなくなったら、あっという間に夫婦カウンセリングに連れて行かれ、並んでソファに座ることになります。しかし日本には「釣った魚には餌をやらない」なんていう失礼な言葉もあるぐらいで、結婚後の夫婦仲の維持に関しては、かなりお粗末なのです。

その証拠に、欧米の子育て本を見ると、子どもが産まれた後の「夫婦関係の維持」にページをさいているのに、日本では子どもと親の関係だけ。日本では結婚維持活動は、「そこはお金や時間を投資するところではない」とスル―されているのです。

しかし、夫婦仲が悪くなり、家族崩壊、離婚という方向にいってしまったらどうでしょうか?

離婚は非常に経済的にロスが大きいのです。老後の貯蓄や投資に励む前に、「結婚維持活動」に、しっかりお金や時間を投資するほうが長い目で見てずっとお得なのです。

日々の投資の積み重ね。それはお金より時間です。「たとえ10万減収になっても、日々16分会話が増えることで、妻の満足度は変わらない」とシカゴ大学の山口一男教授も言っています。まあ、時間がどうしてもとれない人は、高額なプレゼントをして時間をお金で相殺するしかないかもしれませんが。

「互いに毎日エネルギーを交換」できるような存在に

夫婦のプレゼントで「ステキだな」と思ったのが、ふと読んだサイトのインタビュー記事。「もしドラ」を大ヒットさせた敏腕編集者加藤貞顕さんが立ち上げたサイト、cakesの中でした。夫(カメラマン青山裕企さん)が妻(会社員 庸子さん)をインタビューするという企画があったのです。(カンバセーションズ青山裕企(写真家)→青山庸子(会社員)Vol.1「僕と結婚しようと思ったのはなぜですか?」)

まだ付き合い始めて間もなく、父の具合が悪く実家に帰った夫に、妻が贈ったものはなんでしょう? それは「プチエネルギー7日間入り」と書かれた封筒。

7日分のミッションがイラスト入りで入っている。それも「手当たりしだい甘いものを入手して並べ、カロリーを気にせず食べつくす」などという、オリジナルなものばかり。

別に「愛してる」とは書いていないのです。でも、そのミッションを1日づつ律儀にこなすことで、癒される。まさにプチエネルギー。そんな彼女に惹かれたのだと青山さんは言っています。

夫婦とか家族って、こういうふうに「互いに毎日エネルギーを交換」できるような存在でありたいですね。交換のツールは「会話」でもいいし、「メール」でもいい。今は離れていても顔を見ながら会話できるツールもありますし、「手をつなぐ」「キス」「ハグ」などなど。もちろん「プレゼント」でもいいのですが、多分年一回の大きなプレゼントより、日々の積み重ねが大事だと思います。

「毎日キスをする夫婦は長生き」というデータも

会話は無駄話。家族の日常は無駄話で成り立っています。同じ空間にいても、まったく会話しないで片方はスマホをいじり、片方はゲームしている。そんな夫婦は珍しくないと思うのですが、友人夫婦は「犬を飼って一緒に散歩する」ことで離婚の危機を乗り越えました。なんとなく、無駄話をしながら一緒に過ごす時間を少しづつ日々確保していったのです。

また「触れる」ことは人間にとっては重要なエネルギーチャージ。皮膚を通しての医療を研究している知人がいつも言っています。「皮膚は第二の内臓。皮膚を触ることで免疫力があがる」と。知り合いがアメリカに留学していたとき、シェルターに保護されている猫のための「猫なでボランティア」に行っていたそうですが、猫だって触ってもらって可愛がられることで情緒が安定し、長生きする。人間も同じです。

「毎日キスをする夫婦」はしない夫婦に比べて「5年長生き」「8年長生き」または「20~30%」年収も高いなど、さまざまなデータが海外では発表されているようです。

結婚維持活動に時間やお金を投資すれば、仕事にも支障がでず、お金も健康も安心。ということで、ぜひみなさま、結婚後の「婚活」にも励んでくださいね。

著者プロフィール : 白河桃子(しらかわとうこ)

少子化ジャーナリスト、作家。一般社団法人「オサン・デ・ファム」アンバサダーとして、「女の子を幸せにする心とカラダの授業」プロデュース、「全国結婚支援セミナー」主宰。大妻女子大学就業力GP「ライフコース講座」講師および企画。山田昌弘中央大学教授とともに、2008年度流行語大賞にノミネートされた「婚活(結婚活動)」を提唱し、共著『婚活時代』(ディスカバー21)がある。近著は、国立成育医療センター母性医療診療部不妊治療科医長、齊藤英和先生との共著で『妊活バイブル』(講談社)、『女子と就活 20代からの就・妊・婚講座』(中公新書ラクレ)。