バランスファンドとは、資産分散を運用の専門家に任せる投資信託のこと。「初心者にはバランスファンドがおススメ!」と言われますが、「国内外の株式と債券の4資産くらいなら、インデックスファンドを4つ選べば自分でできるんじゃないの?」と、そんな風に考える人もいるかも知れません。でも、実際にチャレンジしてみると、あることに気付くはずです、「リバランスって面倒くせ~」と。今回はそのリバランスの観点からバランスファンドの活用を考えます。

  • 投資信託を学ぶ/バランスファンドを考える 2

まず、リバランスとは何か? シンプルな資産分散、株式と債券を半々で運用するケースを考えましょう(※1)。例えば、株式に50円、債券に50円で運用を始めたとします。でも、特に株式は値動きのある金融商品ですから、この株式50円と債券50円が時間の経過とともに60円と50円になったり、逆に40円と50円になったり、そのバランスが崩れることになります。

前者は株価が上昇して株式の割合が増えた、という状態。資産全体では株式のリスクが増えていることになります。この増えた株式のリスクは、値上がりした株式の一部を売却すれば減らせます。そして、株式の売却代金で債券を購入するのです。具体的に前者の例では、株式を5円だけ売却し、債券を同じ5円だけ購入することになります。その結果、株式55円、債券55円になり、配分割合は当初の半々に戻る、という訳です。このような取引を、バランスを再び整える、という意味で「リバランス」と呼んでいます。また、値上がりした資産を売却するので、利益を確定している、とも言えます。

一方、株式40円、債券50円になった後者は、株価が下落して株式の割合が減った、という状態。ここで行うべきリバランスは、債券の一部を売却し、その売却代金で値下がりした株式を購入する取引。具体的には債券を5円だけ売却し、株式を同じ5円だけ購入することになります。その結果、株式45円、債券45円になり、バランスが再び半々に整えられるのです。また、値下がりした資産を購入するので、買付単価は平均すると引き下がることになります。

つまり、リバランスの目的とはリスクをコントロールすることにありますが、結果的には利益を確定したり、平均買付単価を引き下げることに繋がるのです。そして、こうした取引を通じて資産全体が儲かりやすい体質になる、これがリバランスのもう一つの意味合いです。

実は資産運用のプロ、例えば、公的年金の積立金を運用しているGPIF(※2)等は、このリバランスを繰り返し、資産全体を儲かりやすい体質にすることで負けない運用を目指しています。でも、これはプロだからこそできること。実際にリバランスをやろうとすると、いつやればいいのか決められないし、やろうとしても面倒くさい……。だから、バランスファンドという金融商品があるのです。つまり、バランスファンドを活用するメリットには、「リバランスを含めた分散投資をプロに任せる」、こうした考え方があることも、ぜひ覚えておいてほしいですね。

※1 あくまでも考え方をお伝えするための具体例として、税金や取引コストは考慮していません
※2 Government Pension Investment Fundの略称、年金積立金管理運用独立行政法人のこと