バーに行きたいけれど、ハードルが高そうなので躊躇している、という人がいます。バーはお酒を飲み、語り、ときには1人で――。そんな気軽に楽しむ場所です。大人ならそこまで委縮する必要はありません。自由に楽しめばいいのです。とはいえ大人が集う場所なので、最低限のマナーや作法はあります。

一般常識があればほとんど問題ないのですが、たまに常識外れの人を見かけます。昔は会社の上司が「飲みニケーション」で教えてくれたものですが、近年はアルハラ・パワハラという観点からその機会も減っているようです。今回は、バーでやってはいけないNG集を紹介しましょう。

  • バーはえもいわれぬ素敵な空間です

■入店後、空いている席に勝手に座る

バーに入店して、何も聞かずに好みの席に勝手に座るのはNGです。従業員に人数を伝えると席をすすめてくれるので、そこに座りましょう。もちろん「ご自由にお座りください」と言われたら、好きな席に座ってOKです。

一般的にバーは席数が少ないので、マネジメントが必要なことが多いのです。例えば、静かなバーであれば、あえてお客とお客の間に空席を設けるとか、後で常連客が2人くるのでいつもの席を空けておくとか、できるだけ接客しやすいところに座って欲しいなど、いろいろな理由があります。

そして席に座るときは、バッグなどの手荷物をカウンターの上に置かないようにしましょう。キレイに使っている手荷物だとしても、たまには地面に置くこともあるかもしれず、店側やほかのお客が不快に感じることがあるためです。バーのカウンターはお店の超重要なアイテムです。客側としてもリスペクトを持ちましょう。

  • 席数の少ないバーでは、まず従業員の指示を待ちましょう

■勝手にカシャカシャ撮影する

注文したお酒を撮影したいときは、一声かけることがマナーです。今はSNSが普及したため、ほとんどのバーが撮影してよいと言ってくれるはずです。しかし、昔は撮影NGのお店も多かったですし、特に瓶の背面ラベルを撮影して怒られることもありました。自分で注文したお酒が出てきたら一言、許可を求めればいいのです。例えば、ウイスキーでグラスだけ出てきたら、「ボトルを撮影していいですか?」と尋ねましょう。

撮影時は絶対にフラッシュを光らせてはいけません。ほかのお客の迷惑になりますし、バーの雰囲気が台無しです。シャッター音も同様なのですが、日本のスマートフォンには規制があってシャッター音を消せないため、大目に見てもらえるかもしれません。可能であれば、シャッター音がならない無料アプリが公開されているので利用するとよいでしょう。

  • 撮影したいときは必ずお店の人に許可をもらいましょう

■カウンターにある物を勝手に触る

絶対にNGなのは、バーカウンター上にあるお店の物を勝手に触ること。カウンターには、おすすめのボトル、カクテルに使う果物や器具、葉巻が入っているヒュミドールなどがあります。もちろん、インテリアを置いてあることもあるでしょう。このすべて、タッチNGです。ウイスキーを頼んだとき、一緒に置いてくれるボトルも同様です。必要に応じて「ボトルを手に取って見てもいいですか?」と聞きましょう。

当たり前ですが、勝手にお酒のボトルを手に取り、ふたを開けてグラスに注いだり、果物を食べてしまったりするのは万引きと同様、窃盗です。まれにそのような話を聞くので、肝に銘じておいてください。

ちなみに、香りを嗅ぐのもNGです。勝手に嗅ぐのはもちろん、嗅がせてくださいと言っても拒否されることが多いでしょう。ほかのお客が鼻を付けたボトルのお酒、飲みたいですか?

