つみたてNISAは2018年から始まった非課税投資制度です。その対象商品は金融庁が定めた「長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託」、2020年11月9日時点でその数は184本です。今、日本で購入できる投資信託は約6,000本ですから、この184本は金融庁のお墨付きの投資信託と言ってもいいかもしれません。
もちろん、必ず儲かると金融庁が言っている訳ではありません。でも、「つみたてNISAの対象商品」の要件やその仕組みには、投資信託を選ぶときに役立つヒントや資産形成の考え方が散りばめられています。そのヒントや考え方を金融庁作成の資料(※1)から一緒に読み解いていきましょう。
つみたてNISAの対象商品(※1)
- 一般的なインデックス投信(パッシブ運用)を基本
例)国内外の株式・債券に分散してインデックス投資をするもの、日経225等にインデックス投資をするもの - アクティブ運用投信は、例外的に、継続して投資家に支持・選択され、規模が着実に拡大しているもののみ対象
- 金融庁への届出制
- 販売手数料は0%
- 毎年の運用管理費用にも上限(国内インデックス投信は0.5%等)を設け、低コストの商品に限定
- 運用管理費用の金額は、毎年、投資家に通知
- 販売会社は提供する商品がどのような顧客に適しているか等を公表し説明
まず分かるのは、つみたてNISAの対象となる投資信託は3種類(※2)あること。「インデックス投信」と「アクティブ運用投信」、そして、「国内外の株式・債券に分散してインデックス投資するもの」とはバランスファンドを指しています。中でも、アクティブ運用投信は「例外的に」しか認められておらず、その数は184本中、わずか19本。その例外として認められる要件が「規模が着実に拡大している」ですが、この意味合いをお分かりになるでしょうか?
これは、逆に規模の縮小、つまり、資金流出による運用への影響を考えると分かりやすいでしょう。アクティブ運用投信では、運用の専門家(ファンドマネジャー)が投資先を選び、売買タイミングを見定めます。でも、資金流出が続くと、買い時だと思っても買えなかったり、将来高いリターンが期待できる投資先でも売らざるを得ない、といったことも生じます。つまり、資金流出は運用成績に悪影響を及ぼすのです。だから逆に、「規模が着実に拡大している」ことが、ファンドマネジャーがその手腕を思う存分発揮できるという意味で、アクティブ運用投信を選ぶときの一つのヒントになるのです。
なお、つみたてNISAの投資信託は、投資対象に必ず株式が含まれています。逆に、債券やREIT(不動産投資信託)だけで運用されている投資信託は対象外なのです。これは、「長期の資産形成では、価格変動は大きくても高い収益性が見込まれる株式を資産形成の中心にすべき」との考えを反映しているのだと思います。こんな考え方も「つみたてNISAの対象商品」から理解してほしいことの一つですね。
(※1)出所:金融庁作成『導入直前!「つみたてNISA」の制度説明』(平成29年9月10日)、下線・赤字・太字は筆者によるもの
(※2)3種類のファンドそれぞれの説明は、過去の本コラム(第57回、第59回、第60回)でご確認ください。