筑豊電気鉄道の車両3000形1編成(3005号車)がマルーン・ベージュの塗装色に変更され、10月末から運行されている。開業60周年を記念し、開業当時の塗装色を"復活"させたもので、記念ヘッドマークが掲げられ、車内に当時の写真も展示されている。

筑豊電気鉄道3000形3005号車がマルーン・ベージュの塗装色に。開業60周年記念のヘッドマークも掲げられた

3005号車の記念ヘッドマークには「開業60周年」「貞元(現:熊西)~筑豊中間 昭和31年3月21日開業」「旧西鉄電車カラー マルーン&ベージュ」などの文字が並ぶ。筑豊電気鉄道は西日本鉄道の完全子会社であり、黒崎から福岡市への高速鉄道建設を目的に設立され、1956(昭和31)年3月に西鉄北九州線の貞元駅(現在の熊西駅)から筑豊中間駅まで開業した。1958年に木屋瀬駅まで、1959年に筑豊直方駅まで開業したが、筑豊炭田の衰退をはじめとする社会情勢の変化も影響し、福岡市への路線延長は実現しなかった。

開業当初の筑豊電気鉄道は自社の車両を持たず、西鉄北九州線の車両による直通運転の他に118形ボギー車を借り入れ、運行していたという。その頃の西鉄北九州線・筑豊電気鉄道線の車両は、下半分がマルーン、上半分がベージュのツートンカラーで、今回登場した塗装変更車両(3005号車)もこの2色を採用している。ただし、マルーン・ベージュの塗り分けは当時と異なり、従来の3000形のデザインがベースとなっている。

筑豊電気鉄道が自社車両を持つようになったのは1977(昭和52)年から。西鉄福岡市内線・北九州線で活躍した2両連接車を購入し、3両連接車に改造した2000形として運行開始した。1985年、西鉄北九州線の1000形(2両連接車)を購入し、2100形として運行開始。この2100形の台車・主回路・制御回路・制動装置を再利用し、車体などを新造した車両が3000形で、現在の筑豊電気鉄道の主力車両となっている。

かつて北九州市(合併前の旧八幡市・旧戸畑市・旧小倉市・旧門司市。旧若松市も加えた5市合併で1963年に北九州市が誕生)に一大路線網を築いた西鉄北九州線も、2000年までに黒崎駅前~熊西間を除き全廃。2015年、筑豊電気鉄道が黒崎駅前~熊西間の第一種鉄道事業者となった。同社の約60年の歴史で初となる新造車両5000形(5001号車)もこの年にデビュー。今年3月に2編成目(5002号車)も運行開始し、2018年までに計4編成導入して2000形との代替を進めていくとしている。

筑豊電気鉄道初の新造車両5000形。5001号車にも開業60周年記念のヘッドマークが掲出された

かつて西鉄北九州線・筑豊電気鉄道線の分岐駅だった熊西駅で、3000形3005号車と5000形5001号車がすれ違う

筑豊電気鉄道は11月19・20日、ちくてつ黒崎車両工場(西黒崎駅横)にて「ちくてつ電車まつり」を開催。マルーン・ベージュの塗装色となった3000形(3005号車)や新型低床式車両5000形の車両展示も行われる予定だ。2018年春に運行予定の5000形5004号車のボディカラーを3候補の中から選んで投票する企画も実施される。