新型コロナショックによる株急落を好機と捉え、投資を始める人が増えているようです。先日、こんな記事(※)を見ました。簡単に説明すると、以下になります。
初心者「株急落で好機」
- 東京証券取引所の投資主体別売買動向によると個人投資家は前週まで6週連続で日本株を買い越した。株安が個人の投資意欲を喚起しているのは間違いなさそうだ。
- 老後資金をどう確保するかという問題をきっかけに投資を検討していたものの、ためらっていた若年層が動き始めたとみられる。
- 積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)を含む(中略)積み立てサービスも増加している。
- だが、初心者層が長期投資家として定着したと言えるほど裾野は広がっていない。(中略)短期的な利益確定や損切りに走る個人が多く、長期運用を続ける個人を増やすことが課題になっている。
この記事を読んで、日経新聞電子版のCMに出演している清原翔さんばりに「なるほどね! 」とつぶやけましたか? 私は「誤解する人がいるかも?」と思いました。というのも、この記事には特徴の異なる2つの投資が語られているからです。つまり、投資にはいくつかの種類がある、ということです。
※出所:2020/3/27 日本経済新聞 朝刊(下線、赤字は筆者)
まず、株急落を好機と捉えている人は、今が投資を始める絶好のタイミングだと判断しているので、特徴やコツに照らすと「資産運用のための投資」だと言えます。実はこのような投資では、長期運用にこだわる必要はありません。結果的に長期運用になるケースはありますが、重要なのは「買い」だけでなく、「売り」のタイミング。長期運用にこだわって、売り時のタイミングは逃したくないですね。
一方、積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)を始める人は「資産形成のための投資」です。実はこのような投資では、始めるタイミングにこだわる必要はありません。そもそも積立投資はタイミングのリスクを分散して、長期運用を続けるためにやるものですから。「始めるタイミングが悪かった! 」と途中で長期運用をやめてしまうことは避けたいですね。
どちらの投資も難しいのが売りの判断。セミナーでもよくご質問を受けます。「今、売るべきか? 」と相談があった際、私は「半分だけ売ってみては?」と申し上げることがあります。売った後に値上がりしても「まだ半分ある」、値下がりしても「半分売っておいて良かった」と、どちらでも後悔が少なくなりますので。「なるほどね! 」と思っていただけましたでしょうか? (笑)