コロナ禍で子どもたちの新学期がなかなか始まりませんでした。緊急事態宣言解除後も分散登校でしたので、子どもたちがみんなと机を並べるようになったのも最近のことでしょう。私の遠い記憶を思い起こせば、新学期は新しい学校生活で自分の居場所が定まらない、なんともフワフワした落ち着かなさを感じていたものです。今年は今でも学校での居場所を探しあぐねている子どもたちがいるかも知れません。
一方、昭和の頃からずっと居場所探しが続いているのが大人たちの株式投資ですね。株式投資とは、リスクとリターンの法則に支配され、切った張ったの弱肉強食の世界だとイメージされる方が多いでしょう。そんなイメージが間違いだとは申しませんが、それだけではありません。リスクをある程度コントロールしながら株式投資をする、そんな方法もあるのです。どんな方法、どんな居場所があるのか、確認してみましょう。
例えば、持株会制度では、お勤め先の株式を毎月一定額ずつ購入します。専門用語ではドルコスト平均法と呼ばれますが、購入時期を分けることで株式の購入単価を平準化、つまり、値動きのブレをコントロールできるのです。奨励金を支給する企業も多いので、損するリスクも少し減りますね。
また、ストックオプション制度は、例えば株式を500円で購入できる権利を役職員に与える、というものです。株価が安ければ購入する必要はありません。つまり、株式(=ストック)を購入する/しないを選択(=オプション)できるので、ストックオプションなのです。株価が600円の時も500円で購入できるので、すぐに売却できれば損するリスクもかなり減りますね。
最近は、ストックオプションに代わる報酬制度として譲渡制限付株式(英語の頭文字を略してRS、アールエス)を導入する企業が増えてきました。RSを与えられた役職員は一定期間は譲渡が制限、つまり株式を売却できません。でも、その間も配当金は受け取れますし、そもそもRSはもらえるもので、お金を出して購入するものではありません。ですから、ある意味、損するリスクもないと言えるでしょう。
以上はお勤め先によって異なりますが、誰もが株式投資のリスクをコントロールできる居場所と言えば、投資信託と税制優遇制度になるでしょう。投資信託は言わば、株式投資等のパッケージ商品。投資について専門家を信じて託すので、投資信託なのですが、最大のメリットは少額でも分散投資できること、つまり、実質的に様々な企業の株式に投資できることです。この投資信託をiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)やつみたてNISAという税制優遇制度を利用して購入すれば、運用益も非課税になります。手軽でお得な株式投資の居場所だと言えますね。
とかく親は子どものことが心配ですが、子どもは子どもで、どんな環境にもすぐ順応できます。コロナ禍でもそれが世の常、変わるべきは大人でしょう。人生100年、大人たちの株式投資もそろそろ居場所を見定める時期ではないでしょうか。