香りを知りたいので少し試飲させてくれ、というのもNGです。例えば、レストランに行ってメニューを見ているときに、このステーキを頼みたいから一切れ試食させてくれ、とは言いませんよね。これと同じです。

  • バーのカウンターに置いてあるお店の物には触れないようにしましょう

■大人数で行くのはNG、テーブルがないなら3名以下で

これはちょっと知らないと分からないNG行為かもしれません。席数の少ないバーでは、1人もしくは2人で飲むことが基本です。席数によっては3人でも断られるかもしれません。逆に、大きなお店やテーブル席があるお店なら、4人以上で訪れても問題ないこともあります。

席数や入店可能人数は入ってみるまで分からないので、入り口で人数を伝えて拒否されても気分を害さないようにしてください。どうしても行きたいなら、予約の電話を入れて聞いてみるといいでしょう。お店によっては、自前で開設しているWebサイトや、グルメ系サイトに掲載して、席数を公開している場合もあります。

■貧乏ゆすり、鼻歌、カウンターを指でトントンはNG

バーでリラックスしてお酒を楽しんでいるときに、近くに座っている客が、貧乏ゆすりをしたら気になって仕方がありません。酔っているからなのか、「そこまでゆらす?」と驚くことも多々あります。

BGMに合わせて、鼻歌を歌ったり、カウンターを指でトントンと叩いたりするのもNGです。せっかくのBGMを台無しにしないでください。これはバーテンダー側も気づきにくいですし、少々であれば注意しにくいのですが、近くで飲んでいるお客には大きなストレスになります。

■ラフすぎる格好でバーに入る

ドレスコードはさほど考えなくても大丈夫です。普通にビジネスシーンで見かける格好であれば問題ありません。襟付きのシャツとジャケットを着ていれば、どこでも大丈夫でしょう。

しかし、短パンや襟なしの服、サンダルなどは嫌がられることも多いでしょう。筆者もかつて、ジャケットを着ていなかったことで入店できなかったバーがあります。

これは、お店が偉そうなのではありません。バーという大人の社交場では、お客も舞台の一部。きちんとした格好の人たちが、同じ場所でお酒を楽しむことでリラックスできるのです。郷に入っては郷に従え、ということで常識的な装いを心がけましょう。

■バーテンダーをバーテンと呼ぶ

バーカウンターの中でお酒を作ってくれるバーテンダーを略してバーテンと呼ぶ人がいますが、これも絶対にNG。バーテンは蔑称です。日本人をジャップと呼んでいるのと同じです。「バーテンさん」と“さん付け”してもダメなものはダメ。バーテンダーという言葉が長いと思ったら「バーマン」という呼称を使うのもありです。

■1杯の注文で長時間粘る

バーはお酒を提供するお店です。1杯で何時間も粘るのは迷惑なのでやめましょう。バーを飲み歩いていると、いろいろなところで粘っている人を見かけます。バーテンダーは話術や接客術に優れているので、気持ちがよくなってしまうのでしょう。財布事情が乏しかったり、お酒が弱かったりと理由はあるのかもしれませんが、それではお店も赤字です。

目安としては、20~30分に1杯は注文するようにしましょう。お酒が弱くても、アルコール度数の低いカクテルはたくさんあります。ノンアルコールドリンクも用意されているはず。大人なら最低限の金額で限界まで得してやろうといった考えはせず、余裕を持って楽しみたいものです。

  • 1杯の注文で延々とバーテンダーと話し続けるのはやめましょう

また、会計したらすぐに退店しましょう。たまに会計はしたものの、話が弾んでそのまま居残る人がいます。数分であればいいですが、1時間近く話し込む人も。当然、会計が終わっているため追加注文もありません。常識外れの行為なので注意しましょう。

■ずっとスマホを触っている

初めてのバーに入り、お酒は注文するものの、ずっとスマートフォンをいじり続けている人がいます。もしかすると、バーテンダーが話しかけるのを待っているのかもしれませんが、画面に集中しているのでそれも難しいでしょう。

筆者もお酒を撮影したり、SNSをチェックしたりとスマートフォンを手放せないクチですが、バーに行ったら少しはスマートフォンを置いてお酒を楽しむことをおすすめします。

■大声、一気飲み、泥酔、嘔吐……

大声を出したり、一気飲みをしたり、泥酔したり、店内で吐いたりするのはダメに決まっています。言われなくても分かると思うのですが……、よく見かけます。これはバーに限らず、すべての飲食店でアウト。酔ったから仕方がない、無礼講だから、などは言い訳になりません。スマートにバーを楽しみましょう。