4年に一度のラグビーのワールドカップ。いよいよ日本大会が始まりましたが、日本代表はアイルランドに歴史的勝利を収め予選リーグを突破。史上初の決勝トーナメント進出を果たすなど、これからますます盛り上がりそうですね。
私は"にわか"ファンですが、ラグビーW杯日本代表のこれまでの軌跡を振り返ってみると、そこには投資の3大原則と言われる「長期・積立・分散」の考え方に重なることがたくさんあるように思います。
まず、日本代表は1987年の第1回ラグビーW杯から今回まで9回連続出場している常連国です。でも、常勝国とは言えません。前回大会で世紀の番狂わせと言われた南ア戦で勝利するまでは、わずか1勝だった訳ですから。
しかも大敗を喫することもしばしば。1995年W杯南ア大会の実話をもとにした映画※1では、NZ代表の強さを示すエピソードとして「145対17でNZが日本に勝利しました! 」とのラジオニュースが流れていました。
今の日本代表の実力からするとありえないスコアでしたので、その真偽をネットで検索してしまったほどです。その際、過去の日本代表の戦績を見ると、正直、連続出場がいつ途切れていても可笑しくなかった、とも思いました。
これまで「長期」に渡ってW杯に代表を送り続けてきたこと、負け続けてもW杯に出なければ得られなかった経験を積み上げてきたことが、今の日本代表の大躍進に繋がったのではないでしょうか。
一方、我々現役世代の資産形成においても、投資というリスクに向き合うことでしか得られない経験が存在します。日本代表の活躍は少額でも「長期」に渡って投資の経験を積み上げていくことの大切さを、我々現役世代に語りかけているのかも知れません。
次に、日本代表の試合を見ていて印象的なのは、タックルされながらも後ろにパスを送って再び前進する、という攻撃のフェーズを重ねていく様子が、現役世代の資産形成に有効な「積立」投資の姿に似ている、ということです。
特に、フォワード陣がボールを持ったら前にアタックを仕掛け、タックルされても自己犠牲の精神で次の攻撃の橋頭堡を築く動きは、毎月定額で積み立てを続けていく姿勢にも重なります。
なかなか順調に資産が増えていかない時期は、スクラムやモールでもみ合っている場面なのかもしれません。でも、日本代表はそうした場面でも常に規律を保ち、ペナルティを犯すことはありません。ですから、我々現役世代も「積立投資を途中で止める」という反則は避けなければいけませんね。
最後に、ラグビーW杯の"あるある"になりますが「日本代表は何で外国人が多いの? 」という質問。「そういうルールだから」が一番簡単な回答ですが、ある雑誌※2でリーチマイケル主将がこんな風に答えていました。
「それが今の日本だから。(中略)ラグビー日本代表の姿は日本の現実だし、未来の姿を先取りしている。ダイバーシティ(多様性)の大切さを社会にアピールできる存在なのです」
なるほど~、さすがは日本代表主将の言葉ですね! そして、我々現役世代が見習うべきは、日本の現実と未来の姿を先取りし、資産形成においても国際「分散」投資を心掛ける、ということなのだと思います。
※1 『インビクタス/負けざる者たち』(2009年/アメリカ/133分)
※2 『Sports Graphic Number 日経マガジンスタイル 20 September 2019』