出張で訪れたロンドンでイギリスに魅せられ、その後、縁あってイギリスに長期滞在(今も住んでいます)。イギリスを旅する魅力の1つは、それぞれの街が強い個性を持っていること。1つの街を訪れるたび、またイギリスの新たな一面を発見することになるでしょう。このコラムでは、ロンドンまで来たならもう少し足を伸ばして訪れてもらいたい、気軽に日帰りで行ける街を紹介していきます。
第1回目にお送りする最初の街は、日帰り旅の拠点となるロンドン中心部(Inner London)です。古き良き時代の面影を色濃く残しつつ、政治、経済、文化の中心として発展してきた国際都市、ロンドン。何度でも訪れたくなる、エキサイティングな街です。
ロンドンでの見所は数え上げたらキリがありません。ロンドンのシンボル、ビッグベンを始め、バッキンガム宮殿、ウェストミンスター大聖堂など、誰もが一度は耳にしたことがある名所がいっぱい!
短時間でできるだけ多くの場所を見て回りたい人は、ダブルデッカー(2階建ての赤いバス)と地下鉄を駆使して効率よく回ることもできますが、ロンドン中心部は意外に狭く、主な名所のほとんどへは徒歩圏内だってこと、ご存知でした? ロンドンの「ヘソ」といわれる、ピカデリー・サーカスのエロスの像を中心に、45分~1時間以内の距離です。
ロンドンは、観光客や買い物客で賑わう華やかなショッピングエリア、オックスフォード・ストリートやリージェント・ストリートなどのメイン・ストリートも一度は訪れてみてください。ですが、小粋なカフェやショップが集まる、落ち着いたストリートをぶらぶらと見て歩くのもロンドンの楽しみ方の1つ。
ロンドンにはそういったエリアがいくつもあるのですが、その中から敢えてご紹介するならサウス・ケンジントン&ケンジントン~チェルシー周辺。ポッシュなエリアとして知られるサウス・ケンジントンには、自然史博物館、ヴィクトリア&アルバート博物館、ロイヤル・アルバート・ホールが、閑静な住宅街であるケンジントンには、ナイツブリッジから伸びるケンジントン・ハイ・ストリートを中心に、ショッピングエリアが広がっています。
また、お洒落なロンドナーが集まる、フラム・ロードもぜひ訪れて欲しい所。サウス・ケンジントンとチェルシーの境界線にあるこの通りには、センスのよいショップやレストランが並んでいます。ハイ・ストリート・ケンジントン駅からノッティング・ヒル・ゲート駅までを結ぶ、ケンジントン・チャーチ・ストリートも忘れてはいけません。静かな住宅街の中にアンティーク・ショップやカフェがあり、お気に入りの場所の1つとなること間違いなし。ロンドン最大のアンティーク・マーケット、ポートベロー・マーケットまでも目と鼻の先です。
チェルシー・フラワーショーでも有名なチェルシーは、かつてトマス・モアなど多くの文化人が好んで暮らしたエリアです。「ブルー・プラーク」(歴史的な人物が住んだ家の壁に埋め込まれている、青いプレート)がロンドンで一番多いエリアであることでもよく知られています。チェルシーの典型的なレンガ色の古い家並みを、ブルー・プラークを辿りながら時間の許す限り歩くのもまた乙なもの、ですよ。
ショッピングやロンドン散策を堪能した後には、ハイド・パークなどの広々とした公園でのんびりと都会のオアシスを楽しむのもよし。天気のよい日にはテムズ河を運行するリバーボートからロンドンの景観を眺めるのも大変気持ちがいいものです。テムズ河沿いには、ロンドン・アイ、グローブ座、セント・ポール寺院、ロンドン塔、などの名所が目白押し。もちろん、博物館や美術館も充実しているので、それらをじっくり見て回るのも良いでしょう。天気を選ばず、楽しめるのがよいところですね。
ナイトライフももちろん充実しています。パブやナイトクラブのほか、音楽や演劇、ミュージカルやオペラなどエンターテイメント要素は街に溢れんばかり。特に、ソーホー周辺はナイトライフと切っても切れない存在。ヨーロッパ最大級の中華街を始め、世界各国のレストランやバー、映画館、劇場がひしめき合い、夜遅くまで若者たちで賑わっています。さらにこれからの季節は、リージェンツ・パークでの野外劇や市内各地での野外コンサートなど、夏ならではのイベントも盛りだくさん! まさに百人百様の楽しみ方ができるロンドン。これこそロンドンの最大の魅力ではないでしょうか。
さて、大都会ロンドンを満喫した後は、連載の本題であるロンドン郊外のエリアへ繰り出しましょう。次回もどうぞお楽しみに